ユメから醒めたら始まる夢を「あ、えいしんくん! 昨日の恋オレ最終回観た?」
手にコンビニの袋を提げた蒼井享介が話しかけてきたのは、飲み物も用意してソファに腰を下ろし、さあ台本を読もうと思ったときだった。
「…………いや、観ていない」
「そっか、じゃあまだネタバレしないどくね」
「別に構わない。観る予定もないから気にするな」
「え」
眼鏡の奥で大きな目が意外そうに開かれる。
「もしかして観てないの? あれすっごく面白いよ。それに、しゅうくんがメインで出てるのに」
しまった、と思ったがもう遅い。気を遣わなくていいと伝えるだけなら、もう少し言葉を選べたはずだ。
だからだ、などと、まさか享介に言えるはずもないし、そしてそれは正確ではない。不仲なのだと疑われても困るが、本当のことはもっと言えない。
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