四月の嘘平常時、特別調査所の昼休憩は12時から13時だ。食事はどこで食べても自由。外出する人もいれば、自宅から持ってきたパンや弁当を食べる人もいる。特調所の特性上、気安くデリバリーは頼めないため、外に食べに行く人が多い。タイミングがあえば職員同士連れ立って出かけることもある。食事をとる必要がない霊体の汪徴と桑賛は年中留守番だ。
「外に行く人~?」
壁時計は12時になるとチャイムで知らせてくれる。耳に心地良いそれを聞いて所長の趙雲瀾は横になっていた長椅子から身を起こし、事務所にいる人間に向かって呼びかけた。
「今日はどこの店に行くんだ?」
趙雲瀾の反対側に座っていた大慶が背伸びをしながら聞く。
「決めてない。外出て目についた店に入ればいいだろ」
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