占い 雑渡さん目線通勤中の電車の中では携帯でニュースを確認する。それが毎朝の日課。
「(だいたい見終わったなぁ。)」
画面を閉じようとしたら、珍しく誤作動を起こしたのか、占いページに飛んでしまった。
興味がなかったが、せっかく開いたのでちょっと見ることにした。
スクロールすると「ランキング一位 水瓶座」と表示がされており、なんだか得した気分になる。
「(なになに??)」
水瓶座
総合運
今日は嬉しい事が起きる最高の運気!普段連絡しない人に自分の気持ちを伝えると運気を最大に発揮出来ます。
周りの人たちの意見もよく聞くこと!
「(ふーん。)」
今日の自分はついてるらしい。
恋愛運
カップルの方はお互いの趣味を楽しむのが吉!今日は気にかけてあげた方が吉です。
相手は貴方の連絡を待ってます。
少しギクリとした。
実は伊作に連絡をあまりしてない、いや出来なかった日が続き、焦燥していたのだ。
好きな人に連絡をとれないのは寂しいので、朝必ずおはようを送るのだが、支度に追われてなかなか携帯を見れなかったり、返信時間がズレたりとスムーズにいかない。
「(伊作くんは寂しくないのかな。)」
と考えると自分だけが寂しい気がして心配になる。
「○○駅」と目的地のアナウンスが流れ、携帯をしまい、駅についたら人混みと共に降りていった。
「お、なんだやってくれたのか。」
山本が驚き、
「え?これやってくれてたんですか?」
尊奈門が少し動揺して、
「これ私の仕事なのに!!」
高坂は感極まっている。
それぞれの反応はバラバラだが、喜んでいる事には違いないので素直に嬉しかった。
昨日は残業をしたのだが、中途半端に終わってしまい、少しだけと必要な書類やら資料やらを揃えておいたのだ。
「お前頑張りすぎだ。」
山本が嬉しいのだがと心配するような目付きで雑渡をみる。
「まぁついでですから。そこまで大変ではなかったですよ。」
仕事ができるからこそ、周りよりも仕事量が多い。
山本は連日雑渡が頑張ってるのを見ている為、ため息をつき
「今日は午後に早退していいぞ」と小声で耳打ちする。
「え?いや、別に大丈夫ですよ。」
少しびっくりして小声で言い返す。
「俺の方で適当に処理してやる。」
「…」
雑渡は占いの文章を思いだした。
「周りの人たちの意見もよく聞くこと!」
「(なるほど、これか。)したらお願いしてもいいですか?」
「あぁ、それまで頑張れ。」
そういうと山本は自分の席へ戻って行った。
やっとお昼休み、自分で作ったお弁当を外で食べて何時に早退しようと考える。
もう時間は13時43分。
伊作くんは多分、5限目が終わって10分休みだろう。
ふと「(そうだ、伊作くんに…)」
携帯を取り出し、早速伊作にメッセージを送る。
「今日学校終わった後に会えるかな?」
(学校の近くで待って驚かそう)と思い詳しくは書かなかった。
すると早速既読がついたが返信がこない。
いつもなら見たらすぐに返してくれるのに…。
また占いを思い出した。
(自分の気持ちを伝えると運気を最大に発揮出来ます。)
少し考えて、素直に自分の気持ちを書いてみる。
「君に会えなくて寂しい。」
あまりメッセージで自分の気持ちを送らないので斬新だったためか、少し恥ずかしさを感じた。
すると、わりとすぐに「僕も寂しいです。ぜひ会いたいです。」
とかえってきたので、きっとサプライズはうまくいくだろうと確信した。