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    夏naaa

    ここは墓場です。
    書き捨ても普通におきます。

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    夏naaa

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    雑渡さんといさ子は実は会っていて、なぜいさ子が雑渡さんを見て好きになったのか?
    というこじつけの小説です。

    いさ子は覚えていないのですが、初恋の人は雑渡さんなのです。

    台詞の部分分かりにくいです。すいません。

    エピソード0「おばあちゃんが天国へ行ったよ」

    電話を切って、最初に言った言葉。
    お父さんの声が静かにそう呟いたのを覚えている。
    その声は震えてたと思う。


    お父さんは会社をた立ち上げてから、生活が苦しくなった。
    お母さんは毎日笑ってたけど、私が寝た後は時々すすり泣く音が聞こえてきた、心配だったけど子供ながらに声をかけたらいけないと我慢した。

    その頃は、おばあちゃんも一緒に住んでた。
    毎日お母さんは大変で、私もお手伝いで、料理の準備をしようと手伝いをしたら、
    「なにやってんの?!」
    と怒られて、びっくりして持っていた食器を落としてしまった。
    その時の記憶が妙に焼き付いてしまって、料理の準備をするのは未だに苦手。

    おばちゃんのお金に頼ってた所があったから、お父さんはそれ以上は借りれないと、夜遅くまで働いた。
    とにかく毎日大変だった。

    おばあちゃんの骨が悪くて手術しないといけなくて、手術をすることになった。
    そのままおばちゃんは亡くなってしまった。
    私は、優しかったおばあちゃんが大好きだった。
    ボケたあとは、私の事を誰かと間違えてたみたいだけど。

    葬式の時、親戚の人たちはおばあちゃんのお金の話しかしなかった。
    難しい話はわからないけど、お母さんと父さんが悲しい顔をして泣きそうになってた。

    親戚の人がなにかを怒鳴りながら言うもんだから、お母さんは泣いてしまった。

    私は、ジュースをその親戚にぶっかけて逃げ出した。
    うしろで色んな人がなにかを言ってたけど、もううんざりで無視してそのまま全力疾走で逃げた。


    来るときの駅について、自分でもどうしたいかわからず呆然と立っていた。
    自分の周りは忙しなく動いている。
    自分は空気みたく、誰もなにも話しかけてこない。
    まるで世界に自分しかいないみたいだ。
    泣きたいのにすでに何で泣きたいのかわからず、その場でうずくまってしまった。

    「嬢ちゃんどうしたんだい?」

    男の人が聞こえた。
    低いけど、どこか優しいようなそんな声。
    ゆっくり顔をあげたらつり目で黒髪の男の人いた。

    抱え膝座りをしてスーツを着ている。


    「迷子?」
    「…」

    無言で首を横にふる。

    「なにか困ってる?」
    「…」

    なにに困ってるかがわからない。
    返事が出来ず下を向く。
    うーんと悩む男の人の後ろから声が聞こえる。

    「どこに行ったかと思いましたよ!!!ってあれ?子供?」
    「迷子っぽいのだけど、違うんだって。」

    後から着た人も一緒になって目線に合わせてくれる。

    「迷子じゃなかったらお父さんお母さんはどこにいるのかな?」
    「…」
    「答えてくれないんだよねぇ。」

    二人が困ってうーんと首を横にする姿がなんだか、おかしくてちょっと笑ってしまった。

    「ねぇ、お腹空いてない?」
    「…」

    確かに何も食べずにきたからお腹空いたかも。

    「あっちにさ、立ち食い蕎麦あったからいっしょ食べない?」
    「…」

    おそば。
    急にその言葉を聞いたらお腹が空いてきて、こくんと頷く。

    「それは不味いのでは??誘拐になるんじゃあ?」
    「もう食べる気満々だよこの子。」

    その通りで、もう立ち上がって着いていく気満々だ。

    立ち食い蕎麦は大人専用なのか、高い位置にカウンターがある。
    私では到底届かない。

    「ほら、美味しいよ。」
    「…」

    わざわざ目の前にそばの器を持ってきてくれた。
    もう一人の男の人が慌ててそれを止めて
    「そういえば、アレルギーとかないの?
    お母さんかお父さんに食べちゃだめって言われてないかい?」
    「…」

    首を左右にふる。
    「いままでもたべてた。」
    「お?初めてしゃべったな。てかそうか。子供だとそういうのも気にしないといけないのか。」
    「全く。独身だとわからないだろうな。」

    少し嫌みを言われても男の人はふふふと笑うだけで、怒らなかった。

    「ほら、食べな。」

    箸で温かい蕎麦を持ち上げて、フーフーして食べると、蕎麦の美味しい味が口いっぱいに広がった。
    とっても美味しくて、おかわり!と言うと次々食べさせてくれた。


    あっという間に完食した。
    「おかね…」
    「いいよ。私も食べたかったから。」
    「でも、わたしがたべちゃったから…」
    「子供は食べる事が仕事なんだから、気にしないで。」
    男の人は容器を返しにいってくれて、もう一人はどこかに電話している。

    お蕎麦なんて、本当に久しぶりでみんなで食べた時の思い出が甦った。
    なぜだか、幸せな思い出のはずなのにポロポロと涙が出てしまった。
    戻ってきた男の人がそれに気づいて。

    「え?!泣いてるじゃん!!」
    「え?!あれ?!ほんとだ!なんでだ?!」

    大の男二人がアワアワして、ハンカチやらポケットティッシュで涙を拭いてくれた。

    「お父さんお母さんに会いたいなら名前を呼んでもらった方が早いよ?呼んで貰いに行こうよ。」

    それは嫌だと首を左右に振る。

    「きっとおこってるもん。」
    「なんか怒らせたの?」
    「…ひとにジュースかけたから。」
    「あらら」
    「それはなんでそうなったのかな??」
    「…おかあさんを泣かした人にかけたの。おとうさんもなんか言おうとしたけど、わたしが先にかけちゃったの。」
    「それは家でだね?そしたらここには両親はいないだろうな。」
    「うーん。飛び出して来ちゃったんだね。」
    「警察に連れていかないとかな。」

    警察という言葉にビクッと身体が揺れた。
    ジュースをかけただけで逮捕されるのだろうか?
    お父さん、お母さんにはもう会えないだろうか?
    不安でまた目尻に涙がたまる。
    それを見て、蕎麦の男に肩を叩かれた。

    「君は家族を守ったんだから、そんなに怒られないよ。」
    「…ほんとう?」
    「うん。お父さんがやりたかった事を君がやってくれたんだから、怒るはずない。」

    声がとても心地よくてほっとしてまたポロポロ泣いてしまう。
    あららとハンカチでまた涙を拭いてくれた。

    後からきた男の人が顔を覗き込んで
    「きっと、お父さんはお母さんを守りたかったと思うから、君に助けられたと思うよ?」
    と頭を撫でながら言ってくれた。
    「そうかな…」
    「うん、絶対そうだよ。」
    「もし怒るような親父なら今から反抗期になればいいよ。」
    「こら」
    「いて」

    ポカっと蕎麦の男の人はげんこつを喰らって頭を押さえた。

    納得できないことを口に出した。
    「お父さん、まいにちおシゴトで家にいないの。おかあさんもタイヘンなのになにもしないの。だからお父さんキライ。」

    二人がそれを聞いて切ないような表情になる。

    「いいかい、お父さんは君とお母さんを守るために頑張ってるんだよ。」
    「でも、おかあさんがタイヘンなのになにもしないの。それっておかしいよ。」
    服の裾を握って涙を我慢して、少し声が荒くなりならがらそう言った。

    蕎麦の男はふぅとため息をつきながら目線を合わせて、言い聞かせるように言葉をかける。

    「私もね、自分の父親が嫌いだったんだ。でも、今働くようになって気づいたんだが、お父さんはきっと君たちが大事だからがむしゃらに守ってるんだよ。
    大変かもだけど、だからと言って家族をないがしろにはしてないはずだよ。」
    「ないがしろ?」
    「うーん、家族を忘れたりはしてないってことだよ。」
    「…」
    「お父さんが嫌いなのはわかる。そう思っちゃうよね。私もそうだった。」
    「そうなの?」
    「うん。ふふ、君と同じだね。」
    「…」
    「今日の事を謝ったらきっと、向こうも謝ってくれるはずだよ。
    ちゃんと自分の気持ちを伝えてご覧。」
    「うん…」

    なんだかわからないが、そうしないといけないのかと納得した。

    「とりあえず、駅から出て見ましょう。(そのまま警察に行って渡しましょう。)」
    最後の言葉は聞こえないように小声で蕎麦の男に耳打ちをする。

    「そうしたら行こうか。手、繋げる?」
    「うん。」

    蕎麦の男の手は大きくて、温かくて安心した。

    「おじさん、おてて大きいね。」
    「うん?そうだね。」
    「どうやったら大きくなるの?」
    「うーん、とにかく好き嫌いしないでいっぱい食べることかな。」
    「ふーん。」

    駅の途中まできた所に、向こうから声がする。
    「お父さんお母さんだ!」
    手を離して一直線にその声に走って向かった。


    「いさ子!どこに行ってた?!」
    「あんたってこは!!」
    二人がいさ子を思いっきり抱きついた。

    「く、くるしいよ…」

    そう言いながらもへにゃと笑ういさ子に、二人は安心して身体の緊張が解けた。

    「あんたなにしてたのここで…」
    「おじさんたちがそばを食べさせてくれたの。」
    「おじさん??どこにいる?」
    お父さんが険しい顔して周りを見る。
    いさ子も周りを探してみたが、先ほどのおじさんたちの姿が見えなかった。

    「まさか誘拐?」
    「ありうるな。」
    「ち、ちがうの。いっしょにおとうさんとおかあさんをサガしてくれようとしてたの。」
    「「…」」
    口ではなんとでも言える。
    子供なんて正直に信じてしまうから、もしこのままいさ子が連れ出されていたら…
    お母さんはその考えを振り払うかのよに首を左右にふって心に決めた。
    (これからこの子に自分が習った柔道を教えよう。)

    「とにかく無事で良かった。本当に良かった。ごめんなぁ。お父さんの代わりに怒ってくれて…。」
    先ほどの蕎麦の男の人の言葉を思い出した。
    「ワタシもごめんなさい。でも、おかあさんにまかせっきりはよくないよ。もっとおかあさんをダイジにして。」
    「あ…はい。反省します…」
    「なに大人みたいなこと言ってんの…」

    お母さんはそういって少し笑ったが、
    いさ子は本気なので笑わない。
    それを見てお父さんは「わかった。必ず時間をつくるから、だから許してくれるかな?」 
    必死にそう言うお父さんを見ていいよ。とやっと笑うことができた。



    夜に居間で家族達が話している。
    いさ子や他の子供たちは寝る準備をして歯磨きやらお布団にはいったり大忙しだ。

    居間のテレビからニュースが流れても誰も気にしない。

    「今日の午後○○で火災がありー」



    いさ子 5歳
    雑渡さん 27歳
    +尊くんのパパ


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