「ケープ振り合うも多生の縁」孵化胸が弾むようなものを見つけてもだれも、同じように見てくれなった。
時間がたつにつれて皆と同じものをみれなかったオレは一人になった。
それでも進んだ先に何かある気がして歩むことはやめなかった。

進み続けた先に、オレの一等星がそこにいた

世界が塗り替わるほどの輝きだった。

古傷があるマンタとともに飛ぶ鮮やかな星
胸のコアが壊れるかと思うほど歓喜と焦がれがあふれた

必死にその星を追った


シャボンシーシャの屋台でオリーブが一服していた。
茂みが激しく揺れ、幼い星が飛び出してくる。
トロ「あー！うぅー？？」
キラキラ、らんらんと、追いついた星を食い入る様に見つめる。
レヴ「いらっしゃ…うーん、客ではないな？」
客かな、と振り向いたレヴが傷だらけの幼い星を見てすこし困惑する。
トロ「う、ぁ？あー」
オリーブ「ふふ、こんにちわ子犬ちゃん。”これら”に興味があるの？」
吸っていたシャボンシーシャの煙をトロに吹きかけ、レヴを視界に入れて目を細める。
トロ「っ！げほ！ごほ！！」
オリーブ用にきつく調整されたそれを吸い込んでしまい、うずくまってむせるトロ。
オリーブ「クスクス、残念ね。あなたにはまだ早いみたい、レヴ持ってるでしょう？」
煙管で傷だらけのトロを指す
オリーブ「これのかわりに出してあげなさいな」
くちをへの字にしてため息をつくレヴ。
レヴ「ほら、これを使いな」
トロ「！！おー、わー？？」
軟膏を受け取るもどういうものかわからず、座ったまま容器を上へ下へとのぞき込むトロ
レヴ「…傷に塗る薬だよ」
トロ「きー？ぬ？？」
レヴこうするんだよと、腕にぬる動作をするも首をかしげるトロ
オリーブ「子犬ちゃんおしゃべりおぼえてないみたいねぇ」
煙管をふかしながらも杖を握る、視線でもしもの時はとめてあげるわよと促す。
とてもいやそうな顔をするレヴ、軟膏の容器をきらきらした目で掲げみる傷だらけの子。
首を振り深呼吸をする。
レヴ「貸しな」
容器をとりあげ、手首をつかむ。
布で軽く汚れをおとしてから、軟膏を塗り包帯をまいてやる。
きょとんとした顔で一連の動作をみるトロ。
途中からその視線は宝物を見つけたかのように輝きと熱を持つ。
レロ「こうするんだ、覚えたか？」
処置をするために腕を見ていた視線をあげた先にあるものにたじろぐレヴ。
レヴ「っ、後は自分でやりな」
残りの軟膏と布を押し付けてレディの方へ戻っていく
包帯をまかれた自分の腕、渡された軟膏の容器
誰かにあたえてもらう初めてだった
そして何よりも惹かれ焦がれる星の輝き
コアが沸き立ち、紅玉のような瞳を見開く。
それがどういう感情なのか、どうすればその衝動を満たせるのかわからぬまま
今はただ視界にある宝たちを恍惚と見つめる。
オリーブ「まるで殻を破ったばかりのひな鳥ね」
最後の一口を吸いこみ、空に向かい紫煙をくゆらす。
オリーブ『お痛たは駄目よ』
突然、頭に直接意味が響き驚いてオリーブをみるトロ。
小さな魔法陣を咲かせた杖を持つ暗闇がいた
本能が告げる警告に体が凍る
オリーブ『いい子に遊ぶならあなたの自由、好きに飛べばいいわ』
魔法の花を散らし、レヴに帰りの挨拶をしにいくオリーブ。
熱く焦がれる衝動と恐れの衝撃が目まぐるしく、しばらくその場からうごけなくなるトロ。
何とか咀嚼して動けるようになることにはもう誰もいなくなっていた。

もう一度会いたい
そばにいたい、あの星以外誰もいらない
大丈夫、におい(気配)は覚えた
探しに行こう