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    rinkokonoe

    @rinkokonoe

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    rinkokonoe

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    笹紅をつけた志津摩君と八木さんのお話。
    短いです。
    笹紅塗ったら似合うだろうなぁと思いながら書きました
    蛍火艶夜

    玉虫色紅を貰った、似合うからと
    使いかけで申し訳ありませんといって手渡されたそれは、湯呑み茶碗の中に入っていて、玉虫色に光り輝いていた

    部屋に戻って小さく包まれた風呂敷を広げると、中には小さな湯呑み茶碗に玉虫色の何かが入っているものだった
    丁寧に筆と手鏡も添えられている
    ああ、これは紅なのだと気がついた
    「俺がこんなのつけても、似合わないよなぁ」
    それでもなんだか気になって、筆を水で濡らしてくる
    そういえば昔母が使っていたことを思い出して
    その姿を真似する
    水を含ませた筆で玉虫色の端っこをつい、と撫でる
    すると中から紅色が急に現れる
    「すごい」
    何度か筆でなぞってから、手鏡を持って唇に薄くつい、と塗ってゆく
    薄紅く色付いた唇は、不思議な色をしていた
    八木さんに見せたい
    そう思いながら俺は手の甲で唇を拭った
    光に透けるとそこは、紅色がだんだんと玉虫色に変わっていった

    その夜、俺はこっそりと厠で紅を塗った、きっと八木さんはいつもの所にいるのだろう
    紅が見える明るい所に行きたいけれど、どうだろうか

    「八木さん、今日もここですか」
    「どこだって構わないだろ」
    今日も煙草を吸っている八木さんは、どこか悲しげで、それでいてとても格好いい
    「ねぇ八木さん、今日いつもと違うところがあるんです」
    「あ、どこが違うんだ?」
    よく見ればわかりますよ、と八木さんの袖をひいて少しだけ明るい場所に出る
    見えているだろうか、少し不安になりながらヤギさんを上目遣いで見つめる
    「おい志津摩、それ」
    「わかりました?紅です」
    女学生さんに貰ったんですと言いかけた瞬間に唇を奪われた
    べろりと唇を舐められた後に、舌を絡ませて合う
    紅の味がする、そう思いながら口付けをしていると唇が離れていってしまった
    口寂しい
    「すげぇ似合ってる、したくなっちまった」
    「俺も、したいです」
    そう言うといくぞ、と手を引かれる
    乾きかけた唇は、紅色から玉虫色に変わりかけていた
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