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    hiyoko_2piyo

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    hiyoko_2piyo

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    クロエ、帰還!
    いつぞやの話のものを個人的に読みたくて書いた。うろ覚えと一部妄想で補っております。
    1番のびっくりは男連れて帰ってきたことだと思う(?)

    登場:クロエ、ソフィア、セイさん(お借りしました)、バジルさん(お借りしました)、セバスチャン+使用人達

    ウィリアムズさん達が集合した話「こ、ここっ、イギリスですわよね!?」
    「間違いなくイギリスだね」

    込み上げてくる涙を噛み締めながら、拳を天高くあげる。

    「〜〜〜帰ってきましたわー!!!!!」

    この日、クロエは3年ぶりの故郷への帰還を果たしたのである。

    ーーーーーーーー

    クロエが最後に見たあの日からほとんど変わりない家を見る。見慣れた顔、驚いた顔、私を見て泣く顔、いろんな表情を向けられながらも真っ先に来た妹と執事に、再び涙が出そうになる。こぼれ落ちてくる前に手で拭い、2人と皆に3年振りの笑顔を向ける。

    「ークロエ・ウィリアムズ!ただいま戻りましたわ!」
    「…っ!お姉様!」
    「…おかえり、なさいませ。クロエお嬢様」

    ギュッと2人に抱きしめられる。2人の温かさが、今自分がここに居るという事を実感させられる。およそ3年。短いようで長い日々は、突如としてその終わりを迎えた。

    「ごめんなさい。帰ってくるのが遅くなってしまいましたわね」
    「本当です。バカ。お姉様のバカ」
    「返す言葉もありませんわ…。セバスチャンも、今までずっと苦労をかけたでしょう。ありがとうございますわ」
    「お嬢様の無茶ぶりに比べたら、これくらい容易い事でございますよ」

    その言葉に昔のやりとりを思い出した、思わずふふっと、クロエは笑った。使用人達も次第とクロエに集まり、各々の表情を見せながらも言葉をかけていた。
    その中に、1人まだ見つけられない人を思い浮かべ、クロエがそっとセバスチャンに声をかける。

    「あの、セバスチャン。バジルは…」
    「今は日本に滞在しておりますが、お嬢様の話をして今こちらに向かっておりますよ」
    「そうなのですね!」

    ほっと胸を撫で下ろし、ここまで色々と教えてくれた人物に振り向いた所でハッとした顔になる。

    「そういえば自己紹介もお礼もまだでしたわよね!?皆さん、こちらセイです!私を助けてくれた恩人ですわ!セイ、改めてお礼をしたいのですが、もう少し時間を貰えるかしら…?」

    怒涛のように言葉をかけられた張本人は、特に驚いた顔もせずニコリと微笑むと「大丈夫だよ」と頷いた。それを見たセバスチャンが使用人達に声をかけ、皆慌ただしく屋敷へと戻っていく。

    「お嬢様の恩人への挨拶が遅れてしまった事をお許しくださいませ。私、ウィリアムズ家に長年仕えております。セバスチャンと申します。改めてまして、この度、お嬢様をお救い下さいましたこと、心からの感謝を」
    「初めましてセバスチャンさん。鈴鳴セイです。こちらこそ、彼女との生活は色々と新鮮だった」
    「お嬢様が相手では、少々骨が折れたのでは?」
    「どうだったかな」

    はははは、と2人が笑っているのを少し遠目で見ていたソフィアが、クロエの裾を軽く掴むと耳打ちをした。

    「お姉様、あの方とはどのような?」
    「え?あ、セイは…」

    そこまで言ってクロエの脳みそにイナズマが走る。セイと出会ったのはあの不思議な空間だ。そこでの出来事はセイはあまり覚えていない様だし、セイから聞いた話だと、別の世界?では同じように出会ってるらしいが、今のセイにその記憶はないらしい。そこまで思い出して、クロエは頭がこんがらがり考えることをやめて、とりあえず2人が共通して話題が取れるものを無難に選んだ。

    「セイは、恩人で、一緒に暮らした仲で…あと、凄く頭が良くて優しいですわ!」
    「一緒に暮らした仲…なるほど…」

    クロエとしては、正直な感想だった。本が書ける=頭がいいと言うのも不思議な話だが、実際彼がクロエに家の住所を覚えているかと提案していなければここまで来るのにはまだ時間がかかっていたかもしれない。何よりこの身1つの一文無しなクロエを家に置いてくれるような聖人だ。クロエとしては神様より神様みたいな優しい人という印象だった。

    さて、ここで1つ。クロエは少し誤算していた。
    ソフィアはソフィアでここ数年でガラリと変わった。元々内気な性格だった少女は、姉が居なくなったあの日から誰も見ていない所で姉が戻ってくるのを願いながら、姉の代わりを務めた。それ故に、多少人見知りが緩和され、代わりにかなりイタズラ好きな部分が出てしまったのは必然とも言えるだろう。まだまたま甘えたい時期に姉が居なくなってしまったのだ。多少の()イタズラなら多めに見られる。
    それを知らないクロエなら当然、過去のソフィアの印象のままだろう。
    自分の裾を掴み、セイとの関係を聞いてくるのはきっと人見知りをしているのだろう。そう思ったクロエは、大丈夫と安心させるために思ったことを言葉のままに言った。
    その言葉を受けたソフィアは言葉を繰り返し、やがてニコリ、と可愛らしくクロエに微笑む。

    「では、挨拶してきます」
    「えぇ、とても良い人ですわよー!」

    数年見ない間に妹がこんなに成長して…!とクロエがほんわかな気分になっていた。これが母性。これが姉離れ。少し寂しい気もするけれど、妹が頑張る姿には心を打たれるものがある。そう思って後方姉面をしていた。

    「初めまして、セイ様。この度はクロエお姉様を助けて下さり、本当にありがとうございます」
    「そんなに畏まらないでくれ。僕は彼女が無事に家に帰れたと言うだけで喜ばしいからね」
    「クロエお姉様から少しお話を伺いましたが、本当にお優しい方で良かったです。是非親しみを込めて、お兄様、と呼んでも?」
    「ソフィア!?!?」
    「あっ、そうだわ!私達からのお礼はご飯への招待だけれど、お姉様からもちゃんとお礼した方がいいわ!まだこちらにいらっしゃるのなら、お姉様と観光などどうでしょう?きっと楽しいですよ。あ、ご飯が出来るまでの暇つぶしなら、お姉様のアルバムがうってつけですよ。沢山ありますから、是非見ていってください」
    「ソフィア!!!!急に何言ってますの!?それにそんなにあれこれと言ったらセイもこま「それは楽しみだ。お言葉に甘えてさせてもらおうかな」セイ!?!?」

    思わぬ展開で思わずクロエが声を上げる。
    可愛らしい妹は、数年で逞しく育っていた。これも成長である。ただ少し、逞しくなりすぎた気もしなくはないが。姉として喜ぶべきなのだろうが、今は可愛かった頃の妹が恋しい。
    それ以上の問題点はセイをお兄様と呼ぼうとする所である。いや恩人だから親しみを込めてなのだろうか。でも急に親しみ過ぎでは??妹の成長ぶりに目が点になるし、耳が遠くなっている気させする。そっとセバスチャンがクロエの肩を叩いたのは言うまででもない。何か言いたげなセバスチャンを見て、クロエは変わりないそのシワの表情に喜びながら感嘆が垂れる。

    「セバスチャン…!」
    「お姉様、心しておいて下さい」
    「えっ」

    ーーーーーーーーーーー

    タンタンタンタン、と。靴と絨毯で音を響かせるのは、帰ってきた時からずっとオーラを出していたバジルだった。
    それを産まれたての小鹿の様になりながら日本の正座をしているクロエは、恐怖で震えと情けない声を上げていた。

    「あ、あのっ、お久しぶりですわね…」
    「…」
    「さ、再開のハグとか、し、しま「しないっすね」はい……。えっと〜…ご、ごめんなさい…」
    「へぇ?何に対しての謝罪っすか。それ」
    「えっと、あの、ゆ、行方不明だった謝罪…?」
    「へぇ。自分から行方不明にでもなったんすか」
    「いや、えっと、ち、違いますわ…」
    「じゃあ何の謝罪なんすか」
    「アッ…アッ…」

    あまりにも無常であった。バジルが怒るのもまぁ分からなくは無い。本人も、今までずっと行方がしれなかった本人が五体満足で帰ってきてくれたのだから、そこに関しては安堵した。しかし、怒りの問題はその後だった。
    クロエの「言ってもらって初めて連絡をした」と言うところが気に食わなかったのだ。
    それもそのはず。バジルも含め、屋敷の全員がクロエの安否を探したのだ。自国から海外まで、使えるツテを全て使い必死になって探した。だからバジルだって日本へと行ったのだ。両親も祖父達も終わらず、その上クロエまでいなくなり、ソフィアが今日までずっと頑張っていたのを近くで見ていたのはバジルなのだ。なのに当の本人はそれを忘れていたという。バジルとしては、それだけは言って欲しくなかった。みんなの努力を過去にして欲しくなかったし、会いたいと思っている気持ちがあって欲しかったから。それなのに目の前の震えた女はそれが分からないようで、泣きそうな顔でバジルを怖がり震えていた。それが余計気に食わなかった。

    「まぁまぁバジル、そんなに眉間にシワを寄せて怒っていたら、そのうち牛になってしまいますよ〜。ほら、日本では怒る時に言うんでしょう?"もー"って」
    「今そういうジョーク言われて笑える雰囲気だと思って言ってます?」
    「いいえ?でも空気は変わりましたよ。…クロエお姉様、少しバジルと2人きりでお話させてください。今だと、お庭は花が咲いています。使用人達が丹精込めて育てていたから、きっととても綺麗ですよ」
    「わ、分かりましたわ…。あの、バジル…」

    扉を開け、再びバジルに視線を向ける。しかし、少し間が空いてから「やっぱり、なんでもないですわ」と言って部屋を後にした。
    そんなクロエを見送ったあと、ソフィアはバジルの両頬を挟めながら優しく叩いた。

    「おいこら何しやがりますか」
    「バジル、ありがとうございます。怒ってくれて」
    「…」
    「でもね、本当に私は、お姉様が帰ってきてくれただけでも嬉しいの。…正直、もう会えないと思っていたし、会えたとしても、こうやって話したりは出来ないと思っていたから」
    「だからって、私達の気持ちはいいっていんすか」

    バジルの噛み付くような言葉に、ソフィアは微笑みながら首を横に振る。

    「それも大切です。けど、だからと言って貴方が全部背負う事もないでしょう?お姉様はきっと、ちゃんと説明したら心から謝って、それから償うように時間で埋めようとする。けど、それは私達の求めたものじゃない。
    ただ、私達はお姉様が帰ってきたのを心配したのよって、泣きながら喜んで、これからも支え合っていきながら暮らしていきたい。それはあなたも同じなんじゃないですか?」

    はぁ〜〜〜〜〜〜。と、大きなため息を吐きながら、バジルは近くの椅子に腰をかけた。それをニコニコと嬉しそうにソフィアは駆け寄る。

    「バジルの怒っていることも分かります。私達を忘れて欲しくないから。私達はお姉様を愛していて、こんなに必死に探したのに忘れていた、なんて言われたら寂しいですもん。けど、同じくらいバジルがお姉様を寂しがっていたのも分かってますからね。だから、怒るのも分かります。でも、それでバジルとお姉様がぎこちなくなるとか、私は嫌ですよ」
    「…別に。仕事なんで」
    「またまたぁ〜!バジルってば素直じゃないんですから"」
    「はーい行き過ぎたお喋りは良くないっすよ〜」
    「む"ー!むぐ"ー!」
    「…ぷっ、はは、変な顔」

    ムニムニとソフィアの頬を変形させていた手を止めて、バジルが笑う。相変わらずソフィアの頬は遊ばれているが、ずっと怒り顔していたバジルから久しぶりに笑顔を見た気がして、ホッと胸をなでおろした。

    「そもそも、お嬢達がいけないんすよ。全然怒んないんだもん。みんなクロエ嬢を甘やかしすぎなんすよ。だからあんな頭パッパラパーになるんすよ」
    「ふふ、確かにそうかもですねぇ。心配で怒るより、心配で安堵の方が勝ったのかもしれません。それに、お姉様は頭は悪いですけど、運はありますから」
    「頭がパッパラパーなのは認めるんすね…」
    「多分。お姉様の事なので、今までのシステムのあれこれとかだいぶ忘れてると思いますよ?」
    「…復帰無理くらいすか?」
    「そこは頑張ってもらいます♡まぁ、当面は会社見学兼仕事内容諸々の見直しからですね。と、言うわけでバジル〜!」
    「嫌っす」
    「まだ何も言ってませんったら!」

    言う前から悪寒がしてストップをかけるバジルは、色々な事に頭を抱えた。姉妹揃って、いい意味で厄介だ。

    「それはさておき、とりあえず私はもうしばらくクロエ嬢に怒ってるんで。むしろ怒りたりないんで」
    「程々にしてあげてくださいね〜」
    「善処しまーす」
    「あ、それ日本だと逆の意味になるやつですよね」

    何処吹く風か、バジルは席を立つととりあえずタバコを吸いに移動するのだった。

    ーーーーーーーーーーー

    翌日
    「と、言うわけで!お姉様には社会復帰諸々を兼ねて、日本へ行ってもらいます!」
    「はい!?!?/はぁ!?」

    ソフィアの朝食の席の第一声に、クロエとバジルは驚きの声を上げた。

    「なんすかそれ聞いてませんけど!?」
    「だってバジル、昨日言おうとしたのに止めたじゃないですか〜」
    「あの時か…!」

    昨日の2人で話してる時に止めたことを思い出し、若干の後悔に頭を抱える。それにしたって、これは急すぎるというツッコミは口の中へと入ってしまった。
    一方、当事者のクロエは別の心配に声を上げていた。

    「わ、私日本語だいぶ忘れてしまっていますけれど!」
    「バジルもいるので大丈夫です。あと現場で慣れてください」
    「す、住むところはどうするんですの…!?」
    「セイお兄様に確認したら、一緒に住んでもいいと許可が降りたのでそちらで。もちろん、お姉様が働いて稼いだお金で。光熱費諸々は話し合った上で支払ってくださいね!」
    「セイの事お兄様呼びで定着したんですの!?というかセイは大丈夫なんですの!?」

    阿鼻叫喚(約2人)が飛び交う中、同じく朝食を取っていたセイがこくりと喉を揺らしたあと口を開く。

    「ああ、構わないよ。部屋はあるしね。それにボクも彼女といるのは楽しいと感じるよ」
    「セ、セイ〜…!」
    「と言うか待ってください?その場合私はどうなるんすか」
    「バジルは現状はそのままで続けていてください。やっぱり国が違うと、その国の知識とルールは特有のものが多いですし…法律面でも知ってる人や繋がりがあると何かと良いですから。あ、それとも結婚された旦那さんの専属になっちゃいますか?私としてはそれも面白そうなのでありです!」
    「あり!じゃないっす今言う話じゃねーんすわ!!」
    「えっ!?バジル結婚しましたの!?バ、バジルが…!!お、おお、お"めでとう"
    ございま"すぅ"〜!!!!!!」
    「ほら言わんこっちゃない!」

    ニコリと微笑みながらさりげなく爆弾を落とすソフィアを、今すぐ捕まえられないだろうかと思ったのもつかの間。光の速さでバジルの手を取り、号泣しながら祝いの言葉を伝える。

    「バ、バジルっ、う"、しあ"わぜ、にっ、なってくだざいね"!!!」
    「うるさい離せー!!離せー!!」
    「まぁそういう訳なので、みんなで頑張っていきましょう〜!セイお兄様、お姉様がご迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いします。あ、もし何かあったらすぐ教えてくださいね。必要であれば私が自ら…」
    「行かんでよろしい!!だぁー!クロエ嬢は分かったからとっとと離、な、れ、ろ!」

    続かないや🙃


    クロエ
    帰ってきましたわ〜!!!いつぞやのバジルさんの怒を受けてもらいたくて書きました。あとセイさんもご紹介…いや、お礼をするために家に招きましたね!お姉様にはとりあえず一般的なくらしから人生やり直してください。ちなみに料理は指を怪我しながら作る(3年間のサバイバル?生活の賜物)

    ソフィア
    帰ってきてくれた嬉しさと、ちょっとの寂しさと、大量の面白いことになりましたね!が混ざった結果。会社にはお姉様が必要だけど、それはそれとして3年のうちに頭が退化しているようなのでしっかり学び直してきてくださいね☺️バジルさんが怒る理由も分かるので、せめて2人が気まずくならないようにの仲介人のような立ち位置。ちなみに、殴り合いを見ているようでそれはそれで楽しいので、ストップをかけることはあれど、ゴングを鳴らすのもこの女であったりする。

    バジルさん
    借りましたわー!!!怒ってくれてありがとうという気持ちでいっぱい。怒ってくれるくらい心配してくれてその分怒ってくれてるのかと思うとおいちゃん涙無しには語れませぬ。さりげなく結婚を伝えたので私は満足。今度旦那さんも連れてきてくださいね😊

    セイさん
    借りましたわー!!!大変クロエが迷惑をかけました…何卒同居の際には再び迷惑をかけると思いますがお許し頂けたら幸いです…(土下座)家庭的な事はこれから頑張るなので何卒…何卒…!!!

    セバスチャン+使用人達
    ハラハラしながらも、自分たち以上に心配で心を痛めてるであろうソフィアとバジルのことを思い、むしろ我々が支えねば!になってた人達。みんないい人だなぁ。それはそれとして心配はすごくしてたので帰ってきた時は喜んでる人やら泣き崩れる人やらある意味阿鼻叫喚。阿鼻叫喚しながらご飯作ったり掃除したりしたらしい。凄い精神である。
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