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    soseki1_1

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    soseki1_1

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    いない大佐🤕、来訪者を迎えてしまうノワ🔮
    (大ノワ+DM+📸副官ノト🧲/傭占+写+探鉱)

    でも僕の願いと裏腹にチャイムが鳴った。
     奇妙だった。この家で本当の保護みたいな観察をされる間では初めてのことだった。食材を届けにくる業者はいつも時間通りに訪れ、注文通りの品をボックスに入れて、チャイムを鳴らすことなんてしない。それ以外にこの家に訪れる人なんていないのだ。ここは軍人が暮らす家で、ただの軍人ではなく大佐だとかいうとんでもない人が住んでいる。いつもスナイパーや護衛の目が差し向けられており、万が一許可や予定のない訪問者が訪れれば扉に手が触れるより前に的確に足元へ威嚇射撃が行われることだろう。こんな物騒な内情を知らない近所の家々も、本能的に危険を察知しているのか不用意に近づきはしない。
     だからチャイムなんて鳴るはずがないのだ。
    「無いとは思うが」と、いつだったかに彼が言っていた「もし誰かが家に訪れたとしても、君はなんの対応もしなくていい。チャイムも何もかも全て聞かなかったことにしなさい」
     それが有り得ないことだと知りながら大人しく頷いた。監視対象を入れた家に来訪者などという脱走の機会を与えてくれるはずがない。だから念の為の警告だと納得して首を振ったのだ。
     なのに、チャイムが鳴った。
     困惑して硬直しながら思考し、聞き間違いかと納得しようとしたのにもう一度鳴った。いよいよ当惑して、思わず一度包丁を置いた。首を傾けて玄関の方を見た。どうすることもできない。「なにもかも全て聞かなかったことにしなさい」初めの日に受けた命令は今も撤回されていない。だからその通りにするはずだった。まな板から変わった視界に小さな液晶画面が映るまでは。
     インターホンに備わったカメラから訪問者を映し出すドアホンは、正しい映像を表示している。それを解っているらしい人は、カメラ越しに僕を見ていた。僕が見つけたことを知っているみたいに。いや、知っているのかもしれない。あの人は人の機敏に敏かった。人間が音の何度も鳴る起因に目を向けないはずがないと知っている。気配に過敏な僕がそうせざるを得ないことも。
    「開けなよ」
     僕が小さな液晶を見て目を丸くしたことも、何もかも知っているのかもしれないその人の声が放たれる。扉の向こう側から機械を通じて、電子の配列によってよく似た音が作り出されている。機械交じりの声は、機械越しの顔は、やっぱり全部わかっているように口を歪めて僕に命じた。火傷の跡を隠しもしない軍服の男の声で。
    「命令かもよ」
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    soseki1_1

    PROGRESS大佐🤕と喧嘩して家出した🔮を匿う副官🧲2
    /現パロ大占傭占
    「ああ、いるよ」
     携帯電話から届く声が誰なのかは判別がつかない。ただキャンベルさんの口ぶりと目線で彼だと解った。彼は眇めたような流し目で僕を見た。
    「僕の家に居る」
     裏切られたと思った。立ち尽くした足が後ろにたたらを踏んで、この家から逃げようとする。だけど裏切られたという衝撃が体の動きを固くしていた。そのうちに、彼は言った。
    「なんで? あげないよ。送り届けてなんてやらない」
     踵を返して走り出そうとした足が止まる。息を止めたままキャンベルさんを見ると、彼はもう僕の方を見てはいなかった。ただ、唇を歪めて厭に微笑んでいた。
    「飽きたんだろ?貰ってあげるよ。常々美味しいんだって聞いてたし」
     怒鳴られてる。とは、漏れ出る音で解った。そういう空気の振動があった。それに構うことなく、キャンベルさんは鬱陶しそうに電話を耳から離すと、液晶に指を滑らせて電話を切った。四方形のそれをソファに投げて息を吐く。僕の、何とも言い難い視線に気付いたのだろう。彼はもう一度目線だけで僕を見た。それが問い掛けの代わりの視線だと解ったから、逃げ出すより前に口を開いた。
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    soseki1_1

    PROGRESS求愛してる白鷹とそれに気づかない夜行梟/鷹梟/傭占
     そもそもの始まりは食事からだった。と、夜行梟は呟き始める。狩りのやり方を教えた頃から、やたらと獲物を取ってきたがると思っていたのだ。覚えたての狩りが楽しいのだろうと微笑ましく思えていたのは一、二年ほどで、そのうちどこからか料理を覚えて振舞うようになった。あれはそういうことだったのだ。給餌だ。求愛行動のひとつだったという訳だ。夜行梟はその真意に全く気付かず、私の料理美味しくなかったかな、悪いことしたな、なんてひとり反省していた。
     夜行梟の誕生日に三段の素晴らしいケーキが出された辺りから、つまりは今年のハロウィーンを終えた辺りから、いとし子は本領を発揮し始めた。まず、夜行梟の寝台に潜り込んだ。今思えばこのときに気付いてもよかった。よかったのに、夜行梟は布団の隙間を縫うように身を潜らせたいとし子に「怖い夢をみたのかい?」なんて昔と同じように声を掛けた。もうとっくに子供じゃなくなっていた白鷹は、このときは未だ我慢していた。「そんなものだ」とだけ言って隣に潜り込み、足を絡ませて寝た。今思い返すと完全に求愛だった。鷹族の習性だ。鳥型の鷹は空中で足を絡め合い、互いの愛情を深めるのだ。鷹族の遠い親戚からきちんと聞き及んだ話だった。のに、思い当たらなかった。まだ甘えん坊さんだな、なんて嬉しく思っていた。
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