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    soseki1_1

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    soseki1_1

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    猟犬♂🤕の帰りを待っている間に可愛い一般人🔮に手を出す猟犬♀
    (猟猟占/女攻め有)

    腰に手を這わせば「料理中だから」と眉尻を下げて微笑まれた。「危ないよ」と、この男は本気で言ったんだろうとナワーブは分かっている。なのに理解とは裏腹に、こいつは揶揄っているのかと半ば本気で腹を立てかけた。刃物なんて、この優男の百倍は上手く扱える。まな板の上に乗った肉なんてあっという間に捌ける。今横たわるそれは鶏肉らしいが、どんな肉だろうと容易いものだ。それが人のものであっても。加えてイライは、片手に握っていた包丁をまな板に置いて言っていた。万が一にも取りこぼして、ナワーブに刃先のひとつでも当たらないように配慮しているのだ。でもそんなことはナワーブにとってなんの意味もない行為だ。たとえその万が一があったとしても、ナワーブはその挙動を見定めて、軽く峰を掴んで、刃先を包丁に突き刺すことができる。鶏肉を真っ二つにすることも。その手のぎりぎりを掠めることだって出来てしまうのだ。そういう人間だ。それはこの男も知っているはずなのに、「危ない」なんて宣う。困惑するままナワーブが瞬きをすると、彼は顔を少し傾け、頬でナワーブの髪を撫でた。それから「ソファで待ってて」とキスするように囁いた。
     頬の輪郭を指先でなぞると「はい、あーん」などと笑ってフォークを向けられた。三又の切先には醤油と胡椒、それからハーブを和えて焼かれた鶏肉が突き刺さっている。香りのいい夕飯だ。一部を少し焦がしたくせに、それは全部自分の方に避けて、ナワーブには綺麗に出来たところだけを渡そうとしている。フォークに刺さっているのもそうだ。とびきり美味しそうに焼けたものを差し出された。ナワーブはこれまで、それなりの経験をして生きてきた。文字通り泥水を啜ったこともあるし、多額の割にちっぽけな量しかこない料理を口にした経験もある。だからスーパーで売られる五百円以下の鶏肉なんて、ひたすらに普通の飯に過ぎない。そのはずだ。なのに差し向けられたそれは、皿の上に乗るそれらは、やけに美味しそうに見えるから不思議だった。大口を開けて食べてやると、フォークを向けたイライは心底嬉しそうに笑った。
     肩を掌で抱くと「あの」なんて声が出た。見れば、頬を赤くしたイライが青い目を彷徨かせている。ナワーブより幾らも背の高い男だ。年こそ若いとはいえ、見てくれだけでいえば情けないと言わざるを得ない。はずなのに、どうしてだかそれが赤い果実のように見える。熟れ始めた、甘くて美味しい果実。体を傾けてその腕に胸を押しつければ、その色は更に濃く深くなった。彼の膝の上で大人しくしてる手の甲に指を這わせてやる。びくっと震えるのにちっとも振り解こうとしない有様が、ナワーブには心底愉快に思えた。手を裏返し、掌同士を合わせて握り合わされたときなどは、もう可愛いとすら思えた。
    「これって」
    「ン」
    「浮気になるのかな」
    彷徨っていた視線がナワーブへと傾き、口が辿々しく声を出す。罪責と期待、不安と歓呼。全部を綯い交ぜにした声と目に、ナワーブは桃色の唇でにんまりと笑う。
    「なるわけないだろ」
    そう言ってやって、傾いていた視線ごと唇を奪う。寄せていた体で上に乗り上げて、イライの体をソファに横たえらせる。驚く口に舌を差し入れて、キスを確かなものにさせる。そうやって本当に告げるべき本音を隠した。
    ま、アタシが奴ならキレるけどね。
     
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    soseki1_1

    PROGRESS大佐🤕と喧嘩して家出した🔮を匿う副官🧲2
    /現パロ大占傭占
    「ああ、いるよ」
     携帯電話から届く声が誰なのかは判別がつかない。ただキャンベルさんの口ぶりと目線で彼だと解った。彼は眇めたような流し目で僕を見た。
    「僕の家に居る」
     裏切られたと思った。立ち尽くした足が後ろにたたらを踏んで、この家から逃げようとする。だけど裏切られたという衝撃が体の動きを固くしていた。そのうちに、彼は言った。
    「なんで? あげないよ。送り届けてなんてやらない」
     踵を返して走り出そうとした足が止まる。息を止めたままキャンベルさんを見ると、彼はもう僕の方を見てはいなかった。ただ、唇を歪めて厭に微笑んでいた。
    「飽きたんだろ?貰ってあげるよ。常々美味しいんだって聞いてたし」
     怒鳴られてる。とは、漏れ出る音で解った。そういう空気の振動があった。それに構うことなく、キャンベルさんは鬱陶しそうに電話を耳から離すと、液晶に指を滑らせて電話を切った。四方形のそれをソファに投げて息を吐く。僕の、何とも言い難い視線に気付いたのだろう。彼はもう一度目線だけで僕を見た。それが問い掛けの代わりの視線だと解ったから、逃げ出すより前に口を開いた。
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    soseki1_1

    PROGRESS求愛してる白鷹とそれに気づかない夜行梟/鷹梟/傭占
     そもそもの始まりは食事からだった。と、夜行梟は呟き始める。狩りのやり方を教えた頃から、やたらと獲物を取ってきたがると思っていたのだ。覚えたての狩りが楽しいのだろうと微笑ましく思えていたのは一、二年ほどで、そのうちどこからか料理を覚えて振舞うようになった。あれはそういうことだったのだ。給餌だ。求愛行動のひとつだったという訳だ。夜行梟はその真意に全く気付かず、私の料理美味しくなかったかな、悪いことしたな、なんてひとり反省していた。
     夜行梟の誕生日に三段の素晴らしいケーキが出された辺りから、つまりは今年のハロウィーンを終えた辺りから、いとし子は本領を発揮し始めた。まず、夜行梟の寝台に潜り込んだ。今思えばこのときに気付いてもよかった。よかったのに、夜行梟は布団の隙間を縫うように身を潜らせたいとし子に「怖い夢をみたのかい?」なんて昔と同じように声を掛けた。もうとっくに子供じゃなくなっていた白鷹は、このときは未だ我慢していた。「そんなものだ」とだけ言って隣に潜り込み、足を絡ませて寝た。今思い返すと完全に求愛だった。鷹族の習性だ。鳥型の鷹は空中で足を絡め合い、互いの愛情を深めるのだ。鷹族の遠い親戚からきちんと聞き及んだ話だった。のに、思い当たらなかった。まだ甘えん坊さんだな、なんて嬉しく思っていた。
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