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    soseki1_1

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    嫉妬する淫魔🔮が可愛くて仕方がない大佐🤕/淫魔パロ傭占

     どうしたものかな。ナワーブは困ったふりをしながら思う。否、実際に心の内の半分程度は悩んでいた。しかしもう半分、それ 以上を上回る心地が身体中を満たして、顔にまで滲むものだから、悩みは苦悩とはならなかった。どうにか口元だけでも繕おうとして……見つめた先の青い瞳を前に出来なくなる。ここ数年で眼に馴染んだ瞳だ。何度見つけても体温が上がる愛おしい眼差し。普段は熱く柔く微笑むことの多い瞳が、今は目角を立てて……否、怒ったふりをして自分に向けられている。それが、可愛くてならない。
    「こら」ちっとも叱るふうにならない声がナワーブに降り掛かる。「私は怒っているんだよ」
     キスでもされたのか。叱る声に対しそんな錯覚を抱いていたナワーブは、続いた言葉に眉尻を下げて「悪かったよ」と返した。
    「……悪いと思ってる顔じゃない」
    「どんな顔だ」
    「…………キスしたそうな顔」
     解っているじゃないか。そう言って、拗ねたふりをする口を塞いでしまいたかった。ほとんど衝動的な感情を、けれどもナワーブは堪える。してもいいのだが、そうすれば今度は顔を逸らして目を合わせてもらえなくなるだろう。それは看過できない。ナワーブは断固としてそう思っていた。だからこそ悩んでいるのだ。折角嫉妬をしてくれているのだから、と。
     というのも、ここまで至るのにふたりはそれなりの苦労を要した。嫉妬ひとつを現すにしては長い時間を掛けた。
     ナワーブのパートナーたるイライは兼ねてよりナワーブに惚れ込んでいる。だからか、イライは全てを受容していた。何があろうとナワーブを責め立てるようなことを欠片も起こさなかった。イライ自身がどんなに傷つこうとも飲み下して微笑もうとした。これは彼の来歴や種族が大きく関与してくるもので、一筋縄で解けるものではなかったのだ。嫉妬はその一環で、根が深いひとつでもあった。淫魔がたったひとりのパートナーを選ぶこと自体が稀有なのだから、その抱く感情が軽いものであるはずがない。イライはナワーブのことを殊更愛していたので、存外なほど嫉妬深かった。それが見たいと、ナワーブは強請った。イライはそれに応えようとして……大変だったのだ。
     まず、最初は泣かれた。ひどく泣き腫らしながら嫉妬を白状された。何事かと狼狽していたナワーブは呆気にとられ、同時に破裂的な愛欲を抱いた。可愛くて仕方がない。とにかく愛したい。そんな衝動のままに愛しては褒めそやした。「お前に妬かれるなんて夢みたいだ」と。「お前の全部を俺だけにおくれ」と。
     そんなこんなを数年の内に幾度となく繰り返し、今だ。
     頬を膨らませ、怒ったふりをした目で睨もうとするイライの、なんと可愛いことだろう。感慨と愛欲が溢れ、顔へと滲んでしまう。軍部ではあり得ない、イライの前だけで起こることだ。表情の取り繕いなど軍人が最初に覚えることのひとつである。自分がこんな風になるなど思ってもみなかった。けれども幸せだと、心底思う。
    「イライ、イライ」
    「…………」
    「怒らないでくれ。俺にはお前だけだよ」
     思うがままを伝えれば、イライは口を閉じたままナワーブの肩へ頬を擦り付ける。怒っている。そう言いながらも抱き寄せた腕から離れようとはしないのだから、内情が透けて見えるというものだ。解っていながら、ナワーブは顔を傾ける。腕の中にいっそう抱き寄せ、栗色の髪を頬擦る。許しを乞うように。さも、甘えるように。
    「どうしたら許してもらえる?」
     真赤い耳たぶに口付けるように言えば、抱き寄せるままの体が甘く揺れた。ごねるように擦り付けていた頬が甘えるように擦り寄せられ、体が傾けられる。先ほどの怒った振りとは一転、甘える上目遣いとなった青い瞳がとろりと蕩けてナワーブを映している。
    「……いっぱい、キスして」
     愛おしい体を抱き込んで唇を下す。幾度と触れても甘い唇に今日も触れて、舌で舐る。腕が首の裏に回され、ソファに頽れながらも互いに隙間なく抱擁を成していく。どうしたものかな。甘く熱い口付けの中、ナワーブは思う。可愛すぎて、止まれる気がしなかった。今日も。
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    soseki1_1

    DOODLEナワーブ🤕と喧嘩して家出したイライ🔮を匿うノートン🧲/現パロ大占傭占
     火種って簡単に点くんだなって思った。鼻の先にある、灰色の間からちらちら覗く赤色は綺麗で、心臓みたいだなんて見たことのないものの想像をした。ただ咥えてるだけなのに口の中に煙が溜まるのが不思議だった。吐き出してばかりいたそれを思い切って吸い込んだとき、喉が焼けるような不快感に襲われて咳き込んだ。そこからはもうてんで駄目で、ただ口内に煙を溜めておくだけで僕は咳をするようになった。向いてない。明らかに分かる事実が悔しくて、認めたくなくて、僕は咳をしながら煙草をふかし続けた。
     ひたすら歩いて歩いて歩いた先にあった見慣れたコンビニでそれは買えた。ライターだって簡単に買えた。レジの隣に置いてあった。「煙草を」と言った僕に気怠げな店員は「何番ですかぁ」と草臥れた問いかけをして、僕は、淀み無く番号を言った。彼がたった一度だけ僕の前で言った煙草の銘柄を僕は馬鹿みたいに覚えていて、彼が言わなかった番号まで調べて覚えていた。言うつもりはなかったのに、その番号が口からついて出た。悔しかった。その番号以外知ってるものなんてなくて、店員はスムーズに立ち並んでる箱達からたったひとつを取り出していて、僕は撤回する機会を失った。
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    soseki1_1

    DOODLE本丸傭占奇譚
    「好きな奴が出来たんだと思う」
     言われたとき、なんのことだかさっぱり解らなかった。
    「主」
     そう続けられた言葉でようやく言葉の真意を理解できた。正しくは、広げていた雑誌を読めも見もできず何秒か握りしめ、畳んで、発言した加州清光の方を見て、数秒経ってようやく理解できた。皴のついたページは恋愛特集だった。時の政府が発行している月刊雑誌の中でも恋物語を中心に集めた一冊だ。毎月本丸の、自分の部屋に届くようにしてある雑誌を一文字則宗は横に置く。
    「まじか」
    「たぶんマジ」
     普段使わない一昔前の若者言葉がまろび出る。らしくないとは加州も解っていたろうが全く指摘されなかった。それだけの大事だった。
     この一文字則宗と加州清光が所属する本丸は、端的に言えば素晴らしく堅物なところである。質実剛健を絵に描いたような場所だ。審神者制度が樹立した最初期に設立し、今なお各任務で優秀な成績を残し続け、表彰式に呼ばれ過ぎて参列側じゃなく運営側に回ってしまうような所である。そんな本丸を運営する審神者は、本丸の有り様と同様の人間であった。則宗からすれば朴訥すぎるきらいさえあった。どこぞの国の軍人で、前線を経験しており、かつては大佐と呼ばれる地位にあったらしい。ここまでは本丸の誰もが知っている経歴だ。しかし則宗はもう少し込み入った事情まで知っていた。元監査官の特権だ。最前線を行く審神者の手に渡ると決まったとき、興味を持ってちょっと調べておいた。男には、前線にいたとき作戦の執行に問題があったと難癖をつけられ、結果部下三名を処刑された経歴があった。作戦外で、戦場外で部下を無駄死にさせた経験は男の精神を大層苛み、一時は、というより審神者の招集があるまでは病院に詰めていたらしい。樹立期における軍人経験のある審神者の登用は必死なもので、特に男は指揮力と前線経験のある経歴も申し分なかった。審神者当人は戦場に赴かず、前線に出るのも人間より幾倍も頑丈な刀剣男士だからと何度も説得されて首を縦に振ったらしい。だから審神者になったばかりの頃、刀装なしで初期刀を出陣させる指令にはたいへん反抗的な姿勢を見せたとか。政府に対する三日三晩に渡る必死の抗議と独自に作成したマニュアルにより、この出陣命令は見直され、今は初手の出陣で初期刀が重傷で帰城するようなことは少なくなったのだとか。そしてそういった改善が何件かあり、今では政府
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