この想いがあなたとおんなじならいいな。って思う反面、言葉にするのが怖かった。
俺は途中から薄々だけど、気持ちが通い合っているんじゃないかなんて思っていたんだ。だって、びっくりするほど優しいから。優しいのは誰にだってそうだけど、あんまりにも許してくれる。それはわがままにだけじゃなくて、心身のパーソナルスペース的な意味でも。
臆病なほどに優しく触れてくる手が、その顔が。出会った頃や他の大勢の人と接する時のそれとは違うことだなんて、流石にわかってた。絆されてくれていたりしないかなって。
けどやっぱり怖かったのは、彼と俺の生きる世界の違うこと。
ディーディリヒさんが、学校の外でどんなふうに過ごしているのか。詮索する気はないから知らないけれど、俺とは違う。たとえ気持ちが同じだとしても、怖かったの。
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