あ、じゃあ俺の怖い話するね。あのさ、この前なんだけど、ナナミンとイチャイチャしようと思ってソファに座ってるナナミンの横に座ったんだよね。
ちょっと待って、のろけじゃないって、こわい話だってちゃんと待って釘崎獲物取り出さないで。いや、ほんとこわいから聞いてって。
そんでさ、俺はイチャイチャしたいわけよ。でもナナミンは次の日に任務があるから映画見たら寝ますって全然そういう雰囲気じゃなくて、俺は若いしさ、男の子だし、好きな人がいたらシたいじゃん? いや、やめて単細胞とか性欲魔人とかそういうのやめてください。健全な男の子なら誰しもがもつ欲望ですから! でさ、それはいいとして、俺はソファに座って岩壁のごとく動かないナナミンをその気にさせようと手を握ってみたわけよ。
でもぜんっぜん反応がないの。だからさ「キスしていい?」って聞いたんだけどナナミンこっちのほうを全く見ないで「だめです」だけなのよね。いや、そりゃそうだよ。ナナミンは明日任務だしさ、そりゃそうだろうって思ったよ。でもさ、ちょっとは期待したいわけでして。
「いいじゃん」ってチューしようとしたらナナミンさ、俺の口を右手でギュムっと押さえつけて「明日は任務なので」って! 知ってるよ! でも俺はシたいの! 若い純情をちょっとは考慮してほしいなあと思いまして強硬手段に出たよね。うん、押し倒そうとしたの。
だから性欲モンスターとかじゃねぇって。純愛だよ。
でもさ、もう、ほんと、いやになるくらいナナミンって一級術師なわけでして。ぜんぜん動かない。マジで。俺が全力で押し倒そうとしても全くこれっぽっちも。
でもこれって普段は抵抗できるナナミンが俺のためにベッドに横になってくれてるんだなって思うとちょっと感動したよね。ま、それはいいとして。
そんなわけで俺は仕方なく手を握ったりちょっと胸を揉んだりしてみたわけです。そしたらナナミン、なんて言ったと思う?
「私はさっきから君のことは犬猫てきなものだと思ってるのでまったく欲情しませんよ」
って! って!!! 犬猫ぉ!? 恋人ですけど! って思ったけどイヤ、マジでナナミンなんの反応もしないの。いつもはさ、あ、そういうのはいい? そうだよねナナミンのプライベートをこんなところで言うのはね、うん、よくねぇわ。あ、もう遅い? 今日のことはオフレコでオネガイシマス。
まあ、そんなわけで俺がさ、すっごいこう、アタックしてもナナミンまったく全然びっくりするほど反応しなくて。でも普通首筋舐められたり耳噛まれたり指ねっとり舐められたり太腿さわさわされたらちょっとは色っぽい展開になるものではないですか? ならないんだよ……ナナミン、マジで俺のこと犬とか猫とかハムスターとかそういった部類のものだと判断してらっしゃるの。
こわくない? 恋人の愛撫をスイッチひとつでわんにゃん扱いにできるんだよ。一級術師ってそういうことなん? 俺は怖いです。うん、俺のこわいはなし? いや、ここからなんだけど。あ、前置きが長い? ごめん、でもナナミンがすごいって教えたくてエヘヘ。
そう、ここからがこわいはなしなんだけど……俺、ナナミンにそうやってわんこにゃんこ扱いされてるんだって思って、ナナミンの足とか手とか、舐めてたら……いつの間にか
勃起、してたんです
後日、俺は釘崎にぶん殴られた頬をナナミンに見られてことの詳細を問い詰められて今度は汚物を見るような目で見られたけどこわいはなし、それはそれで興奮した。