【web再録】春/境「春が終わったら、何になると思う?」
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春高、準々決勝後。
鴎台に敗北を喫したその日、民宿に戻ってから夕飯まで自由時間を言い渡されたものの満身創痍の身体に出歩く気力はなく、結局部屋に残ることにした。
そもそも、まだ高校生の自分には滅多に来れない地だというのに観光なんて浮かれた気持ちは全く起こらず、画面越しに見たことのあるようなする街並みに、ああ実在するんだな、なんて呑気な感想を抱いただけだったのだ。
それよりも。あの雑踏の中に紛れ込むよりも、早くコートに立ってみたい、だなんて。
どこかのバレー馬鹿達が乗り移ったような思考に、うげえ、と思わず顔を顰めたのはほんの数日前の事だというのに、何だかもう何週間も経ったような気がしている。それだけ怒涛で、詰まりに詰まった三日間だった。
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