悪魔にデートに誘われたが、思いの外本気だった件さとしside
休日のある日。俺はショッピングモールに来ていた。実は昨日、ブラックにデートに誘われて…その…着ていく衣装がないから買いに行こうかなーって思ってきたのだ。もちろん、お母さんには新しい服が欲しいから自分で買いに行きたい!と土下座で頼んだらため息をつきながら服装代を渡してくれた。ゲームに使ったら小遣いなしよ、と念を押された。まあ当たり前だけど。
「『クソザココーデは勘弁してくださいね〜w』って言われたからなるべくダサいのはよそう…」
色々なお店を回り、何とかデート服を調達する事が出来た。お金はギリギリ間に合った、よかった…。これを当日着れば…!
数日後、いよいよデート当日。
俺はこの前買った服を着て待ち合わせ場所に向かう。約束の時間まで後5分…うわあ、ギリギリ。まさか目覚ましが壊れるなんて…お母さんが起こしてくれなかったらどうなってたか。ブラック、怒ってないよな…。
待ち合わせ場所につくとブラックがかなりきっちりした服を着て佇んでいた。これあれだよね、以前LOOK BOOKの動画載せた時の衣装だよね?あれ最終的にブラックのファンが書いたってやつだったけどさ、本当にその服あったの意外すぎるんですが。
「じー!」
「わっ!カメラちゃん!」
後ろからカメラちゃん、ブラックと同じ格好だ。愛らしいフォルムに見えるが、とてもよく似合う。カメラちゃんに押されブラックの前まで誘導される。ブラックが俺に気付き途端に笑顔を見せる。
「待ってましたよ。あまりに遅いので迎えに行こうかと思いました」
「あはは…その服似合うね」
「ええ、あのファンの方に感謝しなければ。さ、何処に行きますか?」
「えー、と…まだ決めてないんだよね…」
「カカカ!さとしくんらしいですねw」
仕方ないですね、とブラックに優しく手を引かれる。エスコートの仕方まで完璧かよ、と思いながら俺はブラックと歩を進めた。
***
「楽しかったですね、さとしくん!」
「そ……そう、だね……」
あの後、何故か待ち合わせ場所からデビルワープで魔界に行って悪魔のアウトレットパークで色々回った。色々、といっても靴屋とか服屋とかなんだけども魔界なので当然悪魔用のものばっかり売ってた。中には最悪人を食べるようなとんでもない商品まであった。食べ物もゲテモノが多くて…食べる気が起きなかった…。なんというか…あんま安らぎがなかった…。
そんな俺とブラックは今、アウトレットパークにある観覧車に乗っている。これは無害用ですよ、と言われ有害用もあるのかと思いながら観覧車に乗ったのが3分前の事。
「さとしくん、景色が綺麗ですね」
「え?そ、そうだね」
見るからに殺風景な魔界の景色を綺麗と表現するのはどうかと思う。まあ悪魔だから仕方ないのだろうが、人間の俺にとっては嫌な景色No.1だと思う。ちなみに窓から覗く余裕などない、かなり高い位置まで動いてるから。
「怖いですか?」
「そ、そんな事は…」
「さとしくん」
ちゅ
「!!!!!?????」
「恐怖を和らぐ為にしましたが…まだ足りないみたいですね」
それはブラックの方じゃ…と言いたかった。しかし、それはブラックの口と舌によって阻まれる。人間とは思えない、長く厚い舌によって口の中はあっという間にブラックに支配される。
ブラックからのキスはそこまで多くはしていない。だいたい俺が拒んでいるからだ。キスをすると酸欠になる、というのが理由だ。だって、あんなにも蕩けるようなキスをするのは後にも先にもブラックだけだから。
「ふう…ん…は…ぁ…あ…」
「んふふ、気持ちいいですか?この後行くところでもっともーっと気持ちよくなりましょうよ、ね?」
ブラックのキスを終えた時にはもう観覧車は地上に着いていた。そんなこととは露知らず、俺は気を失っていた。
目が覚めると見知らぬベッド。上には自分に覆い被さ自分よりも体格がガッシリしてる黒い巨体。その悪魔はベロリと舌を出し…。
「おはようございます、さとしくん」
「あ…あの……こ、ここは…?」
「ラブホですよ♪今からさとしくんとお楽しみタイムです!」
場所を知った俺は硬直した。逃げ出そうとしても逃げられない。がっちり押さえられてるし、力の差も歴然…。これはヤバい。犯される!!!
「今日のデート、楽しかったです。また行きましょう」
俺は悪魔に喰われた。頭の先から爪先まで全て喰い尽くされた。