小さい悪魔の本音ブラックside
「カメラちゃんが何を言っているのかわからない、だから何か欲しい…そんなところですかさとしくん」
「うん」
「とりあえず…土下座、やめてくれません?」
編集中、さとしくんがオレちゃんに土下座をしてきたので何を言ってくるのかと思ったら…まあ冒頭の通りですね。
さとしくんはオレちゃん及びカメラちゃんの恋人です。どちらもさとしくんに惚れて二人揃って告白したら…さとしくんは両方とも付き合う、なんて言うものですから面白いと思ってそのままにしたのです。恐らく意味はわかっていないようですが。
しかしここで問題点が出てきました。オレちゃんならともかくカメラちゃんの言葉がわからないとさとしくんは言ってきます。まあそうでしょうね、わかるのはオレちゃんくらいですし。カメラちゃんはオレちゃんの相棒なのでフラれたとしてもざまあなんて思いません。この関係を崩さないようにする為には、彼の要望を聞く必要があります。わかりました、とさとしくんに伝えました。
「ですが2日待ってくれますか?」
「?いいよ」
チョロいですねえw
いつか詐欺に引っ掛かりそうでオレちゃん心配です。
そんなこんなで完成したのがこのブラックスマホのアプリ、『カメリンガル』です。
効果はカメラちゃんの言ってることがわかる、ただそれだけです。すごい面白くなりそうなので動画撮影と引き換えですよ、というといつものように契約書を読まずにあっさりサインしました。本当に近い将来詐欺に引っ掛かりますねこれは(笑)。
「えー…と。カメラちゃーん!」
「じ?」
さあ、カメラちゃんはどう答えるのでしょうか。オレちゃんはわかるので意味ありませんがさとしくんはどんなリアクションをするのか…見ものですね!
「カメラちゃん、何か話してみて?」
「じい?」
ーー『話、とは?』
「おー!すっげー!!」
あの目の輝きよう…やはり君はお子ちゃまですねさとしくんwww
「話って例えば…んー…今日何かあったとかさ」
「じ〜」
ーー『鬼ヤバな撮影をしましたね〜』
「どんなの?」
「じ!」
ーー『忘れました!』
「忘れちゃったのーw」
「じーじ」
ーー『可愛い』
「え?」
え?可愛いって言いましたね。明らかにオレちゃんの方を向きながら。しかもニタリと笑ってるところを見ると確信犯のようです。
ほほう?マウントのつもりですか?我が相棒ながら恐ろしいですねカカカ。
「カ、カメラ…ちゃん…?」
「じ?じじーじ、じー」
ーー『え?本音ですよ?』
おやおや、さとしくんの顔がりんごみたいに真っ赤っかですよw。耳まで赤くなって可愛いったらありゃしませんね。でもダメですよ?さとしくんはカメラちゃん『だけ』のものじゃありませんよ?
「じーじ」
ーー『何か問題でも?』
はっきりこっちを見ましたね。確信犯ですねカメラちゃん。オレちゃんはそんな大胆な子に育てた覚えはありませんよ。ちょっとですよ?ちょっとですが君に嫉妬しています。オレちゃんはさとしくんにバレないように背後に回り込み彼を抱きしめました。さとしくんは驚いたようでぎゃあ!と悲鳴を上げました。うるさいですねえwと思いつつ彼の唇に口付けを落としたところ、さとしくんは林檎のように顔を赤くしましたww。カカ!やはり君は面白いですねえ!
「じ〜」
「すみません、年甲斐もなく嫉妬しちゃいましたw」
「んもう!ブラック!」
真っ赤なお顔のさとしくんが太眉を下げながらオレちゃんをポカポカ叩いていますが全然効きませんねえ。カメラちゃんはそんなさとしくんを撫で撫でしてます。あ、また胸がキュウってしましたね。もう一度塞いでやりましょうか。なぁんて思ったんですがさとしくんはオレちゃんが撫でるよりもずっと笑顔です。これはこれは…。
「じーじ、じーじ」
(「いい子いい子」…ですか)
負けちゃいましたが…さとしくん。
--今夜覚悟してくださいね。
と耳元で囁くと耳まで真っ赤にしちゃいました。やれやれ、これはわからせないとですねえ。
カカカ。
終