好きと言っても色んな意味がある先の大戦から江戸の復旧は進み、今ではまた天人たちの往来が増え宇宙外来品なる見慣れぬ道具が軒並み商店に並ぶようになった。危険ドラッグなどの闇商売も横行しやすいかぶき町では天人製の特殊な薬も出回るようになるのも時間の問題であった。
そう。だから今、ここかぶき町で万事屋を営む坂田銀時の前で起こっているコレもまたそういう類の事件だろう。そう思い込むしかなかった。何せあの真選組副長土方十四郎が息を吐くように告げたのだ。銀時への好意を。
「ちょ、おま…何?銀さんの事が何だって?」
「あん?ったくそういうとこがだらしねぇっつってんだ」
「いやいやその後」
「 ? でも、全部引っくるめててめェらしくて好きだけどな?」
それだ。それが何か?と言うように不思議そうに小首を傾ける様はまるで無邪気な子供のようで。
あれれ?オカシイな。おめェってそんな小っ恥ずかしい事サラっと言っちまうタイプだっけ?いや、違ェェェ!と銀時は感情を制御出来ずにカウンターを叩く。そう、ここは居酒屋のカウンターだ。
「あのォ…土方くん…酔ってる?」
「てめェより後に来てんのにか?てめェこそメガネたち心配さすくらい飲むんじゃねぇよ」
「そっかぁ!俺の方が酔ってんのかぁ!そうだよなぁ!じゃなきゃおめェが俺の事好きだのなんだの幻聴…」
「あ?何言ってんだ。幻聴じゃなくてもてめェの事は前から好きだよ」
「ハ…」
先程まであんなに賑やかだった店内が食器の音すら鳴らぬほどしん…と静まり返る。
え?もしやここにいる連中聞き耳立ててた?俺と同じように息飲む程ビックリして止まっちまった?と銀時は二重に嫌な汗をダラダラとかく。
「そ…それってまさか恋愛的な意m…」
「副長ォォォ!!!」