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    ユウキダ

    @Marimo_21077

    主にrgnd
    当然のように創作救がいる

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    ユウキダ

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    🐮鬼誕生日のぎゅ救文 創作救い主出ます

    君が生を受けた日「誕生日おめでとう、牛鬼!」

    明々と陽の光が照りつける文月の蒸し暑い日。救い主の少年、彼方は、まるでそこにいるのが当然かのように木陰でひと休みをしている牛鬼の前に立っていた。

    「……なんでここが分かった。つーかなんでテメェが俺の誕生日知ってんだ」

    褐色の肌に汗を流している牛鬼は、少々不機嫌なのを隠すことなく問いかける。
    祝うことも祝われることもなくなり、遠い昔にすっかり忘れてしまっていたことをよりにもよってなぜこのガキが知っているのか。純粋な疑問だった。

    「もう、そんな顔しないでよ。せっかくおめでたい日なんだからさ」

    彼方は困ったような笑みを浮かべてそう言った。そのまま言葉を重ねる。

    「そうだな……えーと、ここに来たのはなんとなく君がいそうだったから。君の誕生日を知ってるのは、前にイザヨイで君の記憶を覗いた時にちらっと……って感じ」
    「そんな感覚で辿り着かれてりゃたまったもんじゃねェな」
    「もうなんとなく君がどこで何してそうか、分かるようになっちゃった。で、どうせ忘れてたんでしょ? 自分の誕生日」
    「まあな」
    「だと思った」

    そう言って彼方はくすくす、と楽しげに肩を揺らして笑う。牛鬼の顔にも、確かに少しだけ穏やかな表情が浮かんでいた。

    「で? 天下の救い主サマは、俺みてェなはぐれモンの誕生日もわざわざ祝いに来てくれんだ?」

    牛鬼は揶揄うように笑いながら、彼方の顔を覗き込む。

    「そんな言い方しなくてもいいでしょ。祝いに来てあげたのに」

    牛鬼の言葉を聞いて、彼方はむすっとして頬を膨らませる。その様子がおかしくて、牛鬼はさらにくつくつと喉の奥で小さく笑った。

    「……多分、君の誕生日を知ってるの、君も含めて俺だけなんだろうなって思って。だから祝いに行こうと思った」

    いつの間にか牛鬼の隣に座り込んでいた彼方は、いつもの優しい笑顔でそう言った。

    「ハッ、それは憐れんでんのか?」
    「そんなんじゃありません。……妖怪からしたらそうでもないかもしれないけど、人間からしたら一年に一回の大切な日だから。そう何度もくるものじゃないし」
    「…………」
    「だからこんな日くらい、誰かと一緒に祝わないと」

    そう言い終わるなり、おもむろに手に持っていた包みをガサゴソと漁り始める。中から出てきたものは両手サイズの小包だった。それを牛鬼の手の平にぽん、と置く。
    彼方が目で「開けていいよ」と促すと、牛鬼は素直に従う。中に入っていたのは三つのおはぎだった。

    「これは……」
    「確か甘いもの好きだったよね?」
    「まあ」
    「そっか、よかった」

    彼方はそれを聞き安心したのか、ほっとしたように息をつく。それからすぐに口を開いた。

    「食べていいよ」

    その一言を聞いて、牛鬼は包みの中から一つを取り出した。手に取ってよく見てみると、おはぎは全て少し不格好な形をしていることに気がついた。

    「……まさかお前が作ったのか?」
    「ん、もちろん! おはぎなんて初めて作ったんだけど、ぬりかべに教えてもらいながら頑張ったんだよ?」
    「ふーん……」
    「み、見た目はちょっとアレかもしんないけど……味の方は自信あるから!」

    胸を張って自信ありげに言う彼方を横目に、牛鬼はその大きな口におはぎを運ぶ。ぱくりとそれを食べれば、口の中につぶあんの食感と優しい甘さが広がった。

    「……美味しい?」
    「……悪かねぇ」
    「ほんとっ? ならよかった!」

    にこっと笑みを浮かべると、牛鬼も珍しく小さく微笑む。
    それからしばらく、二人の間には沈黙が流れた。牛鬼はおはぎを口に入れ、彼方はそれを横で静かに眺めている。しかしそれは居心地の悪いものではなくて、どこか心が安らぐような時間であった。

    「あのさ」

    その静寂を破ったのは彼方の声だった。

    「……なんだ」
    「……俺はね、ずっと君の誕生日を祝える人でありたいと思う」

    ぽつりと呟くような声音で、彼は言葉を紡いだ。

    「君がみんなから怖がられていても、俺だけは、君に寄り添っていたい」
    「…………」
    「俺が幻妖界にいる限り、君のことを一人にはしないから」

    真っ直ぐに牛鬼を見据え、優しい笑みを浮かべた。その瞳はどこまでも澄んでいて、偽りのない想いだけが宿っているように見えた。

    「お前なァ……それが自分の命狙ってるヤツに対する言葉か?」

    呆れたように溜息をつく牛鬼だったが、そこには先ほどまでのような刺々しい雰囲気はない。むしろ微かに嬉しさのようなものさえ感じられるものだった。

    「だって結局のところ昼間の君は優しくしてくれてるじゃん? だったら、俺はそっちの君を信じたいなって」
    「……そうかよ」

    それだけ呟いてまた一つおはぎを口に含み、それを味わいながら咀噛する。

    「だからこれからもよろしくね、来年の誕生日も祝わせてよ」
    「ハッ、じゃあ来年の誕生日まで、俺以外のヤツに殺されたりすんじゃねえぞ」
    「ふふっ、頑張るよ」

    二人は互いに顔を合わせ、小さく笑う。
    涼やかな風が吹き抜けていき、木の葉が揺れる音が響いた。

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