フラワーじゃないからドライにしてもなにも起きない笑った顔を初めて見た。いや、そんなに親しい関係ではないし、組と反社の犯罪組織という、とてもビジネス的関係の人間でしかないから、それが当然ちゃ当然なんだけど。しかもそんなに長い時間にわたって関係を結んでいるわけでもない。うちはほら、あくまで日本のなかでも外れの外れ、土着の極道でしかないからさ。
仕事相手の笑顔なんて、商談がうまく行ったときの作り笑顔くらいしか見ないのが普通だって思うよ。俺もそういうスタンスだし、実際人生はそんな感じでときを刻むようになっている。身ひとつで幼馴染とここまで来れたのだって、もはや奇跡と時の運だ。
「葬式に、来れなくて悪かった。ボスからの言付けだ」
「………いえ、むしろ、こうして来ていただけていることに、上も、下も、驚いています……九井さんも、その、首領も」
2413