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    bach_otamama

    @bach_otamama
    普段はFGOヘクトール受メインに小説書いてます。アキヘク、タニヘク、マンヘク多め。こちらはメギド72ロキマネなどFGO以外の作品を上げていく予定です。

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    bach_otamama

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    〆でも観○少女パロをついに書いてしまいました。プランツロキとマネージャーの出会い編。ナナシというのもなんですが、さすがにマネージャーという名前にするのは無理があったので……そこらへんももし続きを書けたら書きたいです。

    観用召魔 歌声が聞こえた気がして、ナナシは周囲を見渡した。しかし、辺りには声の主と思しき人影は見られない。気のせいかと思って歩き出すと、また声が聞こえた。
    「あっちの方か」
    振り切って歩こうとすると声が気になってしょうがない。歌は少し前に流行った歌で、ナナシも好きな歌だ。だが、好きな歌だからといって、声の主を探したくなるようなことは今までは一度もなかった。

     不思議と彼の心を揺さぶる歌声に引きつけられ、声をたどって歩き出す。気づけば、普段は通らぬ小路に入り込んでいた。
    「メギド72?変わった店名だな」
    瀟洒な建物の前には、店名を記した小さな看板があった。だが、重厚な紫檀のドアといい、漆喰を塗り重ねた壁といい、堅固な作りの建物はとても歌声が漏れ聞こえるようには思えない。以前には劇団を率いていたので、音響などには多少の知識がある。そして、近くにいたわけでもないナナシにも聞こえるような歌声ならすぐ近くに来たらさぞかし大きな声だろうと思うが、音量は先ほど聞いた時となんら変わらない。
    「やっぱり気のせいか」
    さっさと帰って一杯飲んで寝てしまおう。そう思った矢先にドアが開いた。
    「ようこそ、メギド72へ」
    店員と思われる男性がナナシを差し招いた。純白のスーツを着崩し、薄紅色のストールをかけた奇矯な服装をしているが、まっすぐな金髪に縁どられた顔は驚くほど整っている。
    「えっと俺はちょっと道に迷っただけで」
    「だったらここで休んでいくといい。本当に道に迷ったのならね」
    男性がナナシの顔を覗き込んだ。
    「あの、何を言っているのですか」
    もしかしたら怪しい店に迷い込んでしまったのかもしれない。内心の不安を押し隠すナナシへ男性は笑いかけた。
    「おっとまだ名乗っていなかったな。私はミカエル。訳あってこの観用召魔の店を預かっている」
    「プランツメギド……観用召魔って、本当に?」
    「知っているとは話が早い。君は呼ばれたのだよ」
    「でも、おとぎ話なんじゃないのか?」
    「ノン、本当に居るのさ。さあ、入って」
    あれよあれよという間にナナシは店のソファに座らされた。

     かつてこの世界にはメギドと呼ばれる伝説の悪魔たちがいたと言われている。観用召魔は、そのメギドの力を宿した生き人形で、普段は悪魔の本性を美しいヴィータ体に封じている。扱う店はどこにあるのか誰も知らないが、真に求める者やメギド自体が呼んだ者の前に現れるという。彼らは極めて高価で王侯貴族や裕福な商人でもなければ贖えないし、気位が高くて富豪が降るほどに財を贈っても気に入らなければ決してその手を取らせはしない。ナナシ自身、劇の題材になるかもしれないと思って調べたことがあるが、誰に聞いても観用召魔を見たことがなく、おとぎ話だと思われていた。
    「でも俺、金ないし」
    「ああ、それなら分割払いにすればいい。払える分だけ少しずつ」
    「だけど、一生かかっても払いきれるかどうか」
    「そうか、そうすると彼は棄戦圏送りになるな」
    「棄戦圏?」
    ミカエルは頷いた。
    「イグザクトリィ。目覚めたメギドは他の主を選ばない。自分で選んだ主と契約してもらえない場合は暴走するか、枯れる」
    「捨てられるか?アンタたちの都合で作っておいて」
    「私はただの管理人さ。まあ、せめて一目あってやってくれないか」
    ミカエルがナナシへ頭を下げた。
    「まあ、会うだけなら」
    「良かった。ロキ、君の歌は届いたよ!」
    立ち上がったミカエルが店の奥に向かって叫ぶと、また先程の歌声が聞こえた。
    「Loki Rock You♪」
    紅の髪をなびかせ、整った中性的な顔立ちとほっそりした体を黒衣に包んだ青年が現れる。華麗な美青年とも端正な美女とも言っても通りそうな姿だが、低い声は紛れもない男性のものだ。
    「お前が歌っていたのか」
    ナナシは呟いた。心を揺さぶるメロディーが、久しく忘れていたスポットライトの目映さと舞台の高揚を彼に思い出させた。
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    bach_otamama

    DONEフォロワさんへのお誕生日プレゼント代わりの掌編です。
    聖下の話。時間軸としてはROM6のパウラのバトル直後。
    ラストはレクイエムの歌詞ですが、ミサの際に唱えられる言葉でもあるそうです。
    本来は日本語に「レクイエム・アエテルナム・ドナ・エイス、ドミネ、エト・ルクス・ペルペトゥア・ルケアット・エイス」とラテン語のカタカナ表記をするべきなのだと思いますが、読みづらいのでラテン語の原文と邦訳を併記しました
    三度、知らないと言って 天地がひっくり返ったのだとあの時思った。実際にアイアンメイデンが回転し、文字通りひっくり返ったといえなくもないことをアレッサンドロはよく知らない。ただ、自分の命など歯牙にもかけないと思っていたパウラから向けられる眼差しが、これまでとは少し違っている気がした。

     冷厳なシスターの視線に込められたものをどう表せばいいのかアレッサンドロはわからない。かつて、幼い頃父に侍っていた女達が見せたような媚びとも、即位してから多くの者に向けられてきたような軽侮の念や失望などとも違う。むしろ、今までのパウラから向けられていたものはそれが近い。失望や軽侮ではなくもっと乾いたそれ、無関心という方が近かった。しかし、今のパウラがアレッサンドロへ向ける声や眼差しには立場上だけでないいたわりも感じられる。それは、亡き人を思い出させた。色も、性別も違うのに。
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