原稿5「おや、こんなところにいらしたんですね、ドン・パッショーネ」
幹部のひとりが、カウンターに近付いて来た。ジョルノ・ジョバァーナの前に立ち止まり、笑顔で見つめる。
「セザール・シニャックです。最近、幹部に昇格致しました。どうぞ、お見知りおきを」
最近、幹部に昇進したばかりの男が、そっとジョルノ・ジョバァーナの右隣の空いている椅子に座った。ブルネットの男は爽やかな笑顔を浮かべる。かなり派手に麻薬を扱っていた幹部の首を土産に、自らが幹部へとのし上がった男だ。身上書では確か年齢は四十半ばだった筈だ。
「不躾なことをお聞きして申し訳ない。ですが、切実なことなので……」
ヘーゼルの瞳には真剣な色が浮かんでいる。
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