年越しアレ博大晦日。
龍門に停留していたロドスからは、人が出払っていた。
艦内に残っているのは、ニェンいわく引きこもりのシーや、人混みが嫌だと公言してるキララ、いつもと変わらず仕事をしているケルシー、そして仕事が終わっていない私と、秘書のアレーンくらいなものだった。
アレーンには、私に付き合わなくていいよ、と何度か伝えているのだけど、その度に用事なんかないからいいよ、と返されて、結局は仕事を手伝わせてしまっている。
開けていた窓から、爆竹や活気溢れる人の声など、いつもより賑やかな音が絶え間なく聞こえる。
……楽しそうだ。
今年最後の日くらいは、露店を見て回って、夜には大量に上がる花火を見て……と外の空気を感じながら過ごしたかった。
それに、アレーンにも申し訳ない。
なのになぜ、私の目の前には書類が並んでいるんだろう。
……まぁ、私が終わらせることができなかったからなんだけど。
「……はぁ。」
「センセー、また溜め息ついてる。」
「……アレーン、やっぱり悪いから、もう手伝いは大丈夫だよ。」
「まだそんなこと気にしてるの」
ファイルの整理を終えたアレーンが隣に座った。
ふわり、と独特な香りが鼻を掠める。
「僕はしたくてしてるんだよ。外でやってる騒ぎにそこまで興味ないし。それに、2人でやった方が早いでしょ。」
天使か。いや、サンクタだった。
「……ありがとう……」
少し泣きそうになって思わず顔を覆う。
「……1人で行ったって、つまらないからね。」
感動と、早く終わらせなければという決意でいっぱいだった私には、そのアレーンの呟きは聞こえていなかった。