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    rinka_chan_gg

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    にゃんごフェスにて展示したお話のオマケSSです。
    傑とこねこのさとるが一緒に暮らし始めて少し経ったあとのお話。
    ※さとるは人型に猫耳しっぽのショタビジュアルです。まだ上手に喋れません。
    ※要素は薄いですが夏五です。

    おなまえ、いえるかな?ーーーーーー


    「いいかいさとる。私の名前は、すぐる、だよ」
    「みゅ?」

    1匹の子猫を家族として迎え入れて、はや3週間。
    悩みに悩んだ末「さとる」と名付けた愛らしい子猫は少しずつ私との生活に慣れてきていた。
    ご飯もモリモリ食べるし、時々一緒にオモチャで遊ぶようにもなった。また、触ったり抱っこすることへの嫌悪感もほとんど無くなったようで、何なら撫でさせてくれるようになったのは嬉しい進歩だった。あんまりしつこく撫で続けると流石に嫌そうな顔をされるけど。

    私との相手も慣れてきたのか、さとるは最近よく言葉を発するようになった。と言ってもそのほとんどはまだ赤ちゃん言葉のように舌足らずで上手く発音できないものが多いし、大体はただにゃーにゃーと鳴くことの方が多い。
    少しずつでも成長していく様は微笑ましくて、私も積極的に色々な言葉を教えようとした。特に、やっぱり自分の名前を呼んでもらえると嬉しいからね。

    「私はすぐるだよ。す、ぐ、る」
    「う、う?」
    「ほら、真似してごらん。すー、ぐー、るー」
    「すー、うー、うー」

    自分を指差しながら口の動きを大きくゆっくりと伝える。さとるも真似をして繰り返してはくれるけど、やっぱりしっかりした発音には至らない。名前はまだ難しいかなぁ。
    あまり続けて喋らせると疲れてしまうから、今日はこのくらいにしておこう。焦らずともゆっくり、さとるのペースで成長してしてくれれば良いのだから。

    「あ、もうこんな時間だね。そろそろオヤツにしようか」
    「にぃ!」
    「オヤツ」の意味は理解しているので、たちまち目をらんらんと輝かせてひと鳴きする。オヤツに目がないところは本当に可愛いなぁと頬を緩めながら、冷蔵庫からカップのプリンを取り出した。

    授乳を終えてある程度成長したネコには人間の食べ物を与えても大丈夫なのだとか。とは言え人間の食べ物は味付けが濃いものも多く与えすぎると体にも良くないので、子猫の内は色々な味のものを少しずつ食べさせて慣らしていくのがいい…とこの間買ったネコの飼育本に書いてあった。
    さとるは特に甘いものが好きらしく、オヤツと名の付くものには本当に食い付きが良かった。このプリンもあげるのは今日が初めてだけど、きっと気に入ってくれるだろう。

    「これはプリンっていうんだよ。こうやって…お皿に出して食べるんだ。ほい、っと」
    「…!みゃぁ~う!」
    このプリンは有名なメーカーのいわゆる「プッチン」するタイプで、お皿の上で容器をひっくり返して裏のツメを折ると、中のプリンがぷるんっと揺れながらお皿に落ちてきた。初めて見るぷるぷるな感触のプリンに、さとるは驚いて感嘆の声を上げた。

    「ふふ…ほら、あーんして」
    「んあー」
    1つ1つの挙動の愛らしさに苦笑しながらスプーンでひと掬いしたプリンを食べさせてやる。小さな欠片のプリンを口に頬張ったさとるは、たちまちトロンと蕩けた表情を浮かべた。真っ白なしっぽもピンと立って喜びを表しているので、よっぽどお気に召して頂けたようだ。

    「どう?プリンおいしいかい?」
    「みゃう、ぷりっ!」
    「……えっ」
    「ぷり、ん、ちぉーあい?」
    「え、嘘、さとる今プリンって言った?」
    「みゃう!」

    まさか、私がたった2,3回言っただけでもう「プリン」という単語を覚えたと?ビックリして開いた口が塞がらなかった。大好きな甘いものが関連した時だけ発揮されるその学習能力には、もはや敬意を表したいくらいだ。

    もうめちゃくちゃに褒めちぎってやりたい気持ちがある反面、…まだ覚えてすらもらえない私の「すぐる」という名前が「プリン」に負けているような気がして、妙な悔しさを覚える。

    「…いやいや。そんな嫉妬とか、子供じゃないんだから…」
    大きくかぶりを振って、芽生えた感情を抑え込む。そうして、「ちぉーあい!」とプリンを催促するさとるに上手に言えたねぇと褒めてやりながら、また一口、もう一口と食べさせてあげた。ふにゃふにゃと幸せそうな顔でプリンを味わうさとるは愛らしくて、それだけで心は満たされた気分だった。


    …けど、やっぱり一度芽生えた悔しさは忘れることはできず。その後、いつも以上に「すぐる」の名前を覚えさせることに必死になったのは、また別のお話。
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    ⚠シモネタ会話が頻繁に出ます。
    ※ご報告なく加筆・修正行う場合があります。ご了承ください。

    R-18は下記リンクから
    【余命一週間。 五日目。】
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16505460
    余命一週間。 五日目。(全年齢)5日目。

    腕の中にあったぬくもりが消えている事に眉を顰める。居ないとわかっていながらも目を開けないまま何もない隣を弄る。部屋のあたたかさとは逆にすっかり冷えたシーツが腕に擦れる。少し気持ちいい。
    ……すっかり?
    いつもならもう少しあたたかみが残っていたはず。
    私はぼんやりと目を開けて時計を見た。

    「………………え?」

    いつもより早く起きてしまったのかと思ったが、毎日悟が起こしに来る時間を1時間も越えていた。閉まっている寝室の扉を見つめる。気配を探るもリビングで物音はしない。

    悟が居ない?…………まさか倒れてる?

    一気に目が覚め焦燥に駆られた私は飛び起きてリビングへと向かう。
    ダイニングテーブルには既に朝食の用意が済んでいた。全てにラップがされており、味噌汁を閉じ込めたラップの内側に雫が数滴付いている。既に冷めているようだ。悟の姿はどこにもない。死角になっていた台所の床に倒れてないかと確認するも居ない。そこでようやく、風呂場から水音が聞こえるのがわかった。
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