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    rinka_chan_gg

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    【GEGO DIG.NEY YEAR PARTY3】
    展示小説です。
    教師if夏五。毎日お疲れな傑においしいご飯を作って労おうとした悟だったが…?
    まだ書きかけですので、完成次第こちらに続きを上げるか、間に合わなかったら後日Pixivに完成品をupします。

    どさり、どさり。
    食材がたっぷり入った買い物袋二つをテーブルに置いて、ふぅと一息つく。
    要冷蔵のものを手早く冷蔵庫に仕舞って、それから温かいカフェオレを入れて、テレビを点けてお昼のニュース番組を流し見する。束の間のゆっくりしたひと時を堪能して。
    「…さて、そろそろ始めますか!」
    僕は張り切って台所に立ち、晩ご飯の支度を始めた。



    何故僕が昼間の早い内から夕食の準備をしているのか。単刀直入に言えば傑に食べてもらう為だ。
    高専時代からの親友で、何よりも特別な存在で、大好きな人。その傑は最近激務続きで疲れてヘトヘトの状態だった。
    万年人手不足なのは仕方ないと割り切れるけど、だからって一人にばかり負担がかかるのはいただけない。相手が傑なら尚更だ。
    最近の傑は西へ出張に行っていたかと思えば、休む暇もなく次はすぐ東へ出張に…とそれはもう嫌がらせのように地方の任務ばかり詰め込まれていた。会う度にどんどん疲れた表情が濃くなっていく傑が可哀想だったし、特級術師なのだからと面倒な任務ばかり寄越してくる上の連中は相変わらず殺したいほど憎らしい存在だ。
    まあ先の短いお爺ちゃん連中に恨みつらみをぶつけてもしょうがないし、それよりも怒涛の出張任務でヘトヘトの傑を元気付ける方が先決だ。「出張が続くと移動ばかりで腰を落ち着けてゆっくり食事を取る暇もなくてね…」と傑がやつれた顔でぼやいていたのを思い出して、それなら家で美味しいご飯でも作って驚かせてやろうとサプライズを思い付いたワケだ。
    決行日は今日、もちろん傑の予定もしっかり確認済み。昨日で怒涛の出張も終わり、今日は報告書諸々の書類仕事を片付けてミミナナの所に少し顔を出した後、やっと貴重なオフタイムだ。夕方には帰ってくるから、それまでにディナーを完成させなければ。

    ディナーと言っても高級レストランや料亭に出てくるようなものを作るつもりはない。傑にお腹いっぱい食べて元気になって貰うことが最重要目的だからとにかく品数いっぱいの、家庭で開くパーティーみたいな感じにしようと思っている。
    パーティーの定番と言ったらやっぱり肉料理。まずは常温にしておいた牛かたまり肉でローストビーフを作ろう。
    ローストビーフを家で作るなんて一見ハードルが高そうだけど、案外フライパンで焼くだけで簡単に出来てしまうものだ。肉に下味をつけて、フライパンで表面全てに焼き色がつくまで焼いて、余熱で火を通した後はアルミホイルに包んで肉を休ませておくともう完成だ。フライパンに残った肉汁を使ってソースも作っておく。
    次は、薄切りの豚ロースを炒めて、甘じょっぱいタレとすりおろし生姜を絡めた豚肉の生姜焼き。生姜は体を温めてくれるし免疫力も高まるから風邪の予防にもなる。今の寒い季節には最適な食材だ。
    それから、一口大に切った鶏もも肉に下味と衣をつけて…たっぷりの油で揚げると、カラッとジューシーな唐揚げも出来上がり。唐揚げは冷めても美味しく食べられる所がいいよね。お弁当のおかずにもピッタリで、傑も好物だ。

    そんな感じで、牛、豚、鶏、三種の肉料理が綺麗に出揃った。でもこれじゃ栄養が偏るから、次は副菜のメニューに取りかかる。
    野菜も食べて欲しいから具沢山のサラダを作ろう。レタスにトマトにキュウリにアボカド…他にもオリーブやコーン、ツナにエビにクルトンなどなど贅沢に盛り付けちゃう。これ一つでメインディッシュになりそうな豪華さになった。
    あと、和食のメニューも何品か用意しよう。傑は案外素朴で落ち着いた味付けの和食も好きだから、いつも作ってやると喜んで食べてくれるんだ。
    ひじきと大豆の煮物に、きんぴらごぼう。あ、茶碗蒸しもあるといいかなぁ。それから汁物も忘れずに。かぼちゃや大根、ネギなどを入れた具沢山の味噌汁にしよう。
    黙々と作っていき、やがて食卓の上はごちそうがいっぱい並んで彩り豊かなものになった。うん、我ながらめっちゃ上出来じゃない?満足げにうんうんと頷いた。
    傑、驚いてくれるかな。喜んでくれるかな。どんな顔をするだろうかと楽しみに想像しながら、調理器具の後片付けをして傑の帰りを待った。



    …しかし。日が暮れてきてしばらく経っても、傑はなかなか帰って来ない。そろそろ晩ご飯を食べるにはいい時間だ。
    遅いなぁ、どうしたんだろう。急な任務が入ったとか?でもそれなら必ず僕の耳にも入ってくる筈だから、多分違う。何かトラブルでもあったかな。電車が遅延してるとかその程度のことならいいんだけど…。
    傑のことだから心配ないだろうけど、念の為に電話をかけてみる。登録してある傑の番号をタップすると、三コールほどですぐに出たのでホッとした。

    『もしもし、悟?』
    「あ、傑?お疲れサマンサ〜」
    『うん、お疲れ様。どうしたの?』
    「どうしたのはこっちの台詞だよー。暗くなってきたのに帰って来ないから何かトラブったのかと思ったじゃん」
    『あー、いや、トラブってはいないよ。心配してくれてありがとう。私言ってなかったっけ?今日は美々子と菜々子にご飯誘われたから遅くなるって…』
    「え、」
    ピシリ、と僕の中で亀裂が入った音がした。まるで、幼い子供が積み木やブロックで頑張って組み立てたお城がガラガラと崩れてしまったかのような衝撃。顔の筋肉が引き攣って、気が遠くなりそうになる。え、マジで?傑、ご飯食べて帰ってくるの?そう言えばそんなこと、言ってたような、言ってなかったような…?何せ僕もそれなりに忙しくしていたもので、ちょっとした日常会話なんて聞き流していた時もあっただろうから記憶が曖昧だ。
    『二人が前から行きたがってた中華屋さんでね。今店に入る所なんだけど……あ、悟もご飯まだなら良かったら来る?二人には私から言っておくから…』
    「あ…あー、いいよいいよ!僕はもうささっと食べちゃったし」
    『そうなんだ?てっきりご飯のお誘いの電話かと思ったんだけど…』
    「いや、任務もないのに帰りが遅いのが気になっただけだよ。気ぃ遣ってくれてありがとね、今日は目一杯双子に構ってやんな」
    『そっか……ありがとう。私もちゃんと伝え忘れてたかもしれないね、すまない』
    「いーよ。また今度一緒にどこか食べに行こ」
    『うん、それじゃあね』

    和やかに電話が終わる。努めていつもの明るい調子でじゃあねと言って通話終了ボタンを押すと、はぁぁぁ〜…と大きな溜め息を吐いた。
    いや、これは仕方ない。僕が悪い。傑の予定をちゃんと確認しなかった僕の落ち度だ。
    一緒に食事をしようと約束をしていた訳でもないし、というかそもそもサプライズのつもりだったから約束してたら意味ないし。こればっかりはどうしようも無かった。
    「あ〜〜〜…でも折角作ったのにな……」
    チラ、とテーブルに視線を落とす。いっぱい並んだごちそう達は本来食べて貰う筈だった相手を失って、豪華なのにどこか哀愁が漂っていた。
    一番手近にあった唐揚げを一個つまんで、口に放り込む。咀嚼するとカリカリの衣がくしゅりと崩れて、ジューシーな鶏肉のうま味が口いっぱいに広がる。冷めても失われない美味しさは本当に唐揚げの強みだと思う。
    ローストビーフも一切れ食べてみる。下味とソースがお肉と絡み合って絶妙な味わいだ。次々とおかずをつまんでみては「うん美味しい、さすが僕」と満足げに頷く。けれどさっきの、ごちそうが出来上がった時の満足感とは明らかに雲泥の差があった。
    傑に食べて貰いたかった。美味しいと笑顔で食べてくれる顔が見たかった。食べて元気になって欲しかった。その為に早くから準備して頑張ったのに。未練がましい思いが、ネガティブな感情が、腹の中をぐるぐると渦巻いて。
    「…はー、やめやめ!過ぎたことはしょうがないでしょ!」
    けれどすぐ、パンッ!と頬を叩いて気持ちを切り替える。いつまでもウジウジ女々しいのなんて柄じゃないし。
    とりあえず、この大量に作った料理たちをどうにかしないと。傑の目に入れば、真面目で優しいアイツのことだからたちまち罪悪感いっぱいでしつこいくらいに謝り倒してきて、一ヶ月は引き摺ると思う。傑にそんな苦しい思いをして欲しい訳じゃないから、何とか存在を知られぬまま証拠隠滅するのが望ましい。
    かと言って、僕一人で食べきれる量じゃないし。かくなる上は…とスマホをもう一度立ちあげて、今度は教え子の恵に電話をかける。
    「…あ、もしもし恵?もうご飯食べた?まだ?あー良かったぁ。実は晩ご飯作りすぎちゃってね。僕と傑二人で食べようとしたけどちょいキツくて。お裾分けしたいから貰ってくれる?うん、良かったら一年のみんなで食べなよ。……うん、うん。じゃあ後でそっちに持ってくね。うん、ありがと~」
    電話を切ってホッと安堵の息を吐く。ちょっと一方的に押し付けた感じになっちゃったけど、食べ盛りの可愛い生徒たちが夕食に貰ってくれるなら料理も無駄にならずに済むから良かった。
    そうと決まれば早く持って行ってあげよう。自分の食べる分だけを少し取り分けて、あとは大きい三段の重箱へお弁当っぽく綺麗に詰め込んだ。
    こうして、僅かに寂しい気持ちは残しながらも、作ったごちそうは生徒たちの胃の中に収まって、この件は静かに終わりを迎えた。筈だった。


    To Be Continued...
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    rinka_chan_gg

    DONE現パロ夏五。
    社畜サラリーマンの夏油がある日見つけた喫茶店のマスターを営んでいる五条に恋をして…?というハートフルでほのぼのしたお話(当社比)の続編です。
    前作をご覧になっていない方は是非そちらからどうぞ→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19005270

    後ほどピクシブにておまけの話もつけて再掲します。

    イベント開催おめでとうございました!
    ハニーミルクの恋ー2ー■■■



    夕陽が、都会の街を橙色に染め上げている。
    閑散とした住宅街。どんどん幅が細くなっていく道路。利用者のいない静かな公園。
    すっかり見慣れた風景を、夏油傑は今日も歩く。お気に入りの、あの店に行く為に。



    チリンチリン。ガラス張りのドアを開くと入店のベルが鳴り響く。音に気付いたアルバイトの青年が「いらっしゃいませー!」と元気よく駆けてきた。夏油の顔を見るとハッとして「お疲れ様です、お好きな席どーぞ!」と一言付け加えた。彼にはすっかり顔を覚えられていることに気恥ずかしさを感じながらも、夏油は奥のテーブル席へと向かった。

    少し前までは、窓際のカウンター席の方が外の景色も見られるし良いと思っていたのだが、最近はもっぱらテーブル席が夏油の定位置となっていた。その理由は単純に、ここだと店内を一望できるからだ。
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