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    aopanda612

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    aopanda612

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    タイトルそのままです。

    #レオラギ

    めちゃくちゃラギー君を好きなレオナさんとボスとして認めてるけどそういう好きじゃないラギー君いつかはレオラギになります。




    その日はいつもと同じ、ではなかった。
     バイト終わりにレオナさんの部屋に寄った俺はモストロラウンジの厨房を借りて作った夜食を渡し、部屋に散らばった洗濯物を拾い出した。洗濯は明日でいいか、なんてのんきに考えていたら明日提出の課題で分からないところがあったことを思い出す。
    「あー、レオナさん。一つだけ課題教えてもらってもいいッスか?」
     既に夜食に手を付けていたレオナさんが視線だけこちらを見やりながら眉間に少しだけ皺が寄る。たぶん、めんどくさいと思っているんだろう。けれどこういう時はめったに邪険にしないのがレオナさんだ。
    「……早くもってこい」
     ほら。普段怠惰な寮長ではあるが、実は面倒見がいいんだから頼りになる。特に勉強面が苦手な俺は良くレオナさんに泣きついているのだった。


    「いやー、助かったッス!」
     NRCは名門校と言うだけあって課題はすこぶる難しいのが難点だ。文字すらギリギリ読める程度だった俺が良くやってるよ、うん。
    「ぅ……」
     バイト後で頭を使った事もあり、突然眠気が訪れる。ベッドの上で伸びていたがこのままでは寝てしまう。流石「雇い主」の部屋で、しかもベッドで寝たら何を言われるかわかったもんじゃない。遠のきそうな意識を必死につなぎ留め、身体を起こそうとすると夜食を食べ終えたレオナさんが少しだけ浮いた俺の肩を押し、身体はベッドに沈みこむ。
     いや、これはマジで寝てしまう。
     ベッドの心地よさに意識を手放したくなるがそれはまずい。
     その時だ。俺は眠気のあまりレオナさんの顔を見てはいても特に気に留めることができず、その異変に気づくことができなかった。
    「――――――ラギー……」
     ん――――――?
     上から降ってくる声に視線を向けるとゆっくりレオナさんが俺を覆いかぶさるように近づいてくる。俺の肩を押しのけた掌は肩からゆっくりと腕を這い、反対の腕はあろうことか俺の顔の横に置かれている。
     どういう状況だ?
     そうこう考えているうちにもレオナさんの顔は間違いなく近づいてくる。
     やばい、そう思うと同時に無意識にレオナさんの口に掌を押し付けるとレオナさんはぴたりと動きを止めた。が同時に眉間の皺が一つ増えた。
    「……おい、手ぇどけろ」
     どけるわけないでしょうが。この人、まさかキスしようとしてたんスか?
     俺の返答を待つ間も徐々にレオナさんの眉間の皺は増えていく。
    「えっ、あ、えっと……」
     つまり、これはどういう状況なんだ?
    「そう言う雰囲気だったろうが」
     そう言うとはなんだ??確かにいつもより距離は近かった気はするけど、ハイエナ相手にこの人は何を言ってるんだ?俺はただ課題を見てもらっていたんじゃなかっただろうか。
     確かに眠気に負けそうでベッドに横になっていたが、それは今に始まったことではない。これまでにあったことだ。
     疑問がすべて顔に出ているのか、レオナさんはおもっくそわざとらしくため息を吐くと身体を退かしてくれた。それと俺の腕を引っ張りベッドで向かい合う形で顔を合わす。
    「おまえもそうなんだと思っていたんだが……」
     それに対しても俺は頭上にクエッションマークを浮かべる。見えていないはずのそれをレオナさんは見やり、またため息をつく。
    「俺は、お前が好きだ。てっきりお前も'そうだ´と思ったんだがな」
     まっすぐに瞳を覗きこみ、髪をかき上げるレオナさんを見て俺は思はず目を見開いた。
     え、レオナさんが、俺を?でもって俺もレオナさんを……。
     突然の告白にこれまでのことを思い返してみるもののそんなそぶりを見せたことなんてあっただろうか。思い当たることもなく、レオナさんの気持ちを気づくタイミングだってなかったのではないか。確かに他の寮生に比べて俺に甘いところはあるし、いろいろ許されているとは思うが、それは普段から世話係をしているからであって、そこに特別な感情があるとは思いもしなかった。
    「いや、確かにあんたのことはボスとして認めてるけど別に恋愛感情じゃあ、ないッスよ」
     これは素直な気持ちだ。それ以上でもそれ以下でもない。
    「……は?」
     しかし、レオナさんはその答えに納得していないらしい。一気にこちらを睨む目が鋭さを増した気がする。いや、気ではない。
    「……じゃあ、あれは(毛繕いをおとなしくされてた)」
    「んー。獣人じゃあ別に特別でもないッスよね(スラムでは家族以外の毛繕いは普通)」

    「「……」」

    「……じゃあ、あれは(寮生たちが俺たちの仲を勘違いした時否定しなかったろ)」
    「ああ、別に一緒にいることは事実だし、レオナさんがほっとけって言ったからッス(雇い主にはそれなりに忠実)」


    「「……」」


     長めの沈黙が二人の間に流れ、空気も先ほどと比べ物にならないくらい重い。諦めたのか、レオナさんは俯いていて顔を見ることは出来ないが、恐らく怖い顔をしているに違いない。
     別に男同士とかは獣人では稀にあることなので気にはしないが、別に俺もそうかと言われれば、それは違う。女の子の方が柔らかくっていいじゃないッスか。初恋は近所の姉ちゃんだったんスけど結婚しちまってショックだったな~。
     しかし、レオナさんにそういう意味で好かれているとはまさかだった。たってライオン様で王族様のレオナさんがこんなスラム育ちのハイエナなんぞを好きだと言うなんて、誰も思うまい。
     いや、これは逆に利用できるのでは?よく言うでしょ、惚れた弱みだって。でもそんなタマじゃないか。想像できないし。
     ん、むしろこれは危ないのでは?振った相手を側に置いとくなんてちょっと良く分かんないことをするだろうか。もしかして、解雇、とかありえてしまうとか……。
     それは困る。


    「今日はもう帰れ」


     一人で空気に耐えきれず百面相をしていると、気が付けばレオナさんが口を開いた。 
     その声は冷たくて、表情が分からない分、感情を感じ取れない。少しだけ、オーバーブロットをしてしまった時に似ている気がした。

     けれど振ってしまった手前、何か言葉をかける権利は俺にはない。
     大人しくそれに従い、部屋を後にする。

    「あ、洗濯物……」
     静まり返った暗い廊下に俺の他人事が小さくこだました。


     次の日、俺がいつも通り起きた頃にはレオナさんからマジカメにメッセージが来ていた。

    『今日は朝も昼もいらねえ』

     とても簡単に、はっきりとした拒絶だ。まあ、当然か。
     これはいよいよ解雇かなと思いつつ、付き合ったら、なんてありもしないことを考えてみる。
     そもそもライオンとハイエナが付き合うなんてこと自体、前代未聞ではなかろうか。
     いや、付き合ってねえけど。
     「俺は別にそう言うんじゃねえしな~」
     色恋の何となくはスラムにいれば目にすることはあったので経験がなくとも考えることは出来る。出来るけど、これって、俺がネコってことッスよね。流石にそれは考えらんねえな。恋人同士ならそういうことは必然だろうし、そもそもレオナさんといちゃつくとか無理でしょ。
     ハイエナ社会的に強いメスを好きにはなるが、強いオスってのはどうなんだ。確かにボスとしてはいいんだけど。
     

    「ちょっとラギー!あんた、あいつに何したのよ」
     なんて考えながら中庭で昼食を食べてるとヴィルさんが怒りを露わにしながら近づいてきた。めんどくさそうだけど近くにルークさんはいないようだし、いいか。

    「……俺は悪くないッスよ」
     どうせ、あいつとはレオナさんのことだ。確か、今日はヴィルさんの所と錬金術の合同授業だったはずだから、それだろう。
     そうか、やっぱりレオナさんは機嫌が悪いらしい。意外と繊細なところがあるだなんて意外だ、と思ったが、実家のことであれだけ気を揉んでいるのだから繊細はもともとか。
     ちょっと申し訳ない。
    「ただでさえ顔だけ男なのに余計に顔だけ男になってるじゃない!」
    「顔はいいんスね」
     どうしてこうもヴィルさんの評価は偏ってるのか。顔、そんなにいいッスかね。
    「あいつがあんなになるなんてどうせラギーが原因でしょ。明後日も合同授業なんだから何とかしておくのよ!」
     はいはい、なんて聞き流そうとしたが、何か引っかかる。
     なぜ、レオナさんの不調が俺のせいだと思うのか。
    「あの、ヴィルさん。なんで俺のせいだと思ったんスか」


    「はい?どうせ痴話げんかなんでしょ」


     付き合っていないのだから痴話喧嘩ではない。そうは思いつつもどうやら午後はサボるつもりらしいライオンを探しに温室を訪れると、猫たちに囲まれ昼寝を決め込んでいるレオナさんがいた。
     錬金術はヴィルさんに後から言われるのが嫌で出たんだな。
     今だってどうせ俺が来たことに気が付いている。
    「俺は解雇ッスか?」
     ライオンの耳がピクリと動く。やっぱり聞いている。
    「いや~。確かに答えることは出来ないッスけど解雇は困るというか……。でもレオナさんが無理なら解雇でも――――――」
     柄にもなくどういう顔をして話せばいいか分からずもじもじと喋っていると急に動き出したレオナさんに腕を引かれそのまま芝生の上に転がされた。見上げた視線の先には昨日とは打って変わって不敵な笑みを浮かべたレオナさんが俺を組み敷いている。
     え、なにこの状況。
    「解雇はしねえよ」
    「―――え、マジッスか!?」
     思いがけない申し出に流石に頬が緩む。
    「その代わり、俺はお前を口説き落とす」
     ……は?なんて?
    「……よく、聞こえなかったッス」
    「お前に俺を好きだと言わせるって言ってんだ。解雇もしねえ。金も今までの1.5倍にしてやる。その代わり俺はお前を口説くから覚悟しておけ」
     悪だくみをしている時の様なレオナさんはそう言った。
     言葉の意味を理解できず放心していると満足したのかレオナさんはまた先ほどの昼寝の位置に戻り二度寝を決め込もうとする。
    「は……、いや、意味わかんないんですけど??っていうか寝ないでさい!!」
     起こせばいいのか、先ほどの言葉の真意を聞けばいいのか、もう分からない。けど賃金の1.5倍は間違いなく嬉しいことだったので今日は見逃すことにしよう。
     明日は絶対授業に出てもらうけど。

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    yanagikumiko

    PAST2021年ゴスマリをプレイした後に書いたもの
    なぜかどこにもアップしなかった

    またそのうちレオラギも書きたいです
    プロポーズ暗い寮内を歩いていると無意識にため息をついていた。サバナクロー寮は他の寮に比べ早く就寝する生徒が多いのも事実だが、それにしたって今は随分と夜も更けている。レオナは壁にかかっている時計にチラリと目線をやった。午前1時だ。
     どうしてこれ程までに帰寮が遅くなってしまったのかと言うと、イグニハイド寮寮長のイデアがゴーストのお姫様から求婚されてしまったせいだ。レオナからすれば勝手に結婚でもなんでもしてくれ案件だったのだが、婚約が成立してしまえばイデアはあの世行きになるようで、どうしても阻止しなければならないのだと、高身長・ハイスペック男のレオナはもれなく招集されてしまったのだ。
     どうして俺が好きでもない奴にプロポーズしなくちゃならねえ、なんて言ってやりたいところだが、結局器量の良さを発揮することなくお姫様に振られたレオナは序盤から完全なお荷物になってしまったので下手に文句も言いにくい。なんやかんやあって騒動も一段落したあとは、これまた学園長にあれこれと難癖を付けられて片付けやら諸々をこなしている内にこんな時間になってしまったと言うわけだ。
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