夢は所詮夢であり夢を見ていました。
といっても、あまり珍しいことではありません。
わたしは元よりよく夢を見るのです。
わたしの生まれ故郷では、夢は予言である、と固く信じられていました。しょっちゅう夢を見るわたしを、いっぱしの占い師のように扱う人もいたくらいです。
もちろんただの夢ですから、「予言」が当たる確率は半々程度でけして高くはなかったのですが、それでも何かしらを当てると、大人にたくさん褒められて嬉しくなったものでした。
むろん町に出てからは、いろんな書籍を見たり話したりするうちに、それがうちの村での風説に過ぎず、事実ではないということも知りました。
けれど長年その話を聞かされて育ってきたからでしょうか、相変わらず夢というものを、未来を覗き見るもののように思えてしまうわたしもいるのでした。
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