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    koharu_Hanasaki

    @koharu_Hanasaki
    絵のことなんにもわかんないけど
    気付けば手が絵をかいている

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    koharu_Hanasaki

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    「夢を見た」のお題でのワンドロ。長らく字を書いていなかったのでリハビリも兼ねて&小説の投稿テスト。
    こういう優しい世界と辛い世界を反復横飛びみたいな話が好きで、すぐそういうオチにしてしまう。
    今回は冒頭回収しかできなかったけど、次のワンドロではもう少し伏線とか小ネタとか入れて遊びたいところ。

    夢は所詮夢であり夢を見ていました。

    といっても、あまり珍しいことではありません。
    わたしは元よりよく夢を見るのです。
    わたしの生まれ故郷では、夢は予言である、と固く信じられていました。しょっちゅう夢を見るわたしを、いっぱしの占い師のように扱う人もいたくらいです。
    もちろんただの夢ですから、「予言」が当たる確率は半々程度でけして高くはなかったのですが、それでも何かしらを当てると、大人にたくさん褒められて嬉しくなったものでした。

    むろん町に出てからは、いろんな書籍を見たり話したりするうちに、それがうちの村での風説に過ぎず、事実ではないということも知りました。
    けれど長年その話を聞かされて育ってきたからでしょうか、相変わらず夢というものを、未来を覗き見るもののように思えてしまうわたしもいるのでした。

    今日見たのはこんな夢でした。
    暖かい光がゆらゆら揺れるどこかの酒場で、わたしは仲間たちとテーブルを囲んでいます。
    木で出来た丸テーブルの上には、魚料理、肉料理、それから何か東方の料理。わたしたちはおしゃべりを楽しみながら、めいめい好きなものを好きな量、大皿から取って食べています。
    舌鼓を打ちながら話しているのはどうやら、その日こなした仕事のことのようでした。

    仲間の言葉は泡のようにぼやけて、何を言っているか聞き取れません。
    しかしそれは夢を見ているわたしにとってそうであるだけで、夢の中のわたしはいたってふつうに言葉を聞いて、頷き、笑い、言葉を返しています。
    やはりわたしであるからでしょうか、わたしの言葉だけは、夢を見ているわたしも聞き取ることができるようでした。

    「まさか!みなさんのおかげです。
    わたし一人じゃ、きっと迷子になっていました」
    「……ちょっと!すこしは否定してくださいよっ」
    「ああ、もう、それ以上言うならお肉料理ぜんぶ食べちゃいますからね――」

    笑い声に包まれると、怒っているようなふりをしていたわたしも、つられるようにして破顔します。
    ほんとうに夢なのだろうかと思うほど、いつも通りの光景。
    ああ、いつまでも覚めなければいいのに。
    そう思いながらその景色を眺めていたのですが、何かの話題の流れで、仲間から乱暴にわしゃわしゃと頭を撫でられて笑ったとき、とうとう目が覚めてしまいました。

    「……ああ」
    起きてしまった。
    いっそ気を失ったままだったほうが幸せだったかもしれないのに、神様というひとは相変わらず無慈悲なお方です。
    もはや夢と現実とがあべこべならいいのに、なんてふざけたことを考えます。
    だけど全身に走るびりびりとした痛みが、こちら側が現実なのだと突き付けてきます。

    「だい……じょうぶ。だいじょう……ぶ……」
    息を吸おうとした拍子に、かはっ、と口から何かが漏れ出ました。
    赤かったような気がします。でも、視界全体が赤いせいで、よくわかりません。
    杖を文字通り杖にして、縋りつくようにしながらどうにか身を起こします。

    「ゆめ、は……予言。……だから……あれは、わたしの……未来」
    自分自身に呼び掛けます。そう思わなくては未来を信じられない気がして。
    光の戦士にだけ見える“死の予兆”の光が、気付けばわたしを包み込んでいました。
    ふっと、口元に笑みが浮かびます。
    絶望とも希望ともとれない、何とも知れない強い感情がわたしの心を満たしました。

    とうとう魔物が腕を振りかぶったのを見て、わたしも杖を掲げます。
    勝てる見込みはあまりない、けれどもわたしは生きて帰らなければならない。
    だって結局夢の中では、あの贅沢な料理の数々の味がわからなかったのですから。
    ……仲間がなんと言ってわたしを撫でてくれたのか、その言葉もわからなかったのですから。

    そういえば――夢の予言が当たったのと外れたの、結局どっちが多かったんだっけ。

    「忘れちゃったな」

    わたしは白魔法を放ちました。

    (了)
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