Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    hopmugiko

    @hopmugiko

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 1

    hopmugiko

    ☆quiet follow

    【デビルメイラバー】🔶ピクシー召喚編🔶
    五悠 魔法学園 / 魔界公爵×崖っぷち魔法学生

    ばっち恋2nd開催ありがとうございました!

    【デビルメイラバー】🔶ピクシー召喚編🔶「虎杖君。補習、ありますよ」
    悠仁は担任の七海から無情な通達を受けた。キラリと眼鏡を光らせて告げられた言葉に立ちつくす。
    「まだ妖精呼びだせてないでしょう」
    各履修項目の一つなので、出来てない生徒。と言っても学年で悠仁一人だけなのだが。学園のルールに則り補習が組まれたという。
    ようやく大きな試練を乗り越えたと思ったのに。
    「この前のパートナー呼びだす奴じゃ駄目なの?」
    ピクシーどころでは無い大物を先日召喚したのだ。本意ではないが。それで退学を免れたのも事実だし、そのせいで死刑一歩手前まで行った事も事実。
    この数百年、悪魔を召喚して生き残れた人間は悠仁一人だと先日魔法省の人に告げられた。
    「あのような大きな召喚ではなく、日々の作業を助けてくれるピクシーのような妖精を簡易的に呼びだせる事は大切です。虎杖君の場合、難しいかもしれませんが」
    「そっか」
    魔力はあっても出力が出来ない事の分かった悠仁の身体。魔力付加の身体能力で特待生として入学したは良いものの、入学してから一度も妖精を呼べたことは無かった。
    同じ補習仲間と思っていた他クラスの人は、ただ授業が受けられなかっただけらしい。確かに、以前にも三回受けていた補習授業のメンバーの顔触れは都度変わっていた事を思い出す。
    「復習したいと申告のあった生徒も併せての授業となりますので、こちらの教室に時間になったら向かってください」
    「うっす」
    最悪、補習授業で召喚が成功しなくても退学や留年は無い事を伝えられ大きく息を吐いた。
    しかし何度も言うが諦めちゃそこで終了だ。どうせ受けるなら呼びだしたいじゃないか妖精さん。
    今度こそ来てくれた妖精に渡そうと魔水耕栽培の花を再度用意して、悠仁は意気込んで授業に挑んだ。



    「では、書かれた呪文を読みピクシーを呼びだしてください」
    悠仁が何か魔法を唱えようとすると、数名の同級生たちがヒィっと声にならない悲鳴を上げた。
    可愛いピクシーを呼ぶ補習授業内の事である。
    それもこれも、後ろにピタリとくっついた長身の男が原因だろう。
    妖精も呼んだことの無い悠仁が召喚の儀で呼びだした。校庭を終焉の焔に染めた超本人、伝説的大悪魔アスタロト。子供の絵本にも描かれるいくつもの国を滅ぼして来た伝説的悪魔。
    元は人間だったという事実も先日本人から教わった。人間名は五条悟と言うらしい。
    学園の禁書や首都にある世界最大の魔法図書を誇る幻影図書館にも本当の所は書かれていなかった事実。
    描かれた魔法陣から出て来た時には悪魔然とした立派な角と今よりも立派な体躯を誇っていたが、今は人間だった頃の姿を取っているという。
    プラチナブロンドに悠仁より頭ひとつ大きい長身痩躯。長すぎる手足に美しい顔。
    無表情で居られると芸術品のような男は悪魔的な美しさと言って過言ではない。人々を魅了しては魂を食らったと召喚してしまってから図書館で借りた文献に書いてあった。現に、恐怖しながらも同じ教室の女生徒達が悠仁の後ろをずっと気にして視線を寄越す。
    見られている本人は一切気にする事は無いようで、暇そうに長すぎる足を組み窓の外を見ていたが。
    「はあ」
    皆の視線と緊張感に囲まれながら魔法陣に間違いが無いかを再度確認して教科書の呪文を読み上げた。
    魔術師になる為の最初の難関、召喚の儀で何故か最上級の悪魔を呼びだしてしまった。なので、悠仁が魔法陣を描き何かを唱える際、あの日から周囲には異様な緊張に包まれる。
    本当の所は、悠仁の力などではなくアスタロト本人の気まぐれだったという事に気落ちしたが今はそんな事どうでも良い。大悪魔は現在、悠仁の使役魔となり。何故か悠仁を花嫁にすると宣言して学園の生徒顔をして悠仁の後ろに収まっていた。


    「やっぱ駄目か」
    何度も練習した魔法陣を丁寧に紙に描き移し呪文を二度、三度と唱えるも反応は無かった。
    他の生徒にはちゃんと妖精さんが呼びだされていたが、生徒から花を受け取ったかと思えば高速で姿を消した。以前と違う様子に悠仁は首を傾げる。
    前と呪文が違うとかかな。
    「まさか。幾ら体から放出するのが苦手だからってクズ妖精を呼びだす魔法も使えないなんてありえない」
    購買で買ったチョコレートをご機嫌につまみながら、背後で見守っていた五条は笑いを堪えたせいかプルプルと震えていた。
    「妖精さんをクズとか言うなよ」
    悠仁はむっと眉毛を寄せる。
    今からでも召喚して交換できるなら五条と交換したいくらいなのだ。
    伏黒の使役獣であるヘルドッグのようなペット的に一緒に過ごせる使役魔を夢見ていた悠仁からすれば、五条は過ぎた使役悪魔だ。
    使役魔契約も本人の意思関係なく結ばれていたので、実際どんな契約になっているのか。聞いたところで高校から初めて魔術に触れた、まだ知識の明るくない悠仁には理解することは難しい。伏黒にもこれ以上何かいらない契約を結ばれないようにしろと念を押された。
    そんな事を言われても。と、困り眉の悠仁の後ろでは五条が鼻を鳴らして笑ったところで見た目に反して喧嘩っ早い親友がまた学園内で大悪魔と一戦を構えようとしたので必死になって止めた。
    あの時は疲れた。
    授業時間はまだあると何度も挑戦を続けていると、五条は菓子を机に置いて悠仁の顎先をつまんだ。
    顎を持ち上げられた先にある白皙の美貌に一瞬気を取られる。
    吸い込まれる様な青に目を合わせていると。
    「ったく、しょうがないね。舌出して」
    「べっ」
    五条が舌を出したのに釣られて素直に舌を出す。
    その様子を目を細めて笑ったかと思えば、お互いの出した舌が絡んだ。
    「んぅ!?」


    「きゃーー!」
    「アスタロトの嫁がキスされてんぞ!」
    「虎杖!?」
    二人の様子に教室には悲鳴と教師の声が上がり、悠仁も必死に逃げようとするが叶わなかった。
    先程食べていたであろう菓子の甘みが口の中に広がる。
    ぬるついた感触が舌を伝い、五条に付けられた舌裏のよく分からない刻印がビリビリと刺激された。
    ぞくりと腰に来る刺激に悠仁は体をくねらせる。
    「ふふっ」
    五条はキスをしながら笑い、ちぅっと舌を今一度吸い上げてからようやく悠仁の口を開放する。
    教室は、教師も含め静まり返っていた。
    「ぷはっ!なにすっ…」
    口元を拭い、ぶんっと高速でくり出された拳は難なく受け止められる。
    「元気がいいね。まあ、お嫁さんの願いは叶えてあげないと」
    「だれが!?」
    勝手に嫁認定して帰って行ったと思えば人間の姿をして帰っていたアスタロト。ほぼ一方的に使役契約を結んだ事にされたが、決して嫁になる事を認めてはいない。
    「ほら、もう一回唱えてみな」
    悠仁の否定などどこ吹く風で五条は魔法陣を整った指先で指差す。アスタロトの時にあった長くて黒い爪も引っ込んでいるようだ。
    余りに自信ありげに告げるから、悠仁は投げやりに呪文を唱えた。
    途端、今まで一度も反応しなかった魔法陣が光り輝いた。いや、光りすぎだろってくらい光った魔法陣に感嘆の声を漏らした矢先、魔法陣の真ん中から念願のピクシーが姿を現した。
    「おおお!!?」
    自分の描いた魔法陣から一度も会う事の出来なかったピクシーを認め、嬉しすぎて涙が浮かんだ。
    「良かったな!」
    「凄いぜ虎杖!」
    悠仁が一度も成功していない事を知っていた運動部で顔を合わせた事のあった他の生徒も一緒に喜んでくれる。その事が嬉しくて笑顔でハイタッチを返そうとすれば、五条が身体を抱き込んで来た。妖精の召喚成功に興奮して、悠仁は抱き込まれた事など気にもせず五条の顔を覗き込む。
    「すっげぇ!どうやったの!?」
    「僕の魔力を印にちょっとだけ、ね。相変わらず悠仁の魔力美味しいね」
    ぺろりと自身の唇を舐めながら悠仁の唇を指先でなぞる。
    色気駄々洩れの五条に顔を赤くするが、今はそれどころではない。
    初めて呼び出せた妖精さんにお礼をしないと!
    五条から視線を外してようやく会えた机の上のピンク色の羽根が可愛い妖精さんは五条を見るなりがたがたと体を震わせ、悠仁の方を見る事も無く机の上に何かを置いて魔法陣へと帰って行った。
    「ちょっ!え?待って…」
    まだお礼の花も渡していないのに。教科書に書いていた手順と違う事に動揺をしていると。
    「ちっ、まだ隠し持ってたか」
    五条が机の上の物を手に取り悪態をつく。
    交流を図る事も無く消えた妖精が置いて行った物はなんなのか。
    気になって覗き込めば、手に収まる程の壺があり、そこからはえも言えぬ良い香りが漂った。
    「虎杖!?そそそそそれは!!妖精の宝と言われる妖精蜂蜜じゃないか?!」
    召喚学の先生が興奮しながら、妖精の置いていった壺を指差す。
    余りに興奮した先生の様子に、再度壺を覗けば見たことも無い輝きを放つ黄金のとろみのある液体が入っていた。
    教室に甘い匂いが広がる。
    「美味しいんだよ、これ」
    先生が指差した壺を五条は摘み、指を突っ込んで悠仁の口元へと差し出した。
    うっとりと目を閉じて匂いだけでも食べているような芳醇な香りに釣られて口を開ける。
    五条の指が入って来れば今まで食べた事も無い味と共に目の前一面のお花畑が見えた。
    うふふあははと可愛い妖精さんたちが飛び交う花畑を悠仁はスキップでかけて行く。
    「虎杖っ!?」
    「はっ!?」
    先生の呼びかけに意識が呼び戻される。
    「人間が食べれば美味しさの余り常人ではいられなくなると文献にっ。大丈夫か!!?」
    悠仁がお花畑で妖精さんと戯れていた間も五条の指は悠仁の舌を弄んでいた。美味しさに未だ意識が混濁していたが、先生の言葉に顔を青くして口の中の指を噛んでやった。
    「いって。もう、悠仁じゃなかったら消してるよ」
    「何て危ないもん食べさしてくれてんの!?」
    美味かったけど、この世とおさらばするところだったと目尻に涙が浮かんだ。
    「僕の刻印あるから大丈夫だって。てかさ、この蜂蜜千年前にあいつら無くなったって言ってたくせに」
    ブツブツ言いながら蜂蜜を瓶ごとひっくり返して豪快に食べる五条に。
    「あああああっ・・・」
    教師は手出しも出来ずただ千切れそうな悲鳴を上げて蜂蜜に手を伸ばしていた。
    どうやら甘味が好きなアスタロトが妖精界に上納させ過ぎて無くなったと言われた代物だったらしい。また上納させようとご機嫌に瓶を教師の方へと投げ捨て、五条は悠仁に笑いかけた。
    「ピクシー呼べてよかったね」
    「花は渡せんかったけど、呼べたもんな…うん、あんがと」
    念願のピクシー召喚は果たせた、五条の力を使ってだが。
    ははは、乾いた笑いを浮かべまだ痺れる口の中の紋章辺りを気にしながら五条に礼を告げた。



    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🍯🍯🍯💖💖💖💖💖🙏👏👏💖💖💖💖💖💯💯💯🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏👏☺👍💖👏👏👏💞💞☺💖💖💖💖☺👏👏💞❤❤🙏🙏🙏🙏💖💖💖💖💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works