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    E_N_Tendays

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    旧東隊パーティーに参加してほしいよ~~の気持ちだけで書きましたが続きが思い浮かばなかったので供養

    旧東隊、パーティーに参加してくれ 正気か? というのが今回与えられた任務に対しての、東の正直な感想である。
     数年前からボーダーの管理や経営に片足を突っ込んでいた東は、当然ボーダーを外から――金銭的に――支える出資者たちの大切さを知っている。だから、とくに面白みのない懇親会やらパーティーやらに自分を含めた大人たちが駆り出されることは、仕方がないと割り切っていた。
     しかし今回、政界やら企業の重鎮やらが集まったパーティーのボーダー側参加者名簿には、見慣れた、しかしこの場ではまったく見たくなかった名前が東の後に連なっている。
     加古望、月見蓮、二宮匡貴、三輪秀次。
     東がかつて率いた第一部隊の面々、いわゆる旧東隊メンバーである。
    「第一線で活躍する戦闘員も見たい、というのが先方の意向でね」
     東にこの地獄のような紙を渡してきた唐沢は、困ったものだよ、と特に困ってなさそうな顔で言う。直接は関係ないだろうに、横に座った忍田や根付の沈痛な面持ちの方が、東の心境には合っていた。
    「まず未成年は出せないので嵐山隊含めた他広報部隊は不可。戦闘員として分かりやすい実績を持っていて、パーティーという場でも堂々とふるまうことができ、余計なことをしない、喋らない、けれど受け答えはできて、マナーも及第点以上が出せて、何かあったときのために咄嗟に連携が取れる。そういう基準で選ぶと、必然的にこうなった」
     ぐうの音も出ない正論だった。そうやって絞り込んでいけば、このメンバーになってしまうのは東とて理解できる。戦闘員は若年層が主力であるため、未成年というだけで大半が対象外になる。この前ようやく二十歳になった三輪が選定の最低ラインである以上、きっと東が選出しても最終的にこの人選になるだろう。
     しかし、だからって、と言いたくて仕方がない。よりにもよって、そこ? あの癖強集団を?
    「あとはまあ、やっぱり見た目には華が有った方が良い」
     大きな声で言えば問題になりそうな発言だが、納得感はすさまじい。かつて部隊を組んだ時に、東さんの趣味って分かりやすいよね、と陰でささやかれていたことを思い出す。選んだのは俺じゃない、俺は無実だ。しいて言うなら忍田さんの趣味なんだ。
    「というわけで、当日は頼むよ。本人たちには了承を得ている」
     私も参加するから気楽に、と唐沢は外堀をすべて埋め尽くしたことをさらりと告げて、人の良い笑みを浮かべる。確かに唐沢も東も参加するが、予定では二人とも今後の出資に関しての腹の探り合いを参加者とする予定で、突如追加された四人の面倒を見る暇はない。
     つまり、野放し。
    「…………分かりました」
     胃薬を買おう、東は固く決意した。


      **


    「ぜぇったい二宮くんはイヤよ」
     パーティー当日、某高級ホテルへと向かう車の中。ヒールの音を高く響かせながらそう言い切った加古に、東の胃がじくじくと痛むのを感じた。
     ボーダー内で全身を整え、ホテルに着くまでにと最後の確認を行っていた時分、そういえば加古と月見のエスコートはどちらがするのか、という問いに対しての解答が、先の加古の発言である。
    「私と三輪くん、蓮と二宮くん。これで問題ないでしょ?」
    「身長差を考えろ」
     にこりと笑った加古に異を唱えるのは当然二宮だ。おそらく本人も加古のエスコートはしたくないと思っているだろうが、加古の提案に乗るのも自分が嫌だという言い回しも気に入らないため口を出す。その懐かしい雰囲気にほんわかすることは、今の東にはできなかった。
    「あら、二宮くんこそつり合いってものを考えたらどう? 私と三輪くんは今日のコーディネートを合わせてるの。私たちがペアになるのが妥当よ」
     え、そうなの? 思わず東は加古と三輪の服に視線を向けた。
     加古が纏っているのは深い艶のある紫のドレスで、肩と背中が大胆に露出している。それ以外は布面積が多いが、胸元から膝辺りまでボディラインがくっきり出ている形状は、加古の恵まれた肢体をいかんなく発揮していた。いつもはそのまま後ろに流されている髪も豪奢にまとめ上げられ、白い花の髪飾りが加古の動きに合わせて揺れている。どこぞの大女優を思わすような雰囲気は、ひいき目を抜きにしても加古に似合いの美しさが有った。
     一方、三輪はいわゆる一般的なスーツ姿だ。もちろんこの場に合うように体形に合った高級かつ多少の遊び心が入ったものを身にまとっているが、特筆すべきことは無い。ただ、よく見ればネクタイピンやらカフスボタンに加古と揃いの紫が使われている。胸に咲く花は加古の髪飾りと同種で、隣に立てば確かに統一感が有った。それぞれ隊服の色に合わせただけだと思っていたが、しっかり考えられていたらしい。
     いつの間にそんな打合せを、と思っていれば、三輪がぽかんと口を開けて加古を凝視していることに気が付いた。なるほど、加古の独断だったようだ。
    「私もそのペアで良いと思いますよ。二宮さんと加古さんが組むと、ちょっと圧が有りますし」
     そう言って加古の援護をする月見の装いは、加古とは違い露出が少なく、袖は七分丈、スカートも膝下までが覆われた大人しいタイプの青いドレスだ。装飾は少ないが、その分全体を覆うレースの細やかさが華やかさを引き上げている。こちらも加古とは違ったタイプの美しさがあり、壁の花とは無縁だろうな、と独り言ちる。
    「……秀次はそれで良いか?」
    「大丈夫です」
     加古が仕込んでいた策に月見の援護が有れば、二宮もこれ以上異を唱えることはできない。最後に三輪に意思を確認して、エスコートのペアは無事に決まった。
    「じゃあ、最終確認だ。今日は色んな企業の重鎮や政治家が来ている。参加者の名簿は頭に入っているな? よし。知っての通りボーダーにとって重要な相手だ。悪意を向けられたりもするだろうが、下手な言動は慎むように。換装は基本的に不可。ただし、なにかあれば各自の判断での換装を許可する」
    「了解」
     揃って頷いた面々を見て、東は息を吐く。
     第一期東隊。それはA級一位に輝くほど能力に優れ、強く、そしてハチャメチャなチームだった。二宮と加古の言い争いは戦闘中でも勃発するし、三輪は感情の波が激しく、月見も興味が薄れたときの切り捨てがあまりにも早かった。そんな彼らを率いるのは、自分がまだ未熟であったことを考慮したとしても、一番難しく頭も胃も痛む日々であった。明日はなにが起こるのか、何をしでかすのかと考えて、上手く眠れない夜も数知れず。
     しかし、同時にこれほどまで頼りになるチームも他にはない。強さは言わずもがな、それぞれの咄嗟の胆力と応用力が同世代に比べて頭一つ抜けている。あれからそれぞれが隊長という役を経験し、あの時より思慮深さも増した彼らであれば、どのような場面に放り込んだところで東が心配するようなことなど起こらないだろう。
     そう、分かってはいるのだが。
    「お酒はいくらでも飲んで良いのよね?」
    「わきまえろ。ベイルアウトさせるぞ」
    「この人とこの人が移設反対派よ」
    「了解」
     なぜこうも、不安になるのだろうか。
     何もなく終わってくれと、東は神に祈るしかなかった。


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    この後パーティー行くんだけど実は東さん以外は極秘で唐沢さんに別の任務頼まれてて東さんが知らん間にきっちりばっちりゴタゴタ解決してて東さんは「なにもなかった良かった~!」って思うんだけど後日「いやあこんなことが有ったんだよね」って教えられて「なんでだよ!!!!!」になるみたいな話が書きたかったんですが別の任務とゴタゴタの内容が思い浮かばなかったので供養しときます。
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