笑わない理由俺には生前の記憶がない。
全く無いかと言われるとそうではない。と言える程うっすらと記憶がある程度、だけれど。
例えば誰かが居てソイツが何より大切だったとか。
ソイツが消えた世界に生きる価値が無いと言える程息苦しい想いがあっただとか。
夢を介して自分だったナニがそう泣き叫んでいて。
『あぁ…オマエはナニを着飾ってもウツクシイナァ…』
『イヤだ…イヤだ…。俺に、近づかないで…!』
『おいで、オイデ。私がアイしてアゲルかラ』
『来るな、来るな!俺は…アイツだけで良い…!』
『ワタシのタメだけニわラッテイれバイイ…』
『イヤだ…イヤ、触らないで…!』
『オマエハ、ワタシノモトデイキレバイイ』
硬直したままのソレを大きな黒いナニカが撫でまわす。
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