change into...ひと気の少ない商店街をネロは何かを惜しむように歩いていた。
昔は賑わっていたであろうその場所は、ほとんどが錆びた灰色のシャッターに身を包んでいる。この店なんか〈こども110番の家〉の張り紙があるものの入り口が不明で、いざというとき駆け込めない。もちろん、何も起こらないことが一番なのだが。
ここは不良がよくうろついている。落書きがあったりゴミが散乱していたりと荒れているわけではないが、過去に不良同士の抗争があった場所だ。そのことを知る近隣住民は、陽が傾きはじめる頃には商店街を訪れるのを避けたがるのだ。
そんな静けさの中で古い電気屋がポツリと営業し、ドアの隙間からテレビの音を漏らしている。
『今日は例年より猛暑となるでしょう。水分をしっかりと補給し、屋外での過度な運動は控えましょう』
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