きみのすきになりたい仙道は、好意を寄せられることに慣れていた。
有り体に言えばもてたのだ。小さい頃からずっとである。それは恋愛感情のみならず、友愛や親愛も含まれる。
なぜなら仙道の容姿は、幼少期より整っていたからだ。幼稚園の時分にはあまりの愛くるしさに天使だと持て囃されたし、小学校、中学校では愛くるしさのかわりに端正さを手に入れ、高校生になってからは精悍さまでをも手に入れた。垂れ目がちの眼、通った鼻筋、薄い唇がそれぞれ完璧なバランスで配置された顔に、筋肉質なのに嫌味のない長い手足、ちょっと伸び過ぎたくらい伸びた上背。その上物腰は柔らかく、言動はやさしく、かと思えばとっつきやすいところもある。これが人気者にならないはずがなく、仙道はいままで友人に苦労したことはなかったし、数多の女性たち────なかには男性もいた────から、恋愛感情をぶつけられることもままあった。ままありすぎて、最早日常茶飯事と言っていいレベルだ。同級生から後輩から上級生、他校の子、果ては見知らぬOLさんまで、寄せられた好意を数えれば、きっと百では足りないだろう。
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