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    アマリリス

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    アマリリス

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    享P コーチング

    ##M二次創作
    ##享P

    コーチング 朝のランニングは、澄んだ空気と体全体で感じる風が心地いい。人もいなくて悠介が言ってた通りだな、なんて小さく感動した。

    「はっ、はっ、はっ、はっ……」

     ──そうして、少し前を真剣な表情で走る監督の様子をうかがう。うん、呼吸は規則的、ペースも保たれてる。もうすぐかなとストップウォッチに視線を落とすと、ちょうどのタイミングで音が鳴った。

    「……よし、休憩! お疲れさま、監督」

     タイマーを止めて軽く肩を叩くと、規則的に揺れていたそれが少しずつ乱れて、荒い息が聞こえてくる。……体力測定としてはこれでいいんだけど、普段が普段だからちょっと心配だな。

    「はぁっ、はぁ……」
    「っと、少しずつ速度落として。急に止まっちゃダメだよ。向こうのベンチまでゆっくり」
    「うん……っ……はぁ……きょ、はっ……」
    「ん、無理に喋らないでいいよ。呼吸を整えることに専念して……うん、それでいいから」

     俺自身も付き添って徐々に速度を落としながら、目的の場所に到着する。事前に確認した通りこの時間帯には木陰ができてるから、少しは熱を冷ましてくれるだろう。
     監督がベンチに腰掛けたタイミングでタオルを差し出すと、彼女はお礼を言うように小さく頭を下げて笑った。

    「はは、んっ、はあ……ふう、涼し……」

     監督は右手で汗を拭いながら、もう片方の手を胸に当てて息を落ち着かせようとしてる。そうしてその手でTシャツの裾をひらひらさせた。

    「…………っ!」

     完全に目がそこに引き寄せられていることに気付いて、慌てて視線を逸らす。……恐る恐る監督の方を確認すると、目を伏せて額の汗を拭う横顔が目に映って少しホッとした。
     ……いやいや、見てる場合じゃないし。他に誰もいないとはいえ、俺に見えてるんだから注意してあげないと。

    「……よし……あのさ、監督。それじゃシャツの下、見えちゃうかもしれないよ」
    「! えっ、わっごめん!」

     監督は慌ててシャツを引っ張ると、困ったように眉を下げて笑った。……こういうちょっと抜けてたり、意外と子どもっぽいところがあるから、放っておけないっていうから世話を焼きたくなるというか。

    「あはは、お見苦しいところを……気が抜けてたかな。教えてくれてありがとう、助かったよ」
    「ん、それならよかった! じゃあ俺、飲み物買ってくるよ。スポドリでいい?」
    「うん。何から何までありがとう、享介」
    「どういたしまして。ちょっと待ってて!」

     駆け足で自販機に向かって、ついでに自分の分も買って、監督のところに急ぐ。

    「さすが、早いね」

     急いでたのがバレてるみたいで気恥ずかしいけど、褒められるのはまんざらでもなくて、頬が緩む。

    「へへ、ありがと。はい、俺のおすすめ!」
    「ありがとう。んく、んっ…………ふう。それにしても、享介は汗も全然だね。若いなぁ」
    「……俺、年なら監督とそんなに変わらないでしょ?」
    「あはは、ごめんね。年齢の問題じゃなくて、享介のこれまでの努力で身に付いたものなんだってちゃんとわかってるよ」

    (うーん、そういう意味じゃないんだけど)

     まあいいか。こういうところが好きで、敵わないワケだし。

    「……へへ。ありがと!」

     監督なら気にしない気もするけど、若いなんて言わせないように頑張らないと。たった数年の差なんだし、埋めることはできなくても意識させないことはできるはず。

    「ふふ。……アイドルになってからのレッスンもあるんだろうけど、やっぱりサッカーなのかな」
    「うん、まあね。あれは続けてたら、嫌でも体力つくと思うよ」
    「あ、やっぱり……試合中ずっと走ってるもんね」
    「今でもたまに事務所のみんなとしてるし。監督も混ざってみる?」

     軽い気持ちの誘いだったんだけど、監督は真剣な顔になって数秒考えてくれた。……が、考えた結果ダメだったようだ。
     まあ、しょうがない。本当に参加してくれるならこっちもその気でサポートするけど、それでも俺達に付いてくるのはキツいだろうしね。

    「うーん、現役アイドルに混ざれる気が……少しずれちゃうけど、観戦はしてみたいな」
    「え、見に来てくれるの?」
    「うん、仕事の参考になるかもしれないし」
    「……」

     ………………。

    「そ、そんな顔しないで、冗談だから!」

     俺の不満のこもった視線を受けた監督が慌てて訂正する。
     ふふん。慣れない冗談を言おうとするのはいいけど、俺相手には通用しなかったね。

    「ごめんね、純粋に楽しそうだと思って。あ、もちろん享介やみんなが良ければだよ」
    「あはは! 俺は、むしろ大歓迎。よし、じゃあみんなにも聞いておくね!」
    「いいの? ありがとう! 享介のプレイを間近で見られるかも、なんて役得だな」
    「かっこいいトコ見せるから、思いっきり期待してていいよ!」
    「ふふ。うん、期待してるね」

    ……そして、きっと誰が聞いても答えは同じだろうけど、これは一番に言葉を引き出せたご褒美ってことで。

    「監督、俺の応援してね?」
    「もちろん」
    「ありがと。……へへ、言ってよかった」



    「俺、記録整理するからゆっくり休んでて」
    「了解。」



    「帰ったら、ばっちり監督に合わせてメニュー組んでみる。だから今日は……」
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