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    misaka_mh

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    巣作りできない2

    久しぶりに良い目覚めだった。ぐっすり眠った。眠気がない朝は本当に久しぶりだった。
     昨日は賢者に添い寝を頼んだ。彼女はミスラが眠ったら部屋に戻るという宣言通り、朝にはいなくなっていた。賢者は便利だ。本当に。毎日抱いて寝たいくらいだ。
     ベッドから起き上がり、いつもの白衣を探した。床に投げ出して賢者がシワになりますよと注意していたが、眠気が勝ったのでそのままにしていた。けれど、見当たらない。
     首を傾げながらクローゼットへ足を向ける。賢者がしまってくれたかもしれないと思ったからだ。けれど、クローゼットは妙に荒れていた。記憶にあるより服が少ない気がする。かといって、服以外は変わりない。棚に置いている呪術道具の類も荒らされた様子はない。服だけが消えてしまった。
     いったいだれがこんなことをしたのか。探るために、呪文を唱えた。部屋に魔力の残滓がないか探したのだ。この魔法舎には賢者と魔法使いたちが住んでいる。賢者がミスラの服を漁って持ち帰ったと考えるよりは、魔法使いの誰かが何かを企てたと考える方が自然だった。
     かくして、ミスラの予想は当たった。オーエンの魔力が感じられる。ならば犯人はオーエンで決まりだろう。以前、眠るミスラの横に悪夢を見る魔方陣を描いたオーエンのことだ。また何か企んでいるのだろう。

    「アルシム」

     オーエンの部屋と自室を扉で繋いだ。抵抗はなかった。勝手に部屋に侵入されないように、特に北の魔法使いは強力な結界を張っているはずだ。それにしては手応えがない。不審に思いながら扉を開く。オーエンの姿はベッドの上にあった。ミスラの服に埋もれるように眠っている。やはり、犯人はオーエンだったのだ。
     ミスラが近付くとオーエンはびくりと肩を震わせた。ミスラの服をぎゅうと抱いたままじっとこちらを見ている。いつものにこにこした笑みは浮かべていない。調子が悪いのか魔力がよどんでいる。顔も赤い。けれど、それとミスラの服とは関係ないだろう。ミスラは無言でオーエンから服を回収した。

    「あ……」

     ぎゅっと掴んでいたのは、最初に探していた白衣だった。オーエンは手放すのを嫌がったが、強く引っ張れば力負けした。きゅっと唇を噛んで睨んでくる。

    「俺の服に何か用でも?」

     特におかしな魔法をかけられた様子はない。なぜかべたべたしているところがあったので、魔法で簡単に洗浄した。

    「……何もない。早く出てって」
    「それじゃあ」

     ミスラは自室に戻った。いつもと様子の違うオーエンに、なぜこのようなことをしたのか聞くことも忘れていたし、咎めるついでに殺そうとしたことも忘れていた。
     服が戻って来たのでまぁいいだろうと、その程度にしか思っていなかった。
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