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    misaka_mh

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    巣4。

    よく分からないがΩの身体になっているから、気をつけるようにと言われた。この魔法舎にもΩの魔法使いは存在するが、保護者や本人が上手く隠しているという。古い魔法使いの中にはαであるものが多く、その気になればΩなど簡単に蹂躙されてしまう。
     だから気を付けるようにと、双子はオーエンの頭を優しく撫でて言った。

    「ヒートも、数日もすれば治まるじゃろう」
    「辛いじゃろうが、大人しくしていればなんとかなる」

     口々に告げる双子はαだった。この身体がΩであることを証明するかのように、触れられた部分が熱くなってみっともなく足を開きたくなる。

    「他に、ないの……方法」
    「あるとも」

     スノウがにこりと笑ってホワイトににらまれた。ろくでもないことなのだろうなと思う。その予想は外れてはいなかった。

    「番を得れば良い」

     ホワイトは淡々と言った。ろくでもなかった。ホワイトがスノウに怒ったのも理解できる。
     オーエンはαだった。身体がΩになったからと言って心まで堕ちてはいない。αに項を差し出して噛みつかれるのを期待してしっぽを振りたくない。

    「番なんて要らない」

     そうだよね、と双子は頷く。彼らもαだった。オズやフィガロといった長くを生きる北の魔法使いは殆どがαだ。支配者だ。それらに屈服する己など、オーエンの矜持が許さない。
     あれほどミスラに抱かれたかったのが、αのミスラを身体が求めたのだと思うと情けなくて泣きたくなってくる。

    「かわいそうにね、オーエンちゃん」
    「うるさい。同情なんていらないよ」
    「何か欲しい物ある? オーエンちゃん」

     こどもをあやすような双子にいらいらしたから、嫌がらせも込めて言った。

    「ミスラの服」
    「ノスコムニア」

     双子の呪文が聞こえたかと思うと、突然周囲に何かが降ってきた。鼻をかすめた匂いに、それが前程まで切に求めていたものだと気付いたら、何も考えられなくなった。白衣をぎゅうと抱き締める。身体を苛む熱が少し穏やかになる気がした。
     双子がいることも忘れてミスラの服に包まれて満足していた。

     そろりと部屋を出た双子が顔を見合わせて「それは巣作りというのだよ」と教えることはやめようと決めたことをオーエンは知らない。
     巣作り。それは、ヒートのΩが気に入ったαの匂いのついたものを集めて落ち着きを得ようとする行為だった。
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