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    fmh5e

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    IHさんとことらさんと一緒に遊んでもらったシチュエーション「ネクタイプレイ」と「縛りプレイ」を合わせた微すけべなSS。本当にごめん。

    【欲しい、足りない、物足りない。】(行マリ微すけべ)「今日はさ、縛りプレイしてみない?」
    「えっ!?」
    「わっ、大丈夫!?」

     明日の朝食はトーストにしない?ぐらいの軽い声で聞き捨てならないセリフを言い放ちながら枕のカバーを変える行くんに、思わず手にしていた洗濯物を取り落としてしまった。
     明日はお休みだね、寝坊できるね、なんて呑気に話していた筈なのにあっと言う間に後は寝るだけ、を感じさせる会話に毎回ドキドキしてしまうのと、こちらを見て驚いた顔をしている行くんにこくり、と喉が変な音を立てる。
    「重たかった?オレがそっちやれば良かった、ごめんね!」
    「だだだだいじょうぶ……あの……縛っちゃうの……?」
    「うん!あっ、もちろん痛いのは禁止ね!」
    「う、うん……」

     落としてしまった衣類を纏め、明日畳む!と誓ってからカゴに放り込み、綺麗に整えられたベッドの上で私を呼ぶ行くんの前に座り込む。
     縛りプレイって、手とか、足とか?それとも何処か別の場所だろうか。
     そもそもどっちが縛られるのか。
     今まで二人で大抵の事は楽しく試してきたけど、そう言えばソフト系でもそう言う事はした事がなかったかもしれない。
     背を向けているクローゼットの中には、高校時代の制服が掛かっていて(何でそんなものが大学生の同棲部屋にあるかはお察しだ)あのネクタイとか使っちゃうのかな、ってそわそわしながら行くんの次の言葉を待つ。
     二人とも寝巻でベッドの上に向かい合って座ってこの後の予定を打ち合わせるなんて、ちょっと間が抜けているかもしれないけれど。これもいざ始まった時に私が戸惑ってしまわない様にって、行くんが気遣ってくれての事だって知っているから、私はこの時間が好きだ。
     今日もお疲れ様でした、ってぺこり、と頭を下げた行くんにつられて私もお辞儀。
     さらり、と流れた髪を片耳に掛けながら行くんがへにゃりと笑って口を開いた。
    「でね、何を縛るかって言う話なんだけど」
    「……ん?何を縛る?」

     何で縛る、とかじゃなくて?

    「そそ。いつもする時に何が一番多いかな、やっぱり回数の多い行為を縛った方がやり甲斐があると思うんだよね!君は何が良いと思う?」
    「……!!」

     し、縛り違いだ~~!!
     何を縛る、って訊かれて、私じゃないの?なんて聞かなくて良かった!!
     どうも私の考えていた『縛りプレイ』と行くんの言っている『縛りプレイ』が違うらしい、と混乱した頭で思い当たって、ザッと血の気が引く心地がした。
     良かった、自ら『縛ってみて欲しい』なんて言い出すところだった!!
    「うーん、やっぱり無難にキスとかかなあ。君に触れないって言うのは我慢できないし……」
    「……」
    「……みなこちゃん?」
    「あっ!は、うん!?」
    「……今日は止めとく?」

     あからさまに挙動が不審な私を覗き込みながら、行くんの眉が下がる。気遣ってくれている筈なのに、その顔が「とても残念」と言っているみたいに見えて、どうしようも無く彼の事が好きな私は無言で首を横に振ってしまう。だって、色々な事を知ってみたい、体験したい。誰とでもない、行くんと。
    「そか!じゃあどうしよっか」
    「キス、で良いと思うけど……行くん、我慢できるの?」
    「だぁーっ!そこを突かれると痛いんだよね、オレ、君とキスするの好きだからなあ~!」
    「ふふ、私も好き。でも、縛りプレイ?なら調度良いのかも」
    「うんうん、我慢大会みたいになっちゃうけど、それはそれで楽しいかも。そうだ、あれ使おっか!」
    「?」
    「ちょっと待っててね」

     そう言ってベッドから降りてクローゼットへ向かう行くんを見て、どきりとする。ああ、こんな時に都合よく同じ物を思い出さなくても良いのに。
     振り返った彼が手にした見覚えのあるネクタイが、お見通しだよって言ってるみたい。
    「これで君の口、塞いでみても良い?」
    「私の?」
    「うん、苦しくない様に緩めにね」
     ぴたり、唇に当てられた柔らかい布が口輪の様に後頭部で結ばれる。少し身動きをすればすぐずれてしまいそうな程緩いそれは、ある意味私が想像した『縛りプレイ』すらも叶えてしまったみたいで、にやけているのを隠す為にネクタイの下で軽く下唇を噛み締めた。
    「どう?苦しくない?……大丈夫そうだね、じゃあ始めよっか」
     
     言葉を発する事が出来ない私が首を揺らしたのを合図にして、部屋の明かりがベッドサイドに置いた間接照明の淡い光に切り替わる。本を読むことが出来るくらいの、ギリギリの明るさ。
     煌々と照る照明の下では流石に恥ずかしい、と駄々を捏ねた私の意見を聞いてくれた行くんが選んでくれたそれは、こうした時にとても役に立つ。
     ちゅっ、と音を立てて首に吸い付いた唇に背を震わせて、あれ?これってキスじゃないの?って思ったけれど、きっと行くん的には『唇にキスはNG』が条件なんだろうなって納得して粛々と外されていく寝巻のボタンを見守る。
     少しずつ露わになる肌へ唇を滑らせつつ、手元を見ずにボタンを外していく行くん。何も言えない私は、ただされるがまま。会話が出来ないからか、自然に行くんも無言になってしまうのか、二人でいるのにしんとした部屋はいつものベッドじゃないみたい。
    「寒くない?」

     指先が肌に触れる直前で、それまで伏せていた顔を上げて覗き込んで来た行くんの口元から、ちらり、と見える舌が艶めかしい。
     いつもだったらそれで掻き回して、搔き乱して、溶けてしまうくらいどろどろになって、それから──、
    「……縛りプレイって結構、きついかも」

     開始早々、音を上げた行くんの熱の籠った視線に口を塞いでいるネクタイへじわり、唾液が染みて冷たい。
     口内に溜まったそれを喉を鳴らして飲み込んだのに、たった一人分じゃ足りなくて、カラカラに乾いてしまう。
     こんなに、キスしたい、なんて。
     むず痒いお腹の中も、はだけて露出してしまった胸の先も、行くんの手が触れているくびれでも無くて、今、この隠している唇へ触れて欲しい。
    「……君も?とっても欲しくて堪らないって顔してる。これって、オレ達に向いてなかったかもね」

     そう言って見惚れる程に欲を滲ませた甘い顔をする行くんが、するり、ネクタイを解く。
     あっと言う間に重なった唇はたった一言の「キスしたい」も全部飲み込んでしまった。
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