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    『心を埋める行くんとやのさんのお話(notカップリング)』

    タイトル通り、行くんとやのさんがお話しているだけ。
    ふんわり雰囲気友情物としてお読みください。
    なお、こちらは別作の『正しい女王の育て方』(https://twitter.com/i/events/1546078203604676608?s=20
    の行くんパートのifストーリーです。

    『青は藍より出でて藍より青し』(行くんとヤノさん) 初めて彼をその場所で見たのは、春の風が桜の花びらを運ぶ季節だった。

     新学期が始まり、まだ糊の効いた制服の初々しい新入生達が端々で談笑し合う教室を通り過ぎ、特別教室棟の三階の廊下。
     ひと気の無い長い廊下は自分の靴音がやけに響く。前の授業で使った教材を抱え一人で歩いていると目指す教室が途方も無く遠く、知らない場所に迷い込んだ気持ちさえする。
     換気の為に開けてある窓から入り込んで来たのか、薄紅色の破片が歩を進める先々にぽつり、ぽつりと灯火の様に落ちていた。
     ここの清掃当番のクラスは何処だったか、と考える頭の端で、まあこれも風情があって良いか、とも思う。
     ひらひらと床を這う花弁は踊っている様だ。
     何処から来たものだろう。
     はばたき学園内には大きな桜の木が各所に植えられていて、近所には大きな公園もある。昼頃に吹き込んだものなら、遠くから来たのかも知れない。
     物言わぬそれに訊ねるつもりは無いけれど、何処から来たものか気になって窓の外を覗いた時に見えた彼の姿。
     この学園の生徒なのだから、学内にいても不思議はない。現に自分だって授業外なのにここにいる、けれど。
     友人の友人。指折り数える程しか二人きりで話した事はない彼だが、知る限りいつも元気に忙しなく動いている印象とは別人かと思うほどその足取りは重く、そして見違える程に影が落ちている様に感じた。
     三階の窓から見下ろす校舎裏はただでさえ薄暗い。
     たった一人、何かを両手に持った彼はゆったりした動きでわき目も振らず歩いていく。遠目からも目立つ黄金色の髪がたまに陽光に当たりキラリ、と光るがそれだけだ。暗い、影の様な存在感の無い姿。
     青く澄んだ空の色と対照的なその景色は何故だか目に焼き付いて離れず、彼の後ろ姿が農園の方へ消えても立ち尽くしている視界に残ったままだった。

    **

     次に邂逅したのは夏休みが程近い暑い日。

     立ち止まっていると首筋を垂れる汗がむず痒い、じっとりした気候の中でざわざわと、潮騒の如く騒めく級友達の中で同じように張り出されたボードを見上げる。まるで雲の上にある様に位置する彼の名前を見止め、視線を地へ這う様に下げるとやっと見つけられる自分の名前。
     その間にある彼女の名前も同時に見つけ、ホッと息を吐くと同時に誰かに肩を叩かれびくりと震える。
     気を抜いている瞬間が一番危ない。
     自分でも見知らぬ何かが零れ落ちてしまう。
     手が伸びて来た方を見ると、自分以上に驚いた顔をして肩を叩いたであろう手のひらを握ったり開いたりしている小波さん。
     いけない、彼女に気づけない程呆けていたなんて。
     慌てて取り繕って笑顔を貼り付ける。こんな顔、この場にいるのに相応しくない。
    「こんにちは」
    「ごめん!そんなにびっくりすると思わなくて……夜ノ介くん、名前探してた?」
    「いいえ。下から見ればすぐですよ」
    「そんな事……前より上がってるじゃない」
    「あなたこそ。お互い頑張った証拠ですね、良かった」
    「うーん……そうなんだけど」
    「おや、満足できない?」
    「……夜ノ介くんだってそうでしょ?」
    「……うん、悔しいかも知れない」
    「だよねぇ……」

     嘘だ、ほんの少し彼女に合わせてみただけ。実際のところ、口惜しさも薄れてしまう程諦めている。努力が実らないなんて吐き捨てるまでは捻くれていないが、そうかこんなものか、と納得してしまう自分が可笑しい。
     だけど、それを口に出して彼女を失望させるのも忍びない。
    「小波さんはもっと上位に行けると思う」
    「それは夜ノ介くんだって一緒だよ」
    「僕は……そうだね、努力が足りないのかな」
    「ちがっ、そうじゃなくて……!」

     ううん、と首を捻って考え込んでしまった彼女の旋毛辺りをぼんやり眺めながら少し子供っぽい返しだったかな、と自嘲してしまう。
     彼女を困らせたい訳でも、構って欲しい訳でもない。正直に思った事を述べるだけで人を困らせてしまう。自分はそう言う人間なのだ。
     冗談だ、と気の良い友人に告げようと視線を動かしたところで視界の端で光る何か。人ごみを縫ってあっと言う間に彼女の横に立ったその人に、開けかけた口を噤んだ。美奈子ちゃん、ヤノくん!と明るく話しかけてくる彼は、先ほど見上げたボードの頂上にいた人物だ。
    「どうだった?!」
    「あ、行くん。ちょっと上がったけど、まだまだ上位に届かないよ~!」
    「あー、ホントだ。でもまだまだこれからこれから!この間より上がったんだからもっと出来るよ!明日からはもう少し要点詰めて教えるね」
    「うう……頑張る……」
    「うんうん、がんばろ!」

     隣で交わされる言葉に居心地が悪い。察するに彼女は本多くんに教えを乞うていて、彼は可愛い愛弟子の成果を確認しに来たのだろう。急に部外者になってしまった自分はこの辺りで切り上げる方が良い。
    「じゃあ、僕はこの後生徒会の見回りがあるので」
    「あっ!夜ノ介くん!ちょっと待って!!」
    「!?」

     ぐい、と引かれた腕に引き摺られたたらを踏む僕と、それを支えてくれる本多くん。周りにいる生徒達の訝し気な視線を浴びて首を竦める彼女は気恥ずかしそうだ。どうにか体勢を立て直し、三人でこそこそと壁際に寄る。引き留めた小波さんが謝罪するのに、大丈夫、と返し本多くんと一緒に彼女の言葉を待つ。なんだろうか、何か気に掛かる事でも──
    「夜ノ介くん、私と一緒に行くんにお勉強教えてもらわない?!」
    「えっ!?」
    「あれ?ヤノくんもわからないところあって躓いちゃってるの?」
    「え、ええ……わからない、と言うか……その、わからないところがわからないと言うか……お恥ずかしい」
    「!ほら!一緒に教えてもらおうよ!」

     突然の申し出に思わずひっくり返った声が出てしまい、慌てて押さえた口から漏れるたどたどしい言い訳。
     鼻息も荒く目を輝かせる小波さんに圧され、本多くんの顔を見る。
     どうだろう、勝手な事を言われて彼は気を悪くしないだろうか。
    「オレは良いよ!一緒に勉強すれば復習にもなるし、ヤノくんも喜んでくれるなら嬉しさ二倍だよ!」
    「……でも、放課後は劇団の稽古や生徒会の庶務で時間をお二人に合わせてもらうのも悪い気がして」
    「じゃあ夜ノ介くんの都合の良い日を共有するカレンダーとか作らない?」
    「うんうん、それで三人で共有しよう」
    「……」

     思い思いにスマートフォンを取り出して、こちらを窺う四個の瞳。
     それでも戸惑う自分に、迷惑だった?と問いかけてくる彼女の視線はズルい。
    「……本当にお二人の邪魔になりませんか?」
    「「ならない!」」

     こうして『友人』との約束を結ぶ媒体を手にした僕と、無邪気にはしゃぐ二人。ふと、脳裏を掠めたあの春の日の陰りは彼の顔には見えなかった。

    **

     秋の陽はつるべ落とし。
     あっと言う間に暗くなって来た空を眺める放課後、開いたままのノートには先ほど本多くんから教えて貰った公式がまるで読めない異国の言葉の様に並んでいる。
     夏のあの日、彼女からのお誘いで一緒に放課後を過ごす事、数回。初めのうちはやはり僕の都合で参加できない事が多かったが、劇団内でふと『同級生が勉強を教えてくれると言っている』と零した際に、何故か泣いて震えていた団員達のおかげで最近は二週に一度はこうして放課後の図書室に缶詰だ。
     板書をするだけ、教科書を読むだけ。上辺だけ繕っても理解していなければいざと言う時に出てこない。文字通り基礎から教えてくれる本多くんの腕の良さもあってか、少しずつ内容が紐解けて行く事が楽しい。
     滑るペン先が間違いを赤く塗り潰していく。

    「──解る事がこんなに楽しいとは思いませんでした」
    「ほんと!?そう言ってもらえると嬉しいな!」

     そう言って笑う本多くんは、先ほどチェックの為に渡した僕のノートへ何やら書き込みを入れている。こうして『先生』から直に回答をもらえるのも少し楽しい。秋の夕暮れ、一緒に本多くんの『授業』を聞くはずだった小波さんは生憎急遽アルバイトが入ってしまったらしく、生徒は僕一人だ。
     静かながらにざわつく気配のする室内と、紙を捲る音。
    「はい、ヤノくん!出来たよ!」
    「ありがとうございます。ああ、わかりやすいな」
    「ふふっ、疑問点があったらすぐに教えてね!メッセージとかでも良いから!」
    「はい、不明点をそのままにしません。行せんせいの教えですね」
    「だーっ!ちょっと照れちゃうなぁ!」

     僕の軽口にはにかむ彼の手からノートを受け取り、もう一度目を通す。
     読みやすくて理解しやすい。偶に、小さなイラストが入っていたりするのが可愛らしくて笑ってしまう。
     彼女もこうやって本多くんから教えてもらい成績を上げたのだろうか。
     そこには自分には『わからない』時間が存在したのだな、と思うと少し羨ましいと同時に『ここに入れてもらえた』事が照れ臭い。
    「小学校の頃、テストが返って来るのが憂鬱だったんです」
    「そなの?」
    「ええ、間違いだけ突きつけられて何が間違っているのか点で分からなかった」
    「あー、そうか。そうだよね、出来れば一緒にわかる迄知りたいよね」
    「そうですね、出来ればその場で知りたかった」
    「訊けなかったの?」
    「……訊けませんでしたね」

     そう返すと、本多くんはそっか、とだけ呟いてそれからもう一度わからなかったら言ってね、と続けた。
     サラサラ、紙の上へ綴られる文字。正解も不正解も僕にはわからない事だらけだ。この場に居るのが良い事なのか、練習を放り出して自分の事に時間を使ってしまって良い物なのか。
    「ヤノくん」
    「!はい」
    「喉、乾かない?ジュース買いに行こうよ!休憩!」
    「……そうですね、行こうか」

     気を遣わせてしまった。きっと自分は情けない顔でもしていたのだろう。
     財布を鞄から取り出しドアの前に立ちこちらを呼んでいる本多くんへ追いつくと、二人で並んで歩きだす。
     放課後の廊下はがらんとしていて、染み出してきた夕闇と合わせると酷く静かだ。
    「ヤノくんは普段何飲むの?やっぱり水?」
    「甘いものはあまり飲まないけれど、水ばかりでもありませんよ。ああ、でもコーヒーは過剰に摂取しないようにしています」
    「うんうん、コーヒーの利尿作用は馬鹿にならないからねー!ねね!喉に一番良い飲み物って何か知ってる?」
    「ああ、それって──」

     ポンポン跳ねる様に話題が飛び出す本多くんと会話をしながら歩く廊下。静かだった場に反響する二人分の声を聞きながら、歩を進めているとふと、窓の外に見える光景に覚えがあった。
     本多くんと、この場所。
     春にここから彼を見下ろした場所だ。
     あの日、何かを大事そうに持って歩いていた彼の事がやけに気に掛かっていたのに、すっかり忘れていた。
    「ヤノくん?どうかした?」
    「……本多くん。つかぬ事を伺いますが、あの先って農園の──ビオトープがある場所ですよね」
    「どこどこ?……うん、そだね!」
    「ここ、春先に本多くんがそちらに歩いていくのを見かけた場所だなって」
    「オレ?」
    「はい、何かを大事そうに持って真剣な顔をしてたので気になっていて……今まですっかり忘れていたんですけど」
    「あー……そか!あの時かぁ……」
    「……何か、見ちゃいけない場面でしたか?」
    「ううん!ちょっと照れ臭いだけ!」

     特に何気ない世間話の延長で。でも少し気になっていた事を告げると、予想に反して本多くんから歯切れの悪い回答が返ってきたので、余計に好奇心が出てしまった。
     立ち止まって向かい合う二人の間に、窓から入った風が吹き抜けていく。
     冷たくはないが落ち葉の香りを運ぶ、湿った風。
    「……ヤノくん、見てみる?」
    「何を?」
    「オレの埋めた物」

     そう言うと返事も待たずにこっちだよ、と歩き出した彼を慌てて追いかけ、昇降口へ向かう階段を降りた。
     一度下駄箱へ行き、外履きに履き替えて校舎裏へと出る。
     その間も本多くんの話は止まらず、あまり関係の無いような話まで飛び出してくる。
     小波さんがローズクイーンを目指している事、これは知っている。
     風真くんと七ツ森くんと一緒に彼女をローズクイーンにする協力をする事になった事、彼女がとても頑張っている事、日々頑張っている彼女の手伝いをしたいと思っている事。
    「……僕は、二人の邪魔してませんか?」
    「してないよ!むしろヤノくんが来てくれて嬉しかったよ!オレだけじゃどうにかなっちゃいそうだったし」
    「?」
    「あ、ここだよね。ヤノくんがオレを見かけたのって」
    「ああ、はい。この辺りですね」

     校舎を見上げれば先ほど自分たちが立っていた三階の窓が見える。
     ひどく真剣な顔をした本多くんは、この先になんの用があったのか。考えてみると、プライベートに首を突っ込んだ失礼な話で彼に直接訊くつもりはなかったのだけれど……。
    「オレね、あの時【心】を埋めてみたんだ」
    「……心?」
    「そそ!きっかけは生物室の片づけを頼まれた事だったんだけど」
     明朗快活な本多くんにしては珍しい、持って回った言い回しに余計に話が読めない。
     じゃりじゃり、足元に土に混ざる石が擦れる音がする。
    「生物室の金魚が春先に何匹が死んじゃってさ」
    「……ああ、そう言えば小次郎先生が授業で話してましたね」
    「うん。たまに水槽の掃除とか手伝ってからちょっと寂しくて……ほら、魚ってそのままだと生ごみ扱いになっちゃうし、オレ、お墓作りたいってコジロー先生にお願いしたんだ」
    「そうだったんですか……じゃあ、あの時は金魚を持って?」

     それは、神妙な顔つきにもなる。
     僕が見た彼は、両手に世話をしてた金魚の死骸を持っていた訳で。そんな状況で、いつもの人を笑顔にさせる雰囲気も何もないだろう。
     あまり良くない事を訊ねてしまったのだな、と謝ろうと思ったが、その間にも彼の言葉は続いていく。
    「うんうん。でね、何処に埋めてあげようかなって。腐敗しちゃうから深く掘れる場所が良くって、後、場所を忘れない様に農園の端に埋めさせてもらう事にした」
    「……」

     校舎に沿って道を曲がり、農園の端にある大きな木の下へ辿り着く。
     落ち葉が散らばったそこで、ここに埋めたんだ、と指を指されるが生憎夕闇が迫った屋外ではどの辺りの事かよくわからない。
     取り合えず埋められているのであれば、と手を合わせると本多くんも横で軽く手を合わせて拝む真似をする。
     夕方の校舎裏で男子生徒が二人、木に向かって手を合わせている異様な光景だ。ここに小波さんがいれば少しは違ったのかも知れないけれど。
    「それで、心の話は?」
    「うん。ヤノくんはさ、魂の重量って知ってる?」
    「ああ、オカルト話で良く言われている物ですね。人が死ぬと魂の分だけ遺体が軽くなると言う」
    「そそ、それ。あれって【魂】があるなら何でも適応されると思うんだけど……金魚にも魂ってあるよね?」
    「そうですね……多分」

     多分、と言ったのは本心だ。当然生きる物全てに生命活動に必要な部分外で魂があるのであれば、金魚にもあるだろうし、猫にも犬にもある。
     でもそれらと完璧に意思疎通をしたことは無いし、人間に魂があるのかも僕は知らない。だから、多分。
    「でね、目に見えない魂があるんだとしたら他の人にも見えない心って取り外して埋めちゃえるんじゃないかって思って」
    「……ちょっと待って、本多くん。ごめん、話が見えないです」
    「だよねぇ、オレも!」
    「……」
     
     自分で言い出したくせに、そう言って笑う本多くんは困った顔をしている。
    「本多くんは……どんな心が埋めたかったんですか?」
    「うーん、」
    「ああ、すみません。言えないから埋めた、んですよね」
    「……オレも良くわかんないんだ」
    「?」
    「良くわかんないんだけど、その時は今持ってちゃいけないんだって、金魚を埋める時に一緒に成仏してもらおうと思って埋めたんだ」
    「……成仏しました?」
    「ぜーんぜん!後から後から湧いてくるから効果なかったみたい」
    「そうですか」
    「だから、その度に毎回ここに来て埋める真似してる」
    「えっ!?毎回?」
    「そそ、なんかもう儀式みたいになっちゃてて。変だよねぇ、もっと良い案がある筈なのに、思い浮かばないんだ」
    「……」
    「気付いた時からずっと、口に出したいのに頑張ってる姿を見ると今じゃないなって思って、埋めての繰り返しで。どうすれば良いんだろうね」

     零れた言葉は自分に宛ててでは無い。そう思うのに、何か言った方が良いのかと考えてしまう……考えても答えは出ないのだけれども。
    「埋めるのは正解なんでしょうか」
    「正解の無い問題って難しいよね」
    「……そうですね」

     きっと彼女に関係している事で、それは僕にはまだない物だ。
     三年間頑張ると誓い、脇目も振らずに走り続けているその人を埋めても飽き足りない程想うのはとても難しい事だろう。
     彼らしくも無い、と切り捨ててしまうのは簡単だが、人の気持ちはそんなに単純なものでもない。
     離れてしまう寂しさも、それを誤魔化す事を覚える道化も全部が僕の物で、『柊夜ノ介』らしくない物だ。そうした矛盾を抱えて、見せない様に生きているのは酷く重くて煩わしくて、でもそれを軽くする方法があるという事も教えて貰った。

    「……本多くん」
    「ごめんね、変な話しちゃって」
    「……いいえ、聞かせてくれてありがとう。勉強になりました。僕も辛くなったらここに埋めて良いかな?」

     本心からそう言ったのだけれど、ぱちぱちと瞬きをした後、聞いてくれたのがヤノくんで良かった、と笑った本多くんはいつもの彼に戻っていた。
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