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    柊月んたまよしのり

    気ままに描いたり書いたりお休みしたりする。
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    以前見た夢の内容と、その続きを妄想したもの。

    #書き殴り
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    #Angelical_Syndrome
    #夢で見たものシリーズ
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    A.Sこぼれ話「若手組が迷い込んだ先は…」ある何でもない日の白昼のこと。
    大勢の異形の敵に遭遇したダークとリトルだが、正反対なようで実は息の合う2人は圧倒的な戦闘力により襲い来る者達を片っ端から倒していき、一通り掃討し終えた頃にそれは起きた。

    ダークが敵の落とした金を拾っていると、その間に索敵がてら周囲を散策していたリトルが古い大きな倉庫のような建物を見つけ、何故かその場所がとても気になったリトルに呼ばれたダークはその奥で謎のゲートを見つけた。
    縦長に大きく、四角く口を開けている金属製の漆黒の枠に血管のように張り巡らされた浅葱色の光の筋…そしてその下辺中央には16桁にも及ぶ規則性のない無数の数字の羅列がスロットのように流れている無機質な電光盤。
    その物々しい光景を前に2人して首を傾げあっていたが、リトルはそれを警戒するダークを尻目に
    「何だろうな?」
    と、そのゲートの傍にある、周囲の床から生えるようにして薄く突出した正方形の小さな鉄板を踏んでしまい、ゲートの足元の電光盤には「1041083045520110」と表示され、それが何かを逡巡する間もなくゲートに異変が起こった。
    それまではオパールのようなオーロラ色の壁でしかなかったゲートの中が、その奥に何やら別の空間を映し出し…やがて、オーロラの幕は消失し、ゲートの向こう側は三方をコンクリートのブロック塀に囲まれた、灰色がかった小さな草原と繋がっていた。

    流石のリトルもこの先へ入ることを多少躊躇した様子でダークの判断を仰ぐように視線を送ると、ダークもこの光景には興味が湧いてしまったようで、結局好奇心に負けた2人は同時にゲートを潜って行ってしまう。
    ゲートを潜ったその先は、確かに草は生えていたが草原などではなく、三方を民家に囲まれた、ただの広い空き地であった。
    一瞬異世界のように思えたが、よくよく周囲を見回すと建物や道路、街路樹などを確認したダークは
    「ここ、日本…同じ現実世界か……!?」
    と、驚きの声を上げる。
    一方リトルはゲートの消失とゲートのあった地点の傍に「空き家」と看板がついた小さな一軒家を見つけ、現状を確認しあった2人はその空き家を仮拠点とした。
    そう、まずは基盤を整え、何事にも備えておく必要があるのだ。
    そして何故か傍に停めてあったキー付きの車を拝借したダークは助手席にリトルを乗せ、周囲を走らせつつ街並みを調べてみれば、普通に現実世界でよく見る店なども見て取れたため、
    「すぐ帰れるとも限らない以上、長期戦を想定して手持ちの金で休息できる環境を整えるしかないな」
    と言い、手近なショッピングモールに入って行った。

    この地が現実世界の何処かなのか、はたまた現実世界によく似た異界なのかがいまだハッキリしていなかった事もあり、2人は警戒しつつ車を降りたが、駐車場にも店内にもモンスターなどは居らず、居るのはどこから見ても何の変哲もない人間が無数に存在しているだけだった。
    その光景に2人が安堵したのもつかの間、すぐにダークはある事に気付いてこう言った。
    「こいつら、迷わなすぎじゃないか…?」
    そう、彼らの目に映る人間達は見た目こそ完全に何の変哲もない人間ではあったが、動きに迷いがなく無機質とさえ言える挙動であった。
    普通の人間は買い物をしている際には
    「あ、これもいいな」
    「やっぱこっちにしようかな」
    「あ、そうだついでにあれも探そう」
    となる者が少なからず居るはずである。しかし、この場にいるダークとリトル以外の者達は勝手知ったる店のように迷わず、尚且つ無言でさっさと目的のものだけ買い、急ぐでも迷うでもなく、寄り道なく退店していく…
    2人を除く全員が、1人として例外なくそんな機械的な動きで、この光景に言い知れぬ恐怖を覚えたダークはリトルの手を握って周囲に警戒しつつ、なるべく他人に接触しないようセルフレジを使っての買い物を徹底した。

    そして食料品や消耗品等の買い物を済ませた2人は最後にセルフレジのない布団コーナーで周囲の動きを真似て無言かつ厳選せずに布団を購入して車に乗り込んで仮拠点へと戻った。



    仮拠点にて
    「ガスもつくし水が出るならスープでも作るか」
    と言うダークに
    「水は買ってきたやつを使った方が良い気がする…よく分からないんだが、今出てるその水…なんだか怖いんだ……」
    と言う。
    こういう時のリトルの直感を信じているダークはすぐさま自身の配下の一人であるリーパー(へそ死神)を召喚して調べさせてみたところ、リーパーは
    「水道水の方は死の香りがするから飲んだらダメだな」
    と一言。
    買ってきた食料は無害であるとのことで、2人はホッと胸を撫で下ろす。

    そのあと、危険に気づいたリトルを褒めて頭を一頻り撫でたあとでふと
    「召喚使えるならブブにでも頼んで救援要請いけるか?」
    と思い至り、ベルゼブブを召喚し
    「どうやら俺は謎の地点に飛ばされたらしい。ここが現実世界か魔界か…はたまた別の世界か判断しかねている。
    そこで、お前にはこの周辺の探索と家にいる爺さん達に救援を頼んできてほしい。転移魔法が得意なお前ならいけるだろ?」
    と命じるも
    「それなら俺がマスター達を元の世界に戻せるんじゃないか?」
    と返され、「確かに…」とは呟くも、何やら考え込んでいる様子のダーク。
    すると、隣で2人のやり取りを大人しく聞いていたリトルが
    「でも、俺たちが迷い込んだみたいに他にも助けを求めてる人がどこかに居るかも知れないし…それに、もう少し此処のことを調べておいた方が良いと思うんだ。」
    と言い、ダークもそれに頷いた。
    攻略にも脱出にも綿密な現地調査と精査が必要になる。
    脱出するにもその後の処理が必要か否かを把握しておくべきと判断したのである。
    その2人の判断を汲んだベルゼブブは
    「OK、まずは軽く飛び回ってこの辺の状況把握と索敵…可能性は低いが、上手く行けばここがどこの軸の世界なのかも掴めるかもしれない。
    …で、ある程度の範囲の調査が済んだらマスターの自宅に飛んでアーク殿達に救援を依頼してくるとしよう。」
    と言い残して飛び去っていくのだった。


    その後暫くしてダーク達のもとへ訪れたクロウが
    「これはまた珍しい場所に迷い込んだな」
    と笑うが、未知の状況に笑ってはいられないダークとリーパーに
    「笑ってる場合じゃなぁい!!」
    と怒鳴られてしまう。

    まぁ落ち着けと2人を宥めたクロウの説明によると、ここは此岸(この世)と彼岸(あの世)の狭間にある虚世(うつろよ)という所らしい。
    虚世とは、彼岸へ真っ直ぐに流れ着くことができなかった人間霊の思念や想念、魂などが寄り集まってできた結晶のようなもので、それ故に此岸のような街並み、見覚えのある名前の店、一見普通のような人間の数々が存在しているのだとか。
    つまり、先程彼らが買い物中に見かけた者達は店員も含めて皆幽霊だったという訳で……
    それを察したダークは後から来た恐怖により血の気が引いて、ふらぁ…とよろけてしまう。
    それを支えるリーパーがすかさず尋ねる。
    「だが、おかしくないか?そこの蛇口から出た水は確かに死の匂いがしたが、2人が買ってきた食べ物からはそれがしない。同じこの世界に存在している食べ物なのに…」
    その問に対してクロウは
    「ふむ、お前の言いたいのは黄泉竈食(よもつへぐい)の事だな?確かに虚世のものを口にすればその魂はそこに縛られ、二度とどこへも帰れなくなる。だが、この品物達はどうやら現世のものらしい。」
    と答える。
    それを聞いて3人はそれぞれに顔を見合わせて理解ができず首を傾げる。
    「先程も言ったが、ここは此岸と彼岸…この世とあの世の狭間だ。つまり、どちらの世界にも繋がっているという事でもある。
    恐らくこの品物達…食い物は供物で、家具などは死者が生前使っていた物、と言ったところか…。
    ただ、ここに迷い込む者が少ないことから分かるように、それぞれの世の接点…『門』が開くのが稀でな……そこで、此岸と彼岸を繋ぐ法力使いである俺の出番というわけだ。」
    そう言いながら立ち上がったクロウは錫杖を持ち上げると、懐から取り出した護符数枚を錫杖の槍状になっている先端で突き刺し、空いた手に長い数珠をさげ、経文を唱え始める。

    やがて、その声に呼び寄せられるようにして集まってきた霊達。
    その姿に怯むダークの前に立ち、誰に言われずとも3人を護る結界を張るリトルを見て、クロウは彼の成長を喜ぶように微笑む。
    そしてクロウが「喝!!!」と声を張り上げる同時に錫杖で勢いよく床を突くと、クロウを中心に足元に金色に輝く梵字の羅列が円を描くように張り巡らされ、その円の中に一人も漏れずに収まった霊達は白い粒子となり、天へと昇っていった。

    そしてひと仕事終えたクロウは
    「虚世自体は別に害ではないのでな…此処を消すというのもまた世の均衡に差し障る。故に虚世は無人にせず、周囲に悪影響を及ぼす危険性のある怨念の強い者だけ誘き寄せて天へ帰した。あとは俺達がここから出れば無事、全ての世は再び元通りに動き出すだろう。現世ではアークが世の均衡が急激に傾かぬよう時間の進みを遅らせているからな、早く戻ってやろう。」
    そう言いながら3人を引き寄せて漆黒の大きな翼で3人を護るように包むと、クロウは数珠をさげた手で何やら印を切り、再び読経を始める。
    その声に何故か強い眠気を覚えた3人はほぼ同時に全員意識を手放し、次に目覚めた時には4人の自宅…現世へと帰ってきていた。

    そしてそのすぐ傍にはクロウと、彼の膝の上で爆睡しているアークが。
    状況を理解出来ずに混乱しているリーパーにリトルが
    「アークは時間に関わる大魔法で疲れて寝ちゃったんだろうな」
    と言うと、アークの手をきゅっと優しく握り
    「ありがとなー。」
    と礼を言う。
    そしてダークは少し離れたところで3人を見守ってたベルゼブブに
    「ブブもよく頑張ってくれた。その…なんだ……ありがと、な…」
    と、普段言い慣れないせいで照れが混じりつつも感謝を口にしていた。
    主たるダークに感謝されて得意げな様子のベルゼブブは、リーパーを呼び寄せるとリーパーの肩を抱き寄せ
    「とびっきり美味いスイーツ、楽しみにしてるぜぇ!」
    と、ちゃっかり2人分の「スイーツ」という名の功労手当を要求する。
    リーパーは突然のスキンシップに少し戸惑いつつも、要求自体は乗り気のようで、その顔は「俺も美味いスイーツを期待してる」と書いてあるかのよう。
    それを見て思わず吹き出してしまったダークは笑いながら言った。
    「勿論だ。存分に期待しててくれ。」

    かくして若い2人の長く短い異界譚は幕を閉じたのだった……。










    おまけ

    ダーク「ところで、彼岸と此岸とか虚世とか言うわりにはゲートがやたらハイテクっぽい見た目してたんだが…」
    リトル「そういうのって、鳥居っぽいイメージあるんだけどなぁ…」
    クロウ「鳥居は神仏とそれに敬意を持つ者が通る門だ。虚世の者の大多数は、間違っても神仏は来て欲しくないだろうから敢えてその形にしなかったのだろう。」
    アーク「何でだ?神とかホトケとかが来たらあるべきところへ導いてもらえるんだろ?」
    クロウ「あの地に留まっている者の中には、確かにお前の言うそれを求める単なる迷子も居るが、長く留まった者は段々とその地に居心地の良さを見出してしまうからな…恐らくその『門』を作ったのは虚世の住民だろう。」
    リトル「そっか…居心地良かったらずっとそこから離れたくなくなっちゃうもんな……じゃあ、『門』を作るのは何でだ?」
    アーク「死者も生者も、独りは寂しいってことじゃないか?仲間を増やしたかったから、人の興味を引きそうなデザインにしたんだろうなぁ」
    ダーク「成程…悔しいが、確かにちょっと興味ひかれた……。」




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