新たな日「おはようございます!」
「竈門少年!待っていたぞ!」
「すみません、早めに来たつもりでしたが…お待たせして…」
待ち合わせの場所へ訪れた炭治郎は予定時刻よりも早く着くように来た。つもりだったが、それよりも早く居た先客に元気良く挨拶をした。
「気にするな、俺が早く来ただけだ!」
「でも…」
「問題ない。さぁ、時間は限られているんだ。早速始めよう!」
「は、はい!」
今日から炭治郎は煉獄に稽古を付けて貰う事になっていた。初日から待たせてしまい申し訳無さを感じるが、そもそも予定時刻は朝の八時、現在は六時である。
「お願いします!」
「うむ!何処からでもかかって来なさい!」
あの手この手と向かって行くが全然相手にならない。さすが柱だ、と天井を見ながら感心していた。
「なんだ、もう諦めたのか?」
「ま、まだいけます…!」
「その意気だ!しかし、少し休もう。腹が減っては何とやらだ!」
そう言いながらぎゅるる〜と腹を盛大に鳴らしている。
「あ!お礼になるかわかりませんが、おにぎり作ってきたんです!良ければどうぞっ」
「それは有難い!いただこう!」
炭治郎は煉獄の事を慕っている。早朝稽古に付き合って貰う代わりに、と煉獄の事を想いながら用意してきた。
愛情たっぷりのおにぎりは気に入って貰えるだろうか。
「うまい!普通のおにぎりとは何か違う気がするな!」
「良かった〜!煉獄さんの事想って作ってきたんです…あ、と。今のは聞かなかった事に…」
「…そうか」
慌てて言葉の訂正をしようと煉獄の方を見ると照れた様子の横顔と嬉しいと言う匂いがした。もしかして同じ想いなのだろうか、と炭治郎は煉獄に伝えた。
「これからも、沢山ご飯作ります!貴方の為に、この先も、ずっと」
隣に座る煉獄の手を握り、伝えると、いつも上がっている眉毛を下げふわりと笑っている。
「ありがとう」
どきどきと鳴る鼓動は中々鳴り止まない。
新しい事柄を始めた日。新たな恋の話。