Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    koto_siro

    女体化とかすけべとか置く場所

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 66

    koto_siro

    ☆quiet follow

    白一

    「黒崎一護」

    静かだがハッキリとした男の声が聞こえたと思えば、行き成り抱きかかえられた。

    「な、何だ!?」

    ふわりと鼻腔を擽った良い匂いと、額を男の肩口に押し付けられた感覚に一護が動揺した次の瞬間身体に圧が掛かる。
    瞬歩で移動したのだ、と気が付いたのは顔を上げた時に眼前に居た虚が見えず景色もやや違う為であった。

    「気を付けろ」

    端的な男の言葉に視線で示された所を見てみれば先程まで居た所に新たな虚が一匹。
    一護の頭上から降って来たのだろう、地面には着地の衝撃を物語る罅が入っていた。

    「お、おう……サンキューな、白哉」

    一護を抱きかかえた男――朽木白哉へと素直に感謝を述べる。
    余りこの近さで白哉を見る事は先ずない。
    滑らかな肌や流れる黒髪、服から香る先程嗅いだ匂いに何となくドキドキとしてしまう。
    抱えられた儘の所為だ、と沸いた自分の感情を否定して斬魄刀を持ってない方の手で隊長羽織の裾をくっと引いた。

    「白哉、もう」
    「——卍解」

    降ろしてくれ、と続けようとした一護の言葉を遮り白哉の言葉が重なる。
    一護の目の端で地面が波紋を立てた様に揺れ、次いで地面から何本もの巨大な刀身がすらりと『生えて』来た。
    その刀身は直ぐにざらりと桜の花弁に似たものへと変化したが、見た目通りの花弁ではなく実際は全てが硬質な刃で出来ている。
    大量の花弁が川の様に勢いよく一護たちの傍から流れて行き、一護が戦っていた虚も上から新しく来た虚もあっという間に飲み込む。
    花弁が通り過ぎた後は何も残っておらず、攻撃途中で昇華されたのであろう。
    見た目の優雅さとは裏腹に中々にえぐいな、と一護は心の中だけで呟いた。

    「あんな虚に対して卍解って」
    「手が塞がっていたのだからそうするしかあるまい」
    「それはそうだけど……いや、俺の事降ろせばいいだけの話だろ!」

    未だに抱きかかえられた儘だという事に気が付いて一護は頬を赤らめた。
    一護が付いてきたのは六番隊による虚討伐だ。
    一護と白哉だけで来たのではなく辺りには他の死神も、副隊長である恋次も居る。
    鬱蒼と茂る森の中の広範囲で虚が出没した為に散開しており見える範囲で他の死神の姿は無いが戦闘音はあちらこちらから聞こえている。
    こんな抱きかかえられた姿なんて見られた日には恥ずかし過ぎて一週間位は尸魂界に来れないだろう。
    そんな一護の決意を見透かした訳では無い様だが、白哉が辺りへと視線を見回した後に漸く一護を降ろす。

    「おっ」

    その直ぐ後に隊士がやってきたが、一護が抱きかかえられていたのを見られた訳では無さそうだった為に一護は心底ほっとしたのであった。



    「白哉って良い匂いするんだな」
    「そうか」
    「…………」

    虚討伐を終え六番隊の執務室へと場所を移した後、長椅子でのんびりとしながら言った一護の言葉に当人ではなく近くの机で書類に唸りながら筆を滑らせていた恋次の方が固まった。
    一護は勝手に付いてきたのであるが、手伝った報酬だと白哉から出された朽木家の高級な茶菓子を頬張りながら寛いでいる。
    俺は休む間もなく早々に報告書の提出だっていうのに、と恋次は恨みがましい視線を送っていたが白哉が居る手前勿論口に出す事は無い。

    「死覇装に香を焚きしめている故、其れの匂いであろう」
    「へー、貴族」

    どんな感想だよ、と思ったがやはり口に出す事は無い。
    副隊長故に白哉の数歩後ろを歩く事の多い恋次も白哉の匂いは知っている。
    確かに良い匂いであるが何の匂いであるかはそういった物事に疎い恋次は知らない。
    同じ屋敷に住んでいる筈のルキアは違う匂いをさせていて、どうやら違う香を焚きしめている様だ。
    手間を惜しまないのは使用人が居る貴族だからなのだろう。
    そういう流れから一護が「貴族」という感想を持ったのかは分からないが。
    一体何があって一護が白哉の匂いに対して口に出したのかは恋次には分からなかったが突くと蛇が出そうだ、と書類に意識を戻したのであった。


    * * *


    数か月後。
    最近どうも一護から白哉と同じ匂いがする事に気が付いた恋次はまさか、と口橋を引き攣らせた。
    香を焚きしめている話など疾うに忘れていたのだが、移り香とは呼べないほどにしっかりと付けられた匂いが一護からしてる事で一連の流れを思い出した。
    一護の死覇装にも一緒に同じ香を焚いているのだろう。
    如何してそうなったのかは謎である。
    一護から焚いて欲しいと言う訳も無さそうだが、蛇を出すのはやっぱり嫌なので恋次は口をつぐんだのであった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👉👏🙏❤❤😭💒💒💒❤💖❤💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator