嘘つき同士の応酬はその日はワイルドエリアの巡回の日で、終盤に差し掛かった辺りで天候が雷雨に代わり、あまりの激しさにもう撤退するとなった時だった、飛び出してきたポケモンくんに気を取られた瞬間、ぬかるんだ地面に足を取られたのを最後に記憶がなかった。
起きたら見知らぬベッドの上で、起き上がってみれば頭がとてもズキズキと痛んで、痛む箇所を押さえながら痛みの波が過ぎ去るのを待っていると、扉の開く音が聞こえて咄嗟に顔を上げれば、そこにはキバナくんが立っていた。
ボクを見るとくしゃりと泣き出しそうな顔をして、駆け寄ってくる姿に少し面を食らってしまっていれば、気付くとボクはキバナくんに抱き締められていた。
突然の事に驚いて声が出ないけど、彼は時折こうやってボクに過度のスキンシップをして困らせてくる子だから、心を掻き乱してくるのをいつも少なからず憎く思っていた。だって、ボクばかり彼を意識してしまうのに、彼はてんでそんな気などなさそうだから腹が立つのだ。おじさんを揶揄って!と思うけど、我慢していたんだ。
だから、この日はちょっとした悪戯心だったんだ。
「君は?誰かな?」
頭が痛む事からもしかしてボクは頭をぶつけたのかなと推測して、本当に出来心だったんだ。
記憶喪失のフリでもして、驚かせてあげようなんて普段は思わない事を思ってしまって、キバナくんにそう言ってみれば、大きな瞳がカッと開かれて無言になってしまった事に、ちょっと悪ふざけをし過ぎたかなと思って口を開こうとするよりも先に、キバナくんが口を開いた。
「お、覚えてないの?オレの事……」
キバナくんは驚いた様な顔をしていて、口元に手を当てて何やら考え込む様な仕草をしていて、その真剣さに飲まれてつい頷いてしまった。
否定するよりも、どんな風な態度を取るんだろうというのが気になって、出来心だったのに……。
「君は誰?ボクの知り合いかな?息子……?ボクは結婚してたかな?」
すっとぼけてそう口にしてしまえば、キバナくんは優しくボクの手を握っていた。
「オレの名前はキバナです。ナックルシティのジムリーダーをしています。あなたはカブさん。自分の名前は覚えていますか?あなたはエンジンジムのジムリーダーをしていて、オレとカブさんは恋人同士なんですよ」
そう、丁寧に説明をしてくれていた最後の文面に、とんでもない言葉があった事にボクはただただ驚くしかない。
えっと……。
「ボクと、キミが、恋人同士?」
「はい」
ボクの手をぎゅっと握りながら頷く彼に、また悪戯を……と思ってじっとりとした目で見つめてしまう。悪戯してるボクが言うのもなんだけど、新手の悪戯かな?と疑いの目しかない。
「親子程離れているし、性別も男同士なのに?」
自分で言っていて少し悲しいが、ボクたちの間には弊害が沢山あるし、彼がボクを好きになる事なんてまずないに等しいだろうと思うと少し悲しくて、彼の手を解こうとすれば、もう片方の手がやってきて手を挟む様に握り込まれたかと思えば、真剣な目をしたキバナくんがボクを見ていた。
「オレは年齢や性別関係なくあなたが好きなんですよ、カブさん……」
あまりにも情熱的な告白に、思わず顔が熱くなっていくのを感じながら、返事することができないままに固まってしまっていれば、彼は大丈夫ですよと宥めるようにボクの背を撫でてくれた。
いや、ちょっと待って本当にどうしたらいいの?
キバナくん、これ本気なの?
内心とても慌てている間に、彼がナースコールを押してやってきた看護師さんにより慌ただしく検査や診察などが始まり、異常はないから一過性のものだろうから直ぐに戻るかとというか話をつけられ、退院して大丈夫となってボクは翌日退院となったのだけれど……。
翌朝を迎えて更にボクは戸惑う羽目になる。
どうやらボクは三日ほど目を覚さなかったらしく、その間にキバナくんがボクのポケモンくんたちの面倒を見てくれていたらしくてとても感謝しかなかったのだけれど、だけれど……これは一体……。
退院に付き添いに来てくれたキバナくんは、あれから記憶は戻りましたか?と真剣に目を見てくるものだから、戻ったと言えずにお茶を濁してしまえば、彼はにっこりと笑ってボクの手と荷物を取った。
会計や薬などは済ませておいたので、帰りましょうと……帰ってきたのが……その帰ってきたところが見知らぬ家だったのだから……。
「えっと、ここは……」
「オレとカブさんの家だよ。最近同棲始めたんだ」
いやいや!知らない家だし!同棲とか始めてないから!
入ってと背を優しく押されて入り込んだのは、やっぱり知らない家だった。
広くてお洒落だな……と思っていると、チャカチャカと聞き覚えのある足音が聞こえてきたかと思えば、ボクはもすんと毛玉にまみれていた。
キューンとこいぬの時から変わらないこの鳴き声は……。
「ガーディ!」
キューンキューンと鳴く彼に、心配をかけさせてしまった事を後悔して、心配かけさせてごめんねとその背中をなでなでしてあげれば、キバナくんがボクを見つめていた。
「ガーディの事は覚えてるだ」
「あ、えっと、うん……」
ぎゅっと思わずガーディに抱き着いてしまえば、ふすふすと心配そうなガーディに大丈夫だよと返した。
取り敢えずゆっくり腰を落ち着けて話しましょうとなって中へと促されれば、リビングらしき広い空間にはキバナくんの手持ちの子たちと共に、寛いでいるのはボクの手持ちの子たち……。
元からここが家ですみたいなリラックスのし具合に、え、ボクの家……?と錯覚してしまうぐらいだ。この数日でだいぶの慣れ具合に驚愕しかない。
ソファに促されて腰を落ち着ければ、ボクの手持ちの子たちが心配そうに寄って来てくれて、大丈夫だよと皆んなを宥めていれば、キバナくんが口を開いた。
「カブさんってどこまで覚えているんですか?ポケモンの事とかは覚えていそうだけど、他には……」
「あ、えっと、ポケモンくんたちの事は覚えているし仕事の事も覚えているよ、えっと、その……」
思わず口籠もってしまえば、キバナくんはもしかしてオレの事だけ……?って真剣な顔で聞いてくるから頷いてしまうと、彼はそっか……と一人頷いていた。
思わずいろんな意味を込めてごめんねと口に出せば、いいんだよと笑顔に変わったかと思えば取り敢えずはまだ安静にしてなきゃいけないからと手を取られていた。
どうしようとキョロキョロとした瞬間にボクのキュウコンと目が合って、彼女は全て理解した様で、また馬鹿な事をしてと呆れた様にフンっと鼻を鳴らされてそっぽを向かれてしまった。
た、助けてと思う間にキバナくんによって手を引かれてやってきたのは、大きなベッドのある部屋だった。たぶん、キバナくんの寝室なんだろうな。
キバナくんの香りが強くなった事に思わずドキドキしてしまっていると、ボクはそこに寝かされていた。
「ゆっくり休んで」
優しく頭を撫でられる感触に、ドキドキしていたはずのボクの心はいつしかスゥっと和らいでいく様で、少し頭の痛みと、違う意味でもの頭痛もあって昨日は良く眠れなかったせいか、気付くとキバナくんの香りと温もりで力が抜けていく様に眠ってしまっていた。
目が覚めたらキバナくんが側で本を読んでいて、ボクと目が合うと、にこりと笑ってお腹空かない?ご飯にしようと促されて、先程のリビングの隣のダイニングにて座らされていた。
目の前には美味しそうなスープが置かれていて、頂きますをして口を付ければ美味しくて思わず顔も綻んでいた。
「わぁ!美味しいよキバナくん!」
手放しで美味しい美味しいと褒めれば、少し照れた様にありがとうと返ってきてちょっと可愛いなと思って、笑ってしまえばそれに気付いたキバナくんは拗ねた様に唇を尖らせていた。
「なにカブさん、笑わないでよ」
「笑ってないよ、ただ、可愛いなって」
ふふふっと可笑しくて笑ってしまえば、ほら!とまた拗ねる姿に、笑いが止まらなくなってしまえば、いつしかキバナくんも笑ってしまって、暫く二人で笑い続けていた。
何だか、いま本当に恋人同士みたいだな……何て馬鹿な頭で思ってしまうけど、一体いまのボク達の関係って何なんだろうって頭の片隅で思う。
恋人同士じゃないのに、記憶を失くしたフリをしたボクには恋人同士だとこうやって手の込んだ様な事をするのは一体何なんだろう。
よくわからなくて、でも、ちょっとだけ今の状況を思い出として欲しいずるい自分とで、胸がモヤモヤとするのを感じていた。
まだ、まだ、あと少しだけ……。
そう誤魔化す様に、スープと共にその気持ちを飲み込んだ。
***
ご飯を食べ終えて、食器を洗ってくれるキバナくんに甘えながら、ボクはボクの手持ちの子たちやキバナくんの手持ちの子たちと遊んでいれば、みんな嬉しそうに戯れてきてくれるのが可愛い。
いつしか皆んなが列を作って一匹一匹が甘える順番待ち何かを始めていて、可愛さといじらしさで笑ってしまいながら一匹一匹と触れ合っていれば、最後のヌメルゴンくんがぬるりとボクに頬擦りしてきた。
「あ!コラっ!カブさんがぬめぬめになっちまうから!今日は病み上がりだからダメだぞ」
食器を洗い終えたらしいキバナくんが慌ててヌメルゴンくんを引き剥がしていて、大丈夫だよと言ったものの、ボクの頬っぺたも洋服もヌメルゴンくんの粘液でベトベトになっていた。
「カブさんまだ傷に触るといけないからさ。あー……シャワー!」
シャワーだ!とキバナくんに背中を押され、ボクはお風呂場へと連行されていた。
タオルとか着替えは持ってくるからと出ていったキバナくんを見送り、もそもそと服を脱ぎにかかる。
しっとりとした服はちょっと粘液で重くなっていた。
さてとバスタブへと入り、蛇口を探すも見つからない。あと、シャワーヘッドが高い位置にありすぎて、届かないのだ……。まだ様子を見て髪を濡らしちゃいけいと言われているから、間違って押して濡らすわけにもいかないし、滑ってまた頭をぶつけても迷惑がかかるし……と、うーんと腕を組んで考え込んでいれば、扉がノックされる音がして返事をすれば、シャワーカーテンのむこう側からキバナくんのタオルとか置いておくね!との声が聞こえたから、ボクは慌てて声を掛けた。
「あ!のね、シャワーの使い方がわからなくて……あと、高すぎて取るのが怖いんだけど……」
シャワーカーテンの隙間から顔を出して、ちょっと恥ずかしいけどキバナに声を掛ければ、キバナくんは目をパチパチさせてから、あっと声を漏らしていた。
「あっと、そっち行っていい?」
キバナくんの声に、慌てて腰にタオルを巻いてうんと返事をすれば、シャワーカーテンの隙間からキバナくんの半身が入ってきた。
シャワーヘッドを上の方の位置から取ってくれたキバナくんは、真ん中ら辺にあった銀の取っ手みたいな物を引いていた。
「ここを引くとお湯が出て、押すと止まるんだよね。熱かったり冷たかったらこのレバーで調整してね?」
はいっとシャワーヘッドを渡されて、ありがとう!とキバナくんを見れば、その頬っぺたはどこか赤く見えて、じゃあ!とすぐに出て行ってしまった。おじさんの裸を見て嫌だったかな……とちょっと申し訳ない気持ちになりながらも、数日ぶりのシャワーを浴びられる事が嬉しく思えた。
キバナくんのボディーソープを借りて、いつもこれをキバナくんが使ってるんだと思うとちょっとドキドキしながら体を洗って、お風呂を出る頃には何だか彼に抱き締められいる様な不思議な感覚に頬っぺたが熱くなって、のぼせ上がる前にぺたりと浴槽から降りた。
ふかふかのタオルで水気を切りながら、置かれていたのは新品のパジャマと下着だった。よく見ると、洗面台に置かれている歯ブラシやコップも新しい。
新品な様子が、やっぱりボクと彼は付き合っても同棲もしてないんだなというのがわかって、買ってきてくれた事に有り難さも感じながら、彼がここまで嘘をつく理由がわからなくて、どうしたらいいのかわからなかった。
着替えを済ませて歯を磨きながら鏡越しに情けない顔の自分と目が合い、いかんなと思いながら口を濯げば、頬を軽くぺちりと叩いて気合いを入れ直してからボクはお風呂場を後にした。
「お風呂ありがとう」
ペタペタとリビングまで向かえば、手持ちの子たちはもう居なくてキバナくんだけが残っていた。
「うん、オレも入るかな。飲み物とか冷蔵庫から適当に好きなの飲んでね。さっきの部屋が寝る部屋だから、湯冷めしない様に早めにベッドに入るんだよ」
そう言えば、キバナくんはお風呂場へと向かって行った。
少し喉が渇いたから冷蔵庫からお水を頂いて、お風呂場からシャワーの音が少し聞こえる事にちょっとドキドキしてしまって、ボクはもう寝てしまおうと先程の寝室へと向かって、ベッドの中に潜り込んだ。
少しうとうとしてきた頃、ギシリとベッドが軋む音に手放しかけていた意識が戻ってきた。
ごそごそと入り込んできて、ボクを抱き締めてきたその熱は、キバナくんだった。
え、え、えっ!?一緒に寝るの!?
まさか一緒に寝るとは思わなくて油断していたボクは、心臓がとても音を立ててバクバクしていくのがわかる。
だけど次第にその抱き締め方が、いやらしいものでも、悪ふざけでもなく、何だか迷子になった子供みたいに感じてしまい、振り解けないままでいた。
明日になったら、記憶が戻ったと言おう。
明日になったら、だから……少しだけ……。
この熱を手放したくなかった。
そっと目を閉じて、何も言わぬまま彼の温もりを感じ続けた。
***
翌朝、目が覚めるともうキバナくんは居なかった。
ボクは結構、早起きな方だけどもう目が覚めたのかと思いながら、リビングへと歩いて行けば、キバナくんは顔を洗ってきたのか、タオルで顔を拭きながら歩いてきていた。
「あ、おはよう。顔洗ってくる?」
ちょっとくすりと笑ってからそう促されて、うんと頷いて洗面所へと向かへば、歯を磨いて、高さのある洗面台で顔を洗えば、よく見ればぴょこんとはねた寝癖に気が付いた。
キバナくん、気付いてたんだと思うと恥ずかしくて恨めしくなりながらも、慌てて寝癖を直した。
リビングへと向かえばキバナくんが朝ごはんを用意してくれていて、座って待っててなんて促されるも、何か手伝う?とキッチンへと足を踏み入れた。
キバナくんサイズなのかどれも高さがあって、ちょっと背伸びをすれば、じゃあサラダ運んで行って?とサラダの器を差し出された。
サラダを運んでいきながら、やっぱり二人の家なんかじゃないんだよなとまた現実に戻される自分がいた。
お風呂のシャワーの高さも、洗面台の高さも、キッチンの高さも、キバナくんのためのサイズだから、ここはキバナくんの住んでる家で、ボクの面影なんてあるわけないのだ。
のぼせ上がりそうになる度に目にする事実で冷静にかえるから、その度に何とも言えない気持ちになるのだ。
朝食を食べたら、朝食を食べたら……それまで、もう少しだけ、彼の恋人の気分を味わいたかった。
朝食を食べながら話をしながら、今日はオレもお休み貰ってるから何しようかなんて話しながら、みんなで公園に出かけてピクニックでもする?とか話しながら、ただただ楽しい時間を過ごした。
食後のコーヒーを貰いながら、そろそろ幕引きの時間だなと、ふうと一息吐いた。
さよなら恋人のキバナくん——。
「んっ……あれ、ボク……。ここは……。キバナくん?」
我ながら良くこんな風に惚けらるなと思いながらもそう口にしながら目の前に座っていたキバナくんを見れば、何とも悲しそうな顔をしていた。
何でそんな顔してるんだろう。
もうからかえなくなったからとか?
どちらにしても、もう終わりなのだ。
「あ、えっと……カブさん記憶が戻ったの?」
「記憶?何のことだい?確かボクはワイルドエリアで……」
そう口にした瞬間、ふっとキバナくんがいつもの様子に戻った気がした。
口からペラペラと説明してくるのは、カブさんが頭をぶつけて記憶喪失になったから、悪いから預かったんだ〜なんて笑いながら言う癖に、何だかその目の奥が悲しそうに見えたのはどうしてなんだろう。
「そっか、迷惑かけちゃったね。こんなおじさんの面倒を見てくれてありがとう。じゃあ、帰ろうかな」
コーヒーご馳走様と立ち上がって、手持ちの子たちのボールを……と思った瞬間、ガタリと音がしたかと思えば、ボクはキバナくんに抱き締められていた。
「いかないで……。カブさん……オレ、あんたの事が好きなんだよ……。今回も、あんたが記憶を失くしたのいい事に恋人だって言ってオレの家に連れて来た。下心しかなくて、何も知らないカブさんがオレを受け入れてくれんのが嬉しくて……ごめんなさい……。でも、これで終わりにしたくない……あんたが、カブさんが好きなんだよ……」
抱きしめる力が強くなりながら耳元でぐすりと鼻を啜る音と、キバナくんの突然の告白に頭がついていかない。
彼が、ボクを好き、なの?
そう思うと、今までの彼の行動がパチパチとパズルのピースがハマる様に意味がわかっていった。
何だ、ボクは揶揄われていたわけじゃなかったのか……。いや、本気にするのが怖くて揶揄っていると思って決めつけていたのは、ボクだ……。
少し震えている彼の手を握り、ボクはその手をぎゅっとした。
「ごめんねキバナくん……。記憶喪失は嘘だったんだ……ただ、いつも君がボクの心を掻き乱してくるから、意地悪してやりたくて……。ボクも、君が好きだよ……泣かせてごめんね」
彼と向き合う様な体制を取れば、キバナくんの顔はいつものカッコいい顔はどこへやら、へっ?と呆けたその顔は涙でくちゃくちゃになっていて、そんな顔も可愛いと思うのも惚れた弱みかな。
何だよー!なんて言いながらも今度は正面から抱き締められて、カブさんのバカっと抱き締められながら怒られた。
「バカ……」
「うん」
「ひでえ」
「うん、ごめん」
「……好き……」
「ボクも、好きだよ」
好き、大好き——。
勇気がなくてごめんね。見ないフリしてごめんね。
もう誤魔化さないよ。
「大好き、キバナくん」
ボクの一世一代の告白に、キバナくんはまた顔をくちゃくちゃにして、オレも〜と泣きべそをかいて、ぎゅうぎゅう抱き締める力が強くなって、ボクは彼が泣き止むまでポンポンと優しく背中を撫で続けた。