りんご何個分?その日、一彩は超有名な可愛らしい真っ白なお嬢さんと一緒に仕事をすることになった。
今日はその顔合わせの日で、逸る気持ちを抑えられずソワソワしていた。
「はじめまして、一彩くん。わたしキティ!血液型はA型、身長はリンゴ5コ分よ♪」
大先輩だと言うのに彼女は気さくに一彩に挨拶をしてくれた。
差し出された手を取り、一彩はにっこりと満面の笑みを浮かべる
「初めまして、キティさん!僕は天城一彩だよ!血液型、一緒だね!」
そして最後に。
「身長はリンゴ20個分くらいだよ!!」
元気いっぱいに答えれば、彼女はまぁと声を上げて微笑んでくれたのだった。
* * * * *
とある日の星奏館。
「え〜っと、燐音先輩身長何センチだったっけェ〜?」
今度出演するアイドルクイズの番組のために、アイドル知識を復習していた藍良はソファに寝転んで酒を飲んでいる赤毛に目を向けた。
「え〜?燐音くんはリンゴ5個分くらい〜?」
「おれのメンツがかかってるんだから真面目に答えてよォ〜!」
からかうように笑い飛ばしていい加減に答える燐音に藍良が頬を膨らませて怒る。
「兄さんはリンゴ21個分くらいだよ、藍良!」
そこへ元気な声で割り込んできたのは一彩だった。
「弟くんよォ。すぐに教えちゃ、藍ちゃんのためになんねェだろうが」
「ごめんよ兄さん。藍良が困ってたからつい……」
何やら通じ合っている天城兄弟の後ろで、藍良が顔を顰める。
「蛮族の郷ってリンゴが単位なのォ……?」
結局何センチかわからず、藍良はスマートフォンを取り出してコズミックプロダクションのサイトに飛び、プロフィール欄を確認したのだった。