つづき「寂しい」
大きな背丈からは想像がつかぬほど小さく縮こまり、白髪の青年が同じ布団の中でうずくまっている。
私のベッドではなかったか。ここは。いいや、間違いなく自分のものだ。
しかし、聞こえてきたすすり泣く音と、静かな呟きが監督生の思考をすぐにかき消す。
「我輩も誰かと、喜びを分かち合いたい」「幸せを分かち合いたい」「楽しさを、一緒に」
青年はあまりにも痛々しく、弱々しい姿で本心を吐露していた。監督生の声は聞こえず、当然姿も見えていないのだから、本来は誰にも見せることのない、胸の内なのだろう。
数日の間とはいえ、監督生はこの青年が幾度となく泣き、その度に立ち直り、走り回る姿を見守った。ただ、ここまで弱く、小さく感じられたことはない。何も知らないはずなのに、監督生の心にも痛みが走って、締め付けられる思いがした。
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