街中を歩いていると遠くからヘビ革ジャケットの姿が目に入る。彼の服はかなり目立つので遠目から見ても真島だとすぐ分かる。
また喧嘩を吹っかけられそうだ、と踵を返そうとしたとき様子がおかしいことに気付いた。
肌の色がいつもと違く、フラフラと覚束ない足取りで歩いていた。もしや、と眺めていると突然真島は桐生に向かって走り出した。
「ちょっと、齧らせてぇや!!!」
赤く光る目をギラギラと輝かせながら薄ら笑みを浮かべて襲ってくる姿はもはや恐怖。いくら恐怖にも耐性がある桐生とはいえ、今回の真島は本当にヤバイと脳が警報を鳴らす。
踵を返すと一目散に逃げた。だが、真島が見逃してくれる筈もなく突如として命を掛けた鬼ごっこが始まる。
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