いつかの六月十七日―――明日六月十七日の関東の天気は、朝から夕方にかけて雨。夜六時以降は次第に天気は回復しますが、東京と神奈川の一部地域は、にわか雨にご注意ください―――
数多の大粒の雫が音を立てて硬いアスファルトの上で弾けては、水溜りの上にいくつもの波紋を広げている。
急遽雨宿りのために駆け寄った雑居ビルのエントランスでは、電球が切れかかっているのか、入居店舗のネオンがジジッ……と音を立てて不規則に点滅していた。
その横で、桐生はぶるぶると首を振って肩や腕についた水滴を払っている。ライトグレーのスラックスの裾には点々と跳ねた泥が付いていた。
そもそも、今日は雨に濡れるつもりなど毛頭無かった。
未だひまわりにいる遥と一緒に暮らすための手続きに、神室町近くまで来たので亜天使に立ち寄ってみたところ、ママから「連日の雨でバイトの子が体調を崩してしまって、人手が足りないから手伝ってほしい」と買い出しを頼まれて外出したのが雨もすっかり止んでいた夕方。
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