次を望む「プレゼント?」
私の横に、顔右半分を包帯で覆われた青年が座っている。
驚いた顔で私を見る彼は、今日が誕生日らしい。
当日に、しかも酒場で飲み終わった頃合いに初めてそれを耳にした私は、手元に何も準備がなかった。
「うふふ、あはは なんだいその顔。プレゼントが無くても私は駄々を捏ねたりしないよ。突然言ったんだもの。」
焦る私を見て太宰は笑った。
どこか幼げな笑顔と釣り合わない大人びた口調で返される。
酒の入ったグラスを見つめながら太宰は言う。
「なんだか君に言ってみたかっただけなんだ。気にしなくていい。」
誕生日はこの世に生まれたことを祝う日だ。一年間生きた証にプレゼントを贈り、家族で華やかな食事を囲み、一日を飾り付ける。これが一般的なのだろう。
1568