泡沫のピエロ 横断歩道の白いところ以外を踏んだら死ぬ。
小学生の時に流行った遊び。どこからか現れたルール。
ミスタも他の子と同様、楽しそうにその遊びをしていた。もちろん僕も一緒に。
初めてその遊びを知った時、我先にとミスタは軽やかに白い線の上を跳ねた。渡りきった先は、コンクリートの黒。他の友人たちは躊躇していた。それはそうだ。ルールは白い所以外は死、なのだから。
一度立ち止まったミスタも、そのまま立ちすくむだろうと。僕を振り向いて、どうしようシュウと言って助けを求めてくるだろうと思った。幸い車通りの少ない、信号機のない道だったので僕はゆっくりと歩いていた。あと少しで追いつくので、声をかけようとしていた。遊びはここまでだと。しかし予想を裏切り、ミスタはそのまま地面に降り立った。オレンジのランドセルが楽しげに上下する。そうしてこちらを振り返って笑った。
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