「ま~くん。見て、今年のバレンタインのお菓子」
そう言って凛月が差し出したのは小箱に収められた四つのチョコレート。凛月の手作りにしては見た目から味が想像できるくらいに原型を留めているそれらに、ついうっかりそれを指摘したら「まあ色々あってね」と雑にはぐらかされた。
「すっげ~うまそうじゃん。毎年ありがとな」
そう言ってその小箱を受け取ろうとすると、普段の凛月からは想像できない俊敏さでさっと凛月の背後に隠されてしまう。伸ばした手をそのままにぽかんとしていると、凛月は不敵な笑みを浮かべる。あ、これは面倒くさいやつだと幼馴染の勘が訴えると、案の定凛月は得意げに言ってのけた。
「誰があげるって言った? このチョコが欲しければ、ま~くんにはこれからクイズにチャレンジしてもらいます」
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