懺悔せよ(仮)『すみません太宰さん、僕もその少女の事を詳しくは解りませぬが‥‥』
「何?ハッキリ云って?」
『中也さんの恋人だと聞いております』
端末から聴こえてくる芥川の声が遠ざかっていく。
中也が容易に自分の領域に人を入れるとは思えないし私と別れてまだ一ヶ月そこそこだ。
そんな直ぐに気持ちを切り替えて恋人を作るなんて中也がする筈ない。
だが‥‥先程見た光景は幻でも夢でもなく現実だ。中也の家の鍵を持ち『ただいま』を口にする間柄。
「‥‥‥」
『太宰さん?』
端末から聴こえてくる芥川の声に太宰は思考の波から戻ってきた。
「悪いけどあの少女について調べてくれる?小さな事一つでも取り零さずにね?」
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