本丸にお付き合いの報告をする燭へしの話「主くん、喜んでくれてよかったね」
外からは鳥の声や風の音しか聞こえない、シンとした夜だ。
布団の上に寝そべる長谷部の手を握りながら、彼と向かい合うように横たわった燭台切は穏やかに言った。
「ああ。刀同士のこんな関係を認めてくれるなど…つくづく懐の広い主だな」
そう返す長谷部の表情は普段よりも幾分か柔らかい。
二振は先日、めでたく恋刀となった。人の身になって初めて感じる、甘く、楽しく、時に苦しい恋心というものに悩みながらも気持ちを育んできた。幸いお互いの気持ちは通じたが自分たちは何よりもまず刀剣男士で、主の所有物である。今後本丸で恋刀同士として生活をしていくためにも、最初に主へと報告をしたのだった。
主の反応は非常に快活なものだった。元が刀であるとはいえ今は人の身。皆には楽しんで生きてほしいがモットーの彼は、まず二振りが恋をしたということを大層喜んでくれた。
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