白菜ロール 竜三が台所に立っている。肩まで伸ばした髪をポニーテールに結わえ、慣れた手付きでいくつもの鍋を同時に面倒見ていく姿もすっかり見慣れたものだ。
竜三に部屋を貸す代わりに、家事全般を任せて家賃を割り引く。こちらとしては面倒な家事を外注でき、竜三は良い環境で食べたい飯を好きに作れるという利害が一致しての下宿だ。
そのおかげで、以前より健康的になり、弓も心行くまで鍛練できるというものだ。
「センセ、そろそろ飯できるぞ」
「そうか」
胴着のままのこちらに、振り向きもせず言う。全く、自分で作らずともうまい飯が出てくるとは最高である。
シャワーの後にテーブルに行くとすでに皿が並んでいた。
「今日はロール白菜と、なめこのみそ汁と冷奴。あと黒豆」
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